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「自分の心の枷がどこに繋がれているのか」を自分で知ることができる本


『アダルト・チャイルドが自分と向き合う本』アスクヒューマン・ケア研修相談センター編

前書き~同じ苦しみを抱えるあなたに”今”を自由に生きていくためのヒントを~

私がこの本を手に取ったのは、つい数年前。ふらっと立ち寄ったBOOK OFFでした。

十数年立ち寄ったことのなかったBOOK OFFに最近、よく立ち寄るようになりました。
電子書籍を選択する人が増えた影響か、少しでも要らないものを処分してお金にしたい人が増えたのか、はたまた高齢社会で遺品整理の一環か…。

以前は「古くてぼろい本がいっぱい」というイメージだったBOOK OFFですが、最近では、かなり良い状態ものも安く売られています。

私は本を読むとき、紙をぺらぺらとめくる感じ、独特のインクや古本の香り、そういうものが読書をする際に必要な人間なので、電子書籍にトライしましたが驚くほど頭に入ってきませんでした。

BOOK OFFはオンラインショップも大分改善され、近隣店舗で受け取るのなら送料無料。

少し時間はかかるものの、人生で初めて「積読(つんどく)」が発生している私には問題ではありません。

元々は文庫や新書を中心に、知りたいことや読みたい本を漁っていたのですが、心理学を学んだものとして、そして何より「うつ」と診断されて約7年が経っても、「元気」とは言えない状態を改善したくて。この本を手に取りました。

私は母から、思い出す限り、物心ついたときからすでに、心身の虐待をされていました。

古い記憶を遡ると、1歳になっていない頃、おむつが取れていないことを同い年の団地ママにからかわれ、頭にきた母は「トイレに行きたい」って言わないと家に帰らせない!と、団地群の真っ暗な駐車場の、冷たいコンクリート塀に置き去りにしました。おむつ一丁の半裸で…。

中学までは、母からの虐待、学校でのいじめ、通学路で複数回にわたり性的加害を受けたことで、私は「心を殺す」ことをおぼえ、学校では一言も声を発さず、家では母の顔色を窺って暮らしてきました。

高校で下宿しなければ通えない高校に受験。人生で一番頭がよかった私は合格。ところが、受けろと言った母が猛反対。母は「あんた達(私と姉)はバカだからどうせ受からないのは分かっているから、受験料を寄付するつもりで中高大は受けなさい」と言っていた学校がありました。

姉は全部不合格。私は中学で全国トップ10に入る成績になってしまい、どこを書いても合格判定が出るような状態でした。母はそんなこととは露知らず、頭が悪いと信じ込み、受験をさせましたが合格してしまいました。

母が「受けろ」と言ったぐらいだから、喜んでくれるだろうと思った私は、「行かせない!」「裏切者!家を出るなんて!」と言う母に困惑。
でも、この時には体力がついていたし、体格も良かったし、とにかく毎日殴られ蹴られ、時には全裸で雑木林に捨てられるような生活を脱して、人生で初めて規定の年数1つの学校に通うことが夢でした。

地元の高校に通うなんて絶対に嫌だ!!!何としてでも、母を頷かせてやる。

一週間くらいだったと思いますが、毎日「通わせてください!」と言いながら床におでこをこすりつけて、懇願。額から血が出ようが気にせず、やり続け、ついには行かせてもらえることになりました。

学校でのいじめと母からの虐待は無くなったものの、ある意味では「ここからが私自身の人生のはじまり」でもありました。

自分が何を好きで、何は本当は嫌いだけど我慢していて…。そんなことすら分からなかったのです。同世代と85人以上の下宿で生活をする中で、会話と言えば基本的に流行のものや音楽、家族のこと。

