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2023.7.29 【全文無料(投げ銭記事)】子育て支援で5倍の税収?

今回は、『少子化』というテーマで書き綴っていこうと思います。

本記事では、
・産みたくても産めない日本の現状
・フランスの支援事例
・親を支える共同体の必要性
などについて、より理解を深めて頂けるかと思います。


韓国、世界最低の出生率の衝撃

『少子化』の問題が叫ばれてから既に久しいのですが、2022年の一人の女性が一生の間に生む子どもの人数である合計特殊出生率(以下、出生率と略記)は1.26と長期的な低迷が続いています。

しかし、
「下を見ればキリがない」
とも言うように、韓国では2005年に1.09と世界最低水準を記録し、オックスフォード大学の人口学者デービッド・コールマン教授が、
「韓国は世界で初めて少子化で消滅する国になるだろう」
と予測しました。

韓国の“独走ぶり”はその後も続きます。
2018年には世界で始めて1.0を切り、更に低下を続けて2022年には0.78という凄まじい数字になりました。

元『週刊東洋経済』編集長で、韓国経済に詳しい勝又壽良ひさよし氏は、当時の文政権時代にこう言っています。

就任後、最低賃金を29%も引き上げるなど文大統領の失政によって韓国経済が低迷し、韓国の若者の5人に1人が失業中と言われます。
しかも不動産価格も高騰し、若者は結婚して住居を構えて子供を育てるゆとりがありません。

出典元『Zakzak』


また他誌でも、世界一の自殺率、海外脱出願望など、『地獄の韓国ヘル・コリア」ぶりが紹介されたりし、その悲惨さが世界最低の出生率に表れています。

勝又氏は、最後に、
「国家国民の存続よりも市民団体や労働組合の都合を優先する左派政権の文大統領のもとでは、出生率の回復は望めません」
と結んでいますが、少子化問題を克服するには、左巻き思考から脱却して、健全な共同体観が必要なのです。

では次に、日本の国内事情を対象に、この点を考えてみましょう。

“結婚したい”人が大多数なのに、未婚者が増えている

出生率は、男女が結婚する比率と夫婦となって産む子供数で決まります。

未婚者が増え、子供を産まない夫婦が増えれば、必然的に少子化になってしまいます。

我が国の少子化の原因は9割が未婚化・晩婚化、1割が夫婦が産む子どもの数が減っていると言われています。


まず未婚率は近年激増しています。
1985年と2020年の50歳時点の未婚率は次のようになっています。

 男性 3.9%(1985) → 26.6%(2020)
 女性 4.3%(1985) → 17.8%(2020)

大まかに言うと、50歳男性の4人に1人、女性の5人に1人は未婚です。
これだけ未婚者が急増すれば、少子化も当然ですね。

しかし、これは“結婚したくない男女”が増えたからではありません。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、
男性未婚者で「いずれ結婚するつもり」が85.7%、
女性未婚者では89.3%もいます。

未婚者の意識では、
「結婚に利点あり」
と感じている理由としては、
「子供や家族を持てる」
「精神的な安らぎの場が得られる」
「親や周囲の期待に応えられる」
が挙げられており、健全な伝統的価値観が根強く維持されていることが分かります。


ほとんどの男女は、
「結婚の利点を認め、いずれ結婚するつもりでいるのに、結婚できない」
という不幸な境遇なのです。

よくマスコミなどで言われる、
「結婚しなくとも良いと考える人が増えた」
という“価値観の多様化”はごく部分的な現象なのです。

経済的に“結婚したいのにできない”気の毒な状況

なぜ結婚できないのか? 
上記の調査では、結婚意思のある未婚者に、
「一年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるか」
を未婚男性に尋ねたところ、次の結果が得られたとしています。

結婚資金     43.3%
結婚のための住居 21.2%
職業や仕事上の問題14.5%

この調査結果は、社会学者であり中京大学の松田茂樹教授の研究結果とも整合しています。

90年代以降の非正規雇用者の増加が、主に男性の初婚を難しくしたことによって、未婚化の進行に影響した。
年収300万円未満の男性は、それ以上の人よりも未婚率が高い。

いつ首になるか分からない派遣やバイトの男性、年収が300万円未満の男性が、結婚に踏み切れないのは当然でしょうし、相手の女性やその家族が躊躇するのも無理はありません。

これは“価値観の多様化”と誤魔化して、放置しておいて良い問題ではありません。

初代 神武天皇は即位された時に、
大御宝おおみたからしずむべし」
即ち大切な宝である人民が、安らかな生活ができるようにしようと述べられました。

しかも、
「一つ屋根のもとで暮らすことが良い」
と、人々は家族、地域、国家の共同体の中でこそ幸せになれる事を示されています。

これが我が国の建国目的なのですが、
「結婚したいのにできない」
即ち家庭という最も基本的な共同体に入れない不幸な男女が多いということは、現在の日本が建国の目的とは程遠い状況にあるということなのです。

