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過去の記憶との橋渡し

日本に帰って母のタンスを開ける。シャープだけど優しさのある香りが漂ってくる。日本に戻ってきたことを香りが知らせてくれる。

中学生の頃だったか、母は私の手の平に織物の小さな袋を握らせてくれた。匂い袋というものらしい、タンスの洋服の間に入れておくとよいと母が教えてくれた。これが私の香りデビュー。

引き出しの中に入れておく。そこから出した衣類からは洗い立てよりも、もっと鮮やかなそれでいて優しい香りがする。

「西洋人の特に女性は香水を好んでつけるのよ。彼らは体臭を消すために香水を使うの。日本人のように毎日お風呂に入らないから。」英語の授業で先生が小学生の私たちに話してくれた。

毎日、お風呂に入らないという習慣に驚いた私は更にびっくりしたことが。香水は、体の匂いを消すために使うことに更にびっくりした。

中学校の構内を歩くイギリス人の先生の体臭、そして鼻をつく匂いからはハローウィーンや魔女を思い起こさせるようだった。


タンスの中の匂い袋の香りがついたブラウスは、着るというよりも香りを羽織る感じ。少し動くだけでふわっと優しい香りがする。日本人にとっては、香りは羽織るものだと思えるようになった。
吸う息と共にフワッと香りの風が鼻を通る。心までが優しい気持ちになっていく。

マインドフルネスな生活を続けているうちに特に敏感になったのが漂う嗅覚。脳へたどり着くまでの距離が短くて脳の部分(大脳辺縁系)に直接つながっているのが特徴的な感覚の一つと言われている。

今とそして過去の母との記憶を橋渡ししてくれたのがこの匂い袋だった。


自分を受容できるようになったマインドフルネススキルを皆さんにシェアして社会に貢献していきたいです。これから色々なことを発信していこうと思います。サポートは、これらの発信活動と学びに使わせていただきます。