他人の話を聞くたびに、いかに「自分の家がおかしいのか」をまざまざと見せつけられる想いがしました。

この時から、私の「生きなおし」が始まったのです。

なるべく「一人ではやらないでほしい」けど、ひとりでしかできないなら「辛くなったら閉じてほしい」。

私はこの本を「生き直しの教科書」として使っています。つまり、機能不全家族の中で、「間違った学習」をしてきてしまい、「生きづらくなっている今」を何とか解消するための教科書ということです。

冒頭から本屋で立ち読みをした私は涙が止まりませんでした。

疲れ切っているのに、走るのをやめられませんか?
傷ついているのに、手当の方法がわからずにいますか?
さびしいのに、一緒にいてほしいと言えずにいますか?
むなしいのに、なにが足りないのかわかりませんか?
どうして私はこうなのだろうと思いますか?
自分が、好きになれませんか?
そんなあなたに言います。
あなたはけっして、ひとりではありません。
私たちは「そんな自分」と向きあうために、
アダルト・チャイルドという鍵を手にしました。
あなたもその鍵で、この本の扉をあけてください。
自分を理解し、成長していくための作業を、
一緒に始めましょう。

私は「母から沢山の虐待」を受けてきました。でも、「つらい」を涙で暴力で暴言で表現するしかない母を、そこまでしても父に伝わらない母を見ているのが何より辛かった。

だから、発達障害で「自分を曲げない」父と姉に代わって、私はアダルトチャイルドのタイプで言う「優等生」になりました。自分がお母さんを「笑顔」にするんだ。「”つらい”から解放」してあげるんだ。お母さんの「自慢の子」になるんだ。

私はアダルトチャイルドのタイプで言う「ピエロ」にもなりました。すっとんきょうな事をやって、少しでも家族みんなが笑ってくれるように。自分にとって大切な「社会」である家族が崩壊しないように。

でもいつも「決壊」していました。子どもの時分でできることはたかが知れていたのです。

「毒親」という概念では何も救われなかった…

昨今の「毒親」という言葉・考え方に疑問があります。

それはあなたの心を救いましたか?

それはあなたが生きていくための癒しになりましたか?

それはあなたが人生を力強く歩んでいくための力をくれましたか?

気づいていないだけかもしれない。「共依存」という言葉に恐れおののいているからかもしれない。でも、私はアダルト・チャイルドの多くは「親と家族を愛している」と思っています。

でも、子どもの時も。大人になっても。自分が本当に欲しかった「家族」は手に入らないです。だって、家族は私だけではないから。家族と言えども一個の違う人間が構成している社会だから。

だから、私は私の人生を歩んでいかないといけない事が分かった時。愕然としました。

「自分が無い」ことに気づいたからです。

人が生きていくためには「安全の確保」がまず必要です。

前に進むなら、「生きていかないといけない」なら、人は歩いていくための「道しるべ」が必要です。

でも、それがない。親からももらえない。同級生とあまりにも違う。

どうしてー。何万回この言葉を繰り返したことでしょう。

何を始めても、すぐに「決壊」してしまう。

私は「絶対に結婚はしない」と子供の頃から決めていました。

「不幸の連鎖」を断ち切りたい。でも、私も自分の中に「理不尽に対する鬱屈からくる恐ろしいほどのエネルギー」を感じていたからです。これをどうにかしなければ、私は不幸を繰り返すだろう。

だから、自分自身で、あるいは素晴らしいパートナーを得て、アダルト・チャイルドでありながらも結婚し、子育てをしている友人を心から尊敬しています。

私は、まだその境地には至れませんでした。

そして、自分の「好き」を1つ1つ集める旅を大人になってから続けて、続けて、やっとパズルが完成したら、その「絵」は「レズビアン」ということになっていました。

今の日本では「結婚できません」

さてさて。このように「機能不全家族」で育つと、人は「間違った学習」をしてしまいます。ここに端を発して「生きづらさ」に「苦しんでいる人」をアダルト・チャイルド(アダルトチルドレン/AC)と言います。

