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「マジックミラー号でセックスする」という人類の夢を叶えられる部屋を作ったラブホテルオーナーの熱い想い

SARAグループといえば、コンセプトルームで有名なラブホテルグループである。名前でピンと来なくても、TwitterやTikTokやYouTubeで一度は目にしたことのある人が多いはずだ。

前編の記事『❤️あんあんちゃん❤️と💙ぱんぱんくん💙に、どうしたら「ラブホテルオーナー」になれるか聞いてきた』では、どのような経緯でSARAグループが始まったのか、コンセプトルームが生み出されたのかについて聞いた。

今回後編では、SODとのコラボ作品であるマジックミラー号部屋についての話や、どうしてわざわざ衰退産業のラブホテル業界で働いているのか、今後どういう展開をしていく予定なのか、について聞いていく。



マジックミラー号を再現するために、実際にマジックミラー号の監督に映像を撮ってもらっている

──去年五反田にオープンしたSARA GRANDEには、SODとコラボしたマジックミラー号部屋がありSNSなどで話題ですが、マジックミラー号の部屋を作ってほしいという声は多かったんですか?

(あんあん)
マジックミラー号の部屋が欲しいという声は100件以上ありました。コンセプトの募集をした際に、約2000人以上の方から、アイデアの数で行ったらそれ以上の応募がありましたが、マジックミラー号はダントツ多い方でしたね。

──私も実は、マジックミラー号の案を送ってました笑

(あんあん)
アンケートの内容って結局お客さんの願望なので、もうこれはSODとコラボしてやるしかないということになりました。SODの方に連絡したら、「超面白い、企画書作れますか」とすぐになりましたね。

(ぱんぱん)
マジックミラー号シリーズはSODの中でも神的な扱いを受けているし、創業の方にとっても思い入れの深い作品なので、そう簡単に許可は取れないんですね。今回は、本気で取り組むという旨を社長まであげてもらって、「SARAさんが本気で作るなら許可します。最初で最後のマジックミラー号コラボになるかもしれません」とまでいわれて、許可が降りました

──実際に具現化するとなると工夫が必要だったのではないでしょうか?

(ぱんぱん)
本物のマジックミラーを使うのは、夜には逆転して見えてしまうから難しい。だからモニターを使うことになりました。ただ、普通の街中の風景が流れているモニターじゃ面白くないじゃないですか。本当の窓に見えないといけないし、窓の間に柱があったら、当然人がそこを抜けて通っていることを表現する必要がある。

なので、マジックミラー号の監督に映像を撮ってもらって、それを大きなモニターで流すことになりました。

──本物の監督が撮っているのは知らなかったです!やはり、マジックミラー号の部屋は一番人気なんですか?

(あんあん)
マジックミラー部屋は目玉なのですが、一番人気の部屋というのは特にないんですよね。どうしてかというと、全ての部屋がいつもずっと埋まっているので、特にこの部屋に人が入るというのがないんです。今日も平日の昼間なのにほとんど埋まっています。

ラブホテルからビジネスホテルに移動になったマネージャーから「つまらない」と不満があがった

──どうしてシティホテルなどの他の事業ではなくラブホテル業界で働いたり事業投資したりしているんですか?

(ぱんぱん)
僕は、元々ビジネスホテルに勤めていました。その所属していた会社がラブホテルの運営も始め、その時に異動したのがきっかけで、この業界に入ってきました。

もちろん、ラブホテルは世間からのイメージが悪かったりとか、上場できる企業でもないのはあります。でも、僕らとしては、自由度が高くて面白いというのと、ビジネス的にもしっかりやれば利益率が高くて不景気に強いというのが、良いところですね。もはや、ラブホテルの仕事が面白すぎて嫌だと思うことはないです

(あんあん)
ラブホテルに来たきっかけは意外とみんな違うんですけど、働いてみてからみんなが楽しいし好きだと思えるのは、ここが幸せな場所だからってことでしかないんですよね。

(あんあんとぱんぱんの産みの親)
以前、ビジネスホテルを買って、ラブホテルのマネージャーをそこに配属させたことがあるます。社会的にもビジネスホテルのマネージャー経験があった方が喜んでくれるかと思いきや、「早く戻してほしい。ビジネスホテルはつまらない」と言われてしまった笑 ビジネスホテルはもうルーティンでやることが決まっているので、ラブホテルの運営と比べると退屈だそうです。

(ぱんぱん)
ラブホテルは、普通のホテルとは違った企画が実施できて、お客さんを笑顔にしよう、またリピートしていただこうとするための努力が楽しい、と僕は思っています。もちろんキツイこともあるし、全員が楽しめる場所ではないとは思います。それでもラブホテルをやっている人は、みんなエロくて、ラブホでの企画とか接客とかを面白いと思える人な気がします笑

ラブホテルのウォルト・ディズニーと呼ばれる昭和ラブホの巨匠「亜美伊先生」と「SARA」の共通点

──個人的に好きなラブホテルはありますか?他のグループのラブホに魅力を感じたりはするんですか?

