見出し画像

世界初「歯が生える薬」の治験開始へ

日本で歯の欠損がある患者は5,800万人以上

驚きのニュースが発表されました。将来、失った歯が再び「生える」ことが可能になるかもしれません。
公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院(大阪市北区)によると、「関連グループと進めている先天性無歯症に対する歯の再生治療薬「TRG035」(通称名「歯生え薬」)の研究計画について、2024年3月25日付で独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から承認が下りたことに伴い、京都大学医学部附属病院の協力のもと医師主導治験を開始することとなった」ということです。
わが国における歯の欠損を有する患者は、高齢者を中心に5,800万人以上とされ、「TRG035」を用いた歯の再生医療は大きな期待を寄せられています。それに対応するため、将来的には局所投与により永久歯の次の「第3生歯」を再生させる治療法に大きな期待がかかっています。

認知症にも影響をあたえる歯の健康

いくつかの研究によって、歯の健康と認知症など病気との関連について、興味深いつながりがあることが示されています。以下、主なポイントを挙げます。

1.歯周病と認知症や糖尿病との関係: 歯周病は、歯と歯肉の間に存在する深いポケット内の細菌によって引き起こされる慢性の炎症です。これらの細菌などが血流に入ると、全身に影響を及ぼす可能性があります。研究によると、歯周病は認知症やアルツハイマー病のリスク(アミロイドβの増加)を高めることが示されています。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が発生についても影響があるとも言われいています。また、歯周病と糖尿病は密接に関連していると言われており、歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されています。

2.認知機能への直接的な影響: 歯の喪失が認知機能に及ぼす影響は、特に高齢者において重要な問題となります。歯の喪失により「噛む能力」が低下すると、食事中の口腔内の感覚刺激が減少します。この感覚刺激は、脳の特定の領域を活性化し、認知機能の維持に寄与すると考えられています。
「噛む活動」は、脳の血流を増加させる効果があることが示されており、これにより脳機能が刺激され、健康が保たれます。歯の喪失が多いと、このような脳への刺激が不足し、時間とともに認知機能の低下が起こりやすくなる可能性があります。

これらの発見は、日常的な口内ケアと定期的な歯科診察が認知症の予防にも役立つ可能性があることを示唆しています。歯の健康が全身の健康、特に脳の健康に及ぼす影響は無視できないもののようです。

「歯生え薬」は、まずは先天性無歯症の方に向けた治験が始まります。いずれは後天的に歯を失った方にも適応が広がり、一刻もはやく治療可能になることが期待されています。
今後も最新医療のプレスリリースに注目していきます。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

記事を最後まで読んで頂きありがとうございます。 ↓の画像をクリックすると桜の花出版が刊行した本をご覧になることができます。