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2020.7.3 サイバー攻撃による日本企業の弱点

中国のオーストラリアへの大規模サイバー攻撃

6月19日にオーストラリアのモリソン首相が緊急記者会見を開いて、オーストラリアが現在、大規模なサイバーアタックを受けていることを国民に知らせました。

攻撃の対象は連邦政府のみならず地方政府、教育機関、医療機関、研究機関に至るまで、あらゆる分野にわたっていて、その洗練度と規模からして国家による攻撃であることは確実としながらも、中国を名指しすることは避けました。

しかし、専門家やメディアは中国による国家的な攻撃であることをまったく躊躇せずに指摘しました。

中国政府は直ちに関与を否定し、反中プロパガンダだと非難しました。

中国ではなく、アメリカの陰謀論を唱える人も少なからずいますが、拙生も中国がやっていると睨んでいます。
なぜかというと、中国はこれまでも何度もやっているからです。

モリソン首相も、
「このような攻撃は新しいことではないが、規模が大きくなっている」
と発言しています。

オーストラリアでは以前から、中国人民解放軍の一部とみられる部隊によるサイバー攻撃が認識されていました。

高度に洗練されていて、侵入してから変異して痕跡を消し、乗っ取ったPCからウイルスを仕込んだメールを州政府に送ったケースが最近も報告されています。

こういった経緯から、以前より大規模にサーバー攻撃を行うことは容易に想像できます。

一部では、サイバーアタックの主目的は、新型コロナウイルスに関するデータを盗むことではないかと言われています。

中国もワクチンを作成するために、外国の医療機関や研究機関が蓄積したデータは喉から手が出るほど欲しいでしょうから。

中国による豪州への浸透工作を詳細に告発した「目に見えぬ侵略‐中国のオーストラリア乗っ取り計画」(飛鳥新社)の著者であるクライブ・ハミルトン教授は、取材で
「これは中国の豪州へのメッセージだ。自分たちは大きく、ちっぽけな豪州を罰する力があるというメッセージだ」
と述べています。

教授の著書が出版されてから2年。

コロナ禍を経て牙を隠さなくなった中国に対し、オーストラリア政府は屈しない姿勢を示し続けています。

日本最大の弱点

オーストラリアと同様に、このようなサイバー攻撃を日本も受けていないわけではありません。

実際、今年初めに三菱電機が大規模なサイバーアタックを受けましました。

当初は、防衛関連情報は盗まれなかったと発表していましたが、後に研究開発中の防衛装備品である高速滑空ミサイルに関する情報を盗まれた可能性が高いと訂正しました。

三菱電機は、昨年3月にも中国拠点内のネットワークに設置されているサーバーが攻撃され、中国にある端末経由で日本国内の拠点も攻撃されました。

これを公表するまで一年近くも時間が経っています。

この遅さが日本の組織の最大の弱点です。
まあ、まだ公表されただけマシではあるでしょうが…。

日本の文化に根差す問題の中には、都合の悪いことは隠すという隠蔽体質があります。

三菱自動車のリコール隠しはもはや論外ですが、シリアスな問題ほど箝口令が敷かれる可能性が大いにあります。

「絶対に口外するな」
と上司に命令されて、いよいよ隠し切れなくなってから止むを得ず公表するなどというパターンは十分に有り得ます。

すでに攻撃されたことが分かっている三菱重工、NEC、神戸製鋼所など、いずれも伝統的な日本企業なので、報道されずに話題にならないだけで、日本企業の情報は盗みに盗まれ放題となっている可能性がかなり高いと考えるべきでしょう。

今回、ミサイル迎撃システムであるイージスアショアの導入断念が話題になっていますが、その本当の理由が中国が三菱電機から情報を盗んで開発した高速滑空ミサイルに対応できないからだったのであれば、全く洒落になりません。

隣の国が日本にミサイルを向けている以上、あながち笑い話では済まされない話です。

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