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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
不治の病がある限り、人類は特効薬の開発をつづけるでしょうね。
まあ、古代の人たちからして見れば、
まさに魔法の薬!と見られてしまうような新薬ばかり。
昔にだって、現代人を驚かせるお薬はありましたよ。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・40番

「人の夢に入り込める薬」

これは、かなり魔術色の濃いお薬ですね。
でも、このお薬を製剤した医者は、
自然の薬剤だけを使用しましたし、
神懸かりのような手段は必要としませんでした。
天使も悪魔も、このお薬には、関わっていません。
このお薬が製剤されたのは、
アラビアのマディーナ・アン・ナビー。
預言者の町と呼ばれていた場所です。
アラビアの医療は、他の国々に比べて、
進んでいる傾向がありました。
さまざまな治療法や製剤法が残されています。
アサウード・オリマンという、
主に気鬱の病、不眠などの研究をしていた医師の、
長年の成果です。
しかし、アルフリッドという逆臣が、
この薬をスルタンに服用させて、
自分の意のままにしようと企んだことが発覚し、
スルタンは、このお薬の製剤を禁じました。
その実、スルタンは、このお薬を
ぜひ欲しい!と望んだ人間関係に使用していたらしいのですが。
アサウードは、スルタンの野心に嫌気がさし、
製剤法を記した巻物を携えて、
地中海にある無人の孤島に逃げました。
数人の弟子たちと共に、
その孤島で、生涯を終えたのです。
アサウードの右腕的な存在であった弟子である、
アリー・ヒジャズは、師匠の死後、
製剤法を記した巻物を持って孤島を出奔。
イスタンブルに逃げ込みます。
その地で、密かに病院を開業していましたが、
腕の良さから、貴族に召し抱えられます。
アリー・ヒジャズが大切に保管していた、
製剤法を記した巻物は、
彼の死後、貴族の子孫の手に渡り、
試されたかどうかは、定かではありませんが、
宝物庫に保管され、今に至ったようです。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「人の夢に入り込める薬」処方

セラック・・・・・・・・・・親指大の塊を1個
羊の結石・・・・・・・・・・2粒
ヘビの乳・・・・・・・・・・3滴
コブラの卵・・・・・・・・・1個
大麻樹脂・・・・・・・・・・親指大の塊を1個
ザクロの果皮・・・・・・・・1個分
赤サソリの毒のシロップ・・・小匙2杯
ムカデ・・・・・・・・・・・1匹
ムカデを漬ける酢・・・・・・中瓶一本分
ケシのチンキ・・・・・・・・小匙2杯

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諸注意
セラック、羊の結石、ザクロの果皮は、
微粉末になるまで砕いてください。
赤いサソリは、言わずと知れた、
致死性の高い猛毒ですので、
取り扱いに、細心の注意を!
ムカデは、そのまま使用するのではなく、
葡萄の種から作った酢に、
三か月ほど漬けた物を使用してください。
漬けた後の酢は、ムカデの毒素を
たっぷりと溶かし込んでいますから、
別用途に使用できます。

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備考欄
夢は五臓の疲れから。
なんて言いますね。
夢の中の出来事に、
本当に心が痛んだり、
実際にあったことではなかったか?と、
勘違いしてしまったりもします。
夢の中で、つまり、
相手が眠っている状態で、
自分の思うように操るために、
切々と洗脳したり、口説いたりするなら、
起きている状態よりも、
容易いかもしれません。
しかし。
あなたが、実は、
心底から、その相手に嫌われていたとしたら?
社会生活の中では、
平気な顔をしていたとしても、
相手の本心に直接触れるわけですから、
夢の中で、壮絶な大喧嘩が勃発しかねません。
これは、ある意味、賭けですね。
相手に逆トラウマを植え込んでしまう可能性があります。
相手のことをよく知るために長いお付き合いをするなら、
このお薬を服用しなくても、
あなたのお願いを聞いてくれるかもしれませんね。

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