この著書は、本来はASK(アスク/アスク・ヒューマン・ケア)というところが、カウンセラーなどの専門家を含めて行う、「ワーク」で行っている内容を文章として起こしてもらったものです。もちろん、著書としてしっかりと編集を行ってあります。

ただ…。シンプルにこれを読んで「生き直し」に活用してというのもまた、私は躊躇してしまうのです。この本は素晴らしいです。心が軽くなります。私が家族をどう捉えて、自分がどう生きようとしてきたのかを知ることが出来る良書です。

でも、「一人で」これを読んで実践しようとすると、過去の「ドロドロしたもの」と向き合う事にもなります。「しんどく」なります。場合によっては「トラウマ」が出てしまい、苦しくなってしまいます。そういう時は「本をいったん閉じて」自分が穏やかにいられるようにして欲しいのです。

でも、本当はあなたにとって「大切な人」の側で、「安全に」やって欲しいと思うのです。

だけど、私のように「ひとりの人」も多いと思います。だから紹介したい。でも「心配」でもあります。だから、しんどくなったら決して無理はしないでください。

先に発行所と編集を担当している「アスク」という団体についてと、「機能不全家族」というものについて紹介しておきます。

<アスク/アスク・ヒューマン・ケア>

特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)の出資によって1994年に設立された会社で、アディクション(依存症)と家族関係や心の問題をテーマに、出版・研修業務を行っています。

<アダルト・チャイルドと機能不全家族とは>

アダルト・チャイルド(AC)とは、もともとアメリカで、「アルコール依存症の親のもとで育った人」を指した言葉です。親や家族と共依存を起こしている子どもが大人になった時、その生き方に共通の苦しさや不自由さを抱えていることが注目され、大きな共感を呼び、一大ムーブメントになったことが発端でした。

このような家族で育った子供は「いい子」になります。「がんばりすぎ」ます。

「ありのままの自分」でいると、周囲に受け入れられず傷ついてしまう。

だから「ありのままの自分」は心の奥深く閉じ込めて、身を守るのです。

このような「自分主体」ではなく、他人や周囲を主体とすることで自分を守ろうとする生き方を「共依存」と言います。私は「依存関係とはべたべたの関係のことだけ」を意味すると思っていたため、長く「この考え」が受け入れられませんでした。

子ども時代の「生き方」はパターンとして身につき、大人になっても続きます。

毒親なども含めてACが昨今見直されている経緯

今ではアルコールに限らず、機能不全家族(ディスファンクショナル・ファミリー)や、感情を抑圧された家族のもとで育った子どもを広く指す言葉になりました。

日本社会は、個人よりも集団を優先します。その人らしくあることより、集団の中で期待される役割をきちんとこなすことを求められます。

また、なにごともまわりと比較して評価される社会でもあります。周囲と同じように振舞うこと、周囲から遅れをとらないことが必要とされ、「成績」という尺度による減点法で評価され続けます。

だから、「AC」は沢山います。世の中の色んなSNSを見ていても本当に痛感します。

皆がそれぞれの「つらい」を持ち寄って、「俺の方がつらい!(つらかった)」「私の方がもっと頑張ってきた(我慢してきた)」と。

だからこそ、今「正しい教科書」で自分を「知る」「癒す」ことが必要なのではないかと私は思います。

だから、この本を紹介しました。

最後にもう一節だけ紹介して、本の紹介とさせて頂きます。

子どものときを思い出してみます。
どんな家族のもとで育ちましたか?
家には誰がいて、何をしていましたか?
そこでは、どんなことが起こっていましたか?
私たちが過去を振り返るのは、親や家族を断罪するためではありません。
自分を憐れむためでもありません。
過去を書きかえるためでもありません。
私たちが過去を振り返るのは、
自分を縛っている鎖がどこにあるかを見つけ出すためです。
そして、大人になった自分はもう、
その鎖に縛られる必要はないということを知るためです。

ひとりでも多くの「生きづらさ」を抱える方に届きますようにー。


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