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「おらおらでひとりいぐも」ってどういう意味?

「おらおらでひとりいぐも」若竹千佐子


文藝賞、芥川賞ダブル受賞の作品。
震えるほど感動しました。
年をとってくるとみんなが感じる老後の孤独や体力の衰え、死への恐怖などに真っ向から向き合い、見事にその不安を明瞭に描き出しています。
でもなんか強い。
言葉遣いが強いんですよね。
そして言葉の端々まで神経を張り巡らせてピッタリくる表現が、推敲を重ねたんだなぁと重厚さを感じさせる逸品です。

あらすじ

ひとりだけれど、ひとりじゃない。
おらの今は、こわいものなし。
70代、ひとり暮らしの桃子さん。
2人の子どもを育て上げ、夫婦水入らずの平穏な日々が続くはずだったのにーー
最愛の夫を亡くし、子どもたちは疎遠。
おらはちゃんと生ぎだべか?
悲しみの果て、人生の意味を問う桃子さんに、
突然ふるさとの懐かしい言葉で、
様々な内なる声が
ジャズセッションのように湧いてくる。
そしておもいもよらぬ賑やかな毎日がーー

老後の不安な気持ち、確かめてみませんか


この題名は宮沢賢治の詩にある言葉のようで、「私は私で一人逝く」という意味のようですが、この本では「私は私で一人生きていく」と言う意味に捕らえられるところが素晴らしいです。
文章のほとんどが「東北弁」とざっくりした方言の表し方ですけど、著者の若竹千佐子さんは岩手県出身ですし、岩手弁なんでしょうね。

少子高齢化が激化している現代、ひとりで老後を生きる高齢者は70歳以上で28.4%、令和2年には男性231万人、女性441万人となっているようです。
ひとりでいるから自分だけかと思いがちですが、老後の不安を抱えている人はいろんな意味を含めれば前人類共通と言えるかもしれません。
この本を読んでモヤモヤした不安をはっきり目の前に曝け出して少し軽い気持ちになってみませんか。


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