桜濱

古代・中世の説話集、小説、絵本、テレビドラマなど物語性を有したもの、また、言語に関する…

桜濱

古代・中世の説話集、小説、絵本、テレビドラマなど物語性を有したもの、また、言語に関することを考えています。甘いお菓子のことはもっとよく考えています。 本店→ http://septieme-ciel.air-nifty.com/nikubanare/

最近の記事

『タクティクスオウガ リボーン』が怖い

[#タクティクスオウガリボーン #game #essai]  今まで数えきれないくらい遊んで、非情なシーンを何回も見たし、殺気に満ちたダークストーカーがうごめき、唐突に現れる固く力強いガーディアンが道を阻み、墜落即死の深い深い穴が開いている100層の死者の宮殿を繰り返し周ったのも怖かったが、『タクティクスオウガ リボーン』はそういうシナリオやゲームの仕組みのところが怖いわけじゃない。先述のように過去作品を何度も遊んだし、遊びやすいシステムにリボーンされてるし。怖いのは、ゲー

    • 『カムカムエヴリバディ』を観ていたら疑り深くなっていった

      [ #テレビドラマ #entertainment #カムカムエヴリバディ ]  先々週の金曜日8時15分過ぎ、矢も楯もたまらず、『カムカムエヴリバディ』の公式ページを開いて次週予告を見ると、そこには「第22週 2001-2003」とありました。と、いうことは……、 「since 1925だから、100年の物語っていうと最終週はめちゃくちゃ長くなってへん!?」  と第103回で久々に五十嵐を見たひなたの叫びの如き思いを抱きました。それから一週間。次週予告を見ると、 「最終週

      • 豚肉の厚切りに玉子や小麦粉やパン粉を付けて油で揚げた料理のこと

         小説を読んでいたら「とんかつ」ということばに出くわした。おやおやはてな、という気になった。自分が書くとしたら「トンカツ」になるかと思う。でも、読んでいた小説の雰囲気にトンカツは馴染まない。とんかつの方が断然良かった。  小説は別にして、町中の料理店のメニューや調理法の本などで見掛けるのは、トンカツが多いように思う。でも、とんかつも多い。豚カツも多い。全部多い。正統な書記法はどれなのだろうかと悩んでいるうちに、脳が味噌ダレに浸したように深い茶色になった。困った。  トンカツの

        • 『列島ニュース』の味噌カツと小倉トーストのこと

           2020年4月からNHKで13時台に全国のローカルニュースをそのまま流す番組が始まった。同年2月に発表された編成計画資料はこの番組について触れてないので、状況を鑑みて、急遽設けた番組だと思われる。2020年度の番組進行は各地方局が輪番で担当していて、毎日メインのアナウンサーが変わっていたと記憶しているが、今年度からは、正式に大阪拠点局がその役を担い、武田真一アナウンサーがメインになってるようだ。武田さんが大阪局に異動になった時は憶測が飛んでいたが、放送センターに人員と役割を

        『タクティクスオウガ リボーン』が怖い

        • 『カムカムエヴリバディ』を観ていたら疑り深くなっていった

        • 豚肉の厚切りに玉子や小麦粉やパン粉を付けて油で揚げた料理のこと

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          『連続テレビ小説 おかえりモネ』―宇田川さんのこと―

          [ #テレビドラマ #entertainment #おかえりモネ ]  今週(2021/09/27・第20週)から「気仙沼(おかえり)編」が始まりますが、東京編で(たぶん)最後に残った宇田川さんのこと。  宇田川さんが姿を現せば、百音たちが宇田川さんを静かに受け入れて、彼の得意なことを頼んでそれを引き受けるほどの関係になれたことに対して、お礼のようなものになるのでしょう。反対に、そうはならずに最後まで姿を見せなければ、百音たちとの関わりが深まっても、宇田川さんの抱えている苦

          『連続テレビ小説 おかえりモネ』―宇田川さんのこと―

          見て良かった2020年の公共放送ドラマ

          [ #テレビドラマ #entertainment ]  2020年に放送された公共放送テレビドラマで、「見て良かったな」と思えたものを挙げてみます。こういう文章は、年末なり、1月の頭なりに書いて読んでもらうものでしょう。サボった、と言ってしまえばそれまでなんですが、「2020年の娯楽」は難しかったという理由も挙げておきます。  本稿で「見て良かった」「見応えがあった」とする基準は、昨年と同じで、以下のことが当てはまるかどうかです。  ・「再放送があったら見てほしい」「録画し