(ぱんぱん)
若い頃は、ただ部屋があれば良いという考えでしたが、歳を取るにつれて、コスプレとかおもちゃとか、エロを追求した非日常なラブホテルの魅力に気がつき始めました。
もちろん流行りのアジアリゾート系やシティホテルっぽいラブホは初心者が入りやすいとか、昭和ラブホはコアなファンが多いとか、そういったホテルにも魅力があると思っています。

けれど、僕たちはそういう昭和のレトロやバブリーなラブホテルを目指しているわけではありません。面白いとは思うけれど、そこにエロがあるかというと微妙に感じる。一番大事なのは、パートナーが「ここならオッケー」「ここならまた来たい」と言ってくれるかで、そこにレトロさやバブリーな雰囲気を求めている人なら昭和ラブホはぴったりだと思います。でも趣味が合わなければ結構難しいと思う。

(あんあんとぱんぱんの産みの親)
更に言うと、昭和ラブホのような4号営業(風営法管轄の営業、旅館業法と区別される。参照:https://note.com/sakurachan_kyo/n/nd9d27cee1412 )で運営するメリットが今は少ないんです。SM専門のラブホテルとかまで突き抜けていれば、4号営業じゃないとできないし、良いと思うんですけどね。

(ぱんぱん)
どうしてもビジネスだから、継続的に利益を出すとなると、「ここならオッケー」の人を多く集めなければいけない。ニーズが多いことをやらないといけないですしね。

でも、そういったホテルを否定はしていません。とにかくセックスをする場所だという根底を崩してはいけないと思っています。セックスに振り切る中でも、グロすぎず可愛いところがあるか、が重要だと思っています。

亜美伊先生もずっと、「車を停めるときから、またはホテルのロビーに入った瞬間から、部屋に入るまでが一連のストーリーで、もう部屋開ける時には濡れさせなくてはいけない、入る前から全てが始まっているんだ」とおっしゃっています。だから、「これからマジックミラー号へ行くんだ」っていうSARAはエロいし面白い。そんなコンセプトルームを作っていくのを見て、「やっぱこうじゃなきゃいけない」って亜美伊先生はすごい喜んでくださっています

1部屋1部屋が面白くて変わっていて、人を楽しませる空間を作りたいって気持ちが僕らと共通しているから、たまに飲みに行った時に、世代が違うことがあってもSARAの人たちは亜美伊先生と会話があうんですよね

色んな分断が起こっている今の日本社会で、セックスだけは変わらずみんなにとって幸せなものであってほしいし、そのお手伝いに関して真剣にやっている

──SARAさんは売り上げを維持していても、セックスする場所としてのラブホテル業界全体は衰退している。その中での戦略はあるのでしょうか?

(あんあん)
少子化していく中で衰退することは間違いないと思っています。ただ、衰退する場所は魚がいなくなった場所なので、地方に関しては難しくなると思っています。だから基本的には、人口密度がある場所に、集中的に店舗を増やしていくという路線になると思います。

──今後はもっと店舗増やしていく予定なんですか?

(ぱんぱん)
次々増やすつもりはあまりなくて、それは人材が育つスピードが追いつかないからです。僕らがいつも頭悩ますのは、人材によって売り上げが大きく変化するんですよ。

その店に対してすごく愛情を持って取り組んで、一生懸命やってくれるマネージャーだと売上が上がるんですけど、とりあえず与えられた業務だけをやるくらいの人だと売り上げが上がらないんですよね。なので、気持ちの部分から育てていかなきゃいけないので、そんな簡単じゃないんです。

(あんあんとぱんぱんの産みの親)
すごい真面目な話としては、戦後から78年経って国家としての役割がどんどん変わっていって、いろんな分断が進んでいて、インターネットがそれを隠して。
出会い系サイトやマッチングアプリでみんなが出会いを求めているけれど、身長何センチ以上?年収いくら?かみたいなところで線引きされて。
そういう世の中で、セックスだけは変わらない、みんなにとってすごく重要で、幸せなことであってほしい。ラブホテルは、たとえテクノロジーが進んで、メタバースとリアルという分断があったとしてもそれを乗り越えて、みんながリアルな体験をできる場所だと思っていて、そこをお手伝いするということに関して本気でやってます

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