産みたいのに産めない

出産の状況も見てみましょう。

既婚夫婦が理想と考える子供数は2.32人です。
理想とする子供数は、
1人以下が12.1%、2人が51.3%ですが、
3人以上とする夫婦が36.6%もいます。

複数回答可の子供を持つ理由トップ3は、
1.子供がいると生活が楽しく豊かになるから 78.8%
2.結婚して子供を持つのは自然なことだから 59.6%
3.好きな人の子供を持ちたいから      34.7%
と、こちらも伝統的で健全な価値観が窺われます。

しかし、この理想と現実にはギャップがあります。
既に生まれた現存子供数は1.68人ですが、これから産もうと考えている子供数も含めた予定子供数は2.01人。

理想の2.32人と予定の2.01人の差は13%あります。
夫婦8組に1組は、もう一人を産みたいのに諦めているのです。

障害の第1は、
「子育てや教育にお金が掛かりすぎるから」
という経済的な理由を56.3%の夫婦が挙げています。

理由の第2は、
「高年齢で産むのはいやだから」39.8%、
第3は、
「欲しいけれどもできないから」23.5%。

第2、第3の障害は高齢出産や不妊治療などの医学的進歩で軽減していけるでしょう。

第4は、
「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないから」
というもので、第1の経済的障害と共に社会的対応が必要な課題です。

何れにせよ、こちらも、
「子供を産まなくとも良いという価値観の多様化が進んでいる」
という言い訳で放置して良い問題ではありません。

経済的、心理的、肉体的な負担で産みたいのに産めないという不幸は、
「大御宝を鎮むべし」
という建国目的から見ても、手を打たなければならない課題です。

これだけ支援されたら、子を持ってよかったと思える

障害の第1である、
「子育てや教育にお金が掛かりすぎるから」
は、欧州での出生率が高い国が軒並み手厚い支援によって、既に克服しています。

例えば、フランスは出生率1.87と、日本の1.36よりも遥かに高い水準ですが、それは手厚い国の支援によって支えられています。

まず家族手当が、20歳未満の子供が2人以上いる世帯に毎月支給されます。
2人目で129.47ユーロ、3人目で296.35ユーロ。
これに学齢期の子供には新学年手当がつき、6~10歳なら一人当たり363ユーロ。

更に3人以上の場合は多子手当で、中所得層で168.52ユーロの支給。

総計すると、6~10歳の3人の子供を育てていると、合計約1550ユーロ、本日7時時点の1ユーロ=155.76円で換算すると、一月当たり約24万円となります。

現金給付だけでなく、所得の課税も家族が多いほど税負担が緩和されます。
また3歳児のほぼ全員が無償の保育学校に通っています。

極めつけは『大家族カード』で、18歳未満の子を3人以上養育している家庭は、鉄道料金、住宅設備、生活消費財・サービス、レジャー・スポーツ・文化等において、料金の割引を得られます。

フランス人と結婚して、フランスで子育てをしている高崎順子さんはこう語っています。

母国を遠く離れた場所で私が2人の子を生み育てようと思えたのは、この国の制度下での育児に不安がなかったからだ。
確定申告の際は夫とともに、
「これだけ支援されたら、子を持ってよかったと思える。自分たちもこの社会を支えなくてはね」
と語り合っている。

フランスだけではありません。
2009年時点と少し古いですが、OECD(経済協力開発機構)の先進国33ヶ国のうち、家族向けの公的社会支出がGDP(国内総生産)の3%を超える国が13ヶ国あり、そのうち10ヶ国が出生率1.8を超えています。

同じ時点で日本の公的支出は1.5%とこれらの国の半分以下、韓国にいたっては1.0%と3分の1以下です。

子育て費用の5倍もの税収が期待できる

子供の養育に手厚い国による支援を行うのは、経済的にも理に適っています。

子供が成人したら、国の経済を支え、税金を払ってくれるからです。

日本の場合でいえば、生涯賃金は男女学歴で相当異なりますが、平均的には2億円程度とみて良いでしょう。

支払う税金は所得税、住民税だけで推定2800万円。
その他に消費税などもありますが、それらを除いてもこれだけの金額です。

一方、22歳までの子育て費用は731万円です。

仮に政府がこの子育て費用を国債で調達し、全て支給するとします。

年利1%で子供が60歳になるまで借り続けても、返済総額は1328万円。

税収増は2800万円ですので、返済を差し引いても1500万円程度の税額が残ります。

国家経済への寄与分2億円は、返済金額を差し引いても1億8000万円近くの経済拡大効果となります。

算数のできる政府なら、これだけの投資効果のある経済対策を見過ごすはずはありません。

どしどし出産や子育てを支援して、
「これだけ支援