          見て良かった2020年の公共放送ドラマ

          ジュタタミーズ、チュタタミーズ、イルタタミーズ、ヌタタミゾン、ヴタタミゼ、イルタタミーズ

          [ #language #フランス語 #全文無料表示設定 ]  この単語を知ったのは、大学の授業――フランス文化について、少人数の演習かテキスト読解のようなものだったはず。ずいぶん前だ――で、先生がおっしゃった雑談からでした。 「畳を敷いたりする日本風の生活や、(悪く言えば)日本かぶれ、のようなことを、『タタミゼ』と言うんですよ」  綴りは"tatamiser"。"tatami"(畳)に、第1群規則動詞式の活用語尾"-ser"をくっつけただけ。  この単語を教えてもらった後

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          ジュタタミーズ、チュタタミーズ、イルタタミーズ、ヌタタ…

          アルファベットの略称は3文字が王道

          [ #language ]  文字数が長いことばは、そのうち短くなります。コンビニエンスストアが「コンビニ」になったり、「断然トップ」が「だんトツ」になったり(「断然トップ」はなかなかすごいことばだなあ。書いてみて異様さに気付きました)。日本語で記す場合、コンビニのように、頭の数文字だけを抜き出す場合と、だんトツのように、合成要素のそれぞれから抜き出す場合とに分かれるはずです。尾の方だけを抜き出す場合は無いはずだが……、と考えてたら、バンドの[Alexandros]が「ドロ

          アルファベットの略称は3文字が王道

          方言を捨てる

          [ #方言note #language ]  私の身に方言が染み込んでいることを強く認識させられたのは、大学の日本語学の授業後だった。  その日の講義は「ガ行鼻濁音」について。日本語におけるガ行鼻濁音とはどのようなものか。大まかに言えば「語中と語尾にある『ガ行子音』は[ŋ]となり、それ以外の箇所(主に語頭)では[ɡ]となる」という発音の現象である。これは東日本で顕著で、西日本の広い地域ではその法則に縛られず、[ɡ]で発音する。それぞれの発音を文章で説明するとかなり長くなるの

          方言を捨てる

          見て良かった今年の公共放送ドラマ・2019

          [ #テレビドラマ #entertainment ]  今年も公共放送のテレビドラマをいろいろ見ました。それらを振り返って、「良かったなあ」「見ごたえがあったなあ」と思えたものを挙げていきます。昨年はTwitterにこのように書きました。  「良かった」「見ごたえがあった」は、「再放送があったら見てほしい」「録画し損ねていたら、録画してほしい」、それでもって、できることなら一晩語り合いたいですね、というような曖昧な基準です。  そのほかは、  ・2019年に初回放送された

          見て良かった今年の公共放送ドラマ・2019

          喜美子に起こったことが多すぎる ―『連続テレビ小説 スカーレット』第28回~第34回より

          [ #テレビドラマ #スカーレット #entertainment ]  喜美子の激動の昭和30年12月末。  21日 昼 ジョージ富士川のサイン会に行く。       サイン会会場で草間と8年ぶりに会う。     夕 草間とともに、草間の妻・里子が営む食堂に行く。     夜 荒木荘に常治から電話が掛かってくる。  22日 朝 大阪を発つ。     昼 信楽に着き、3年ぶりに家族と会う。     夜 実家の状況を疑わしく思う。       春から美術学校に行くことを、常

          喜美子に起こったことが多すぎる ―『連続テレビ小説 スカーレット』第28回~第34回より

          「パンツ見えんで?」の風俗考証に関する小考 ―『連続テレビ小説 スカーレット』第31回より

          [ #テレビドラマ #スカーレット #entertainment ]  『連続テレビ小説 スカーレット』の今日(第31回)の放送で、喜美子が信楽の実家に戻ったとき、「パンツ見えんで? ちゃんと座りぃ」と、学校の制服姿のまま立膝で座った妹の直子をたしなめる場面がありました。ちょっと気に掛かったので、『パンツが見える。 羞恥心の現代史』(井上章一 著・新潮文庫・2018年5月)をざっと見返してみました。  どうやら、昭和30年は「パンツが見える/見られる」ことに対する心持ちの過

          「パンツ見えんで?」の風俗考証に関する小考 ―『連続テレビ小説 スカーレット』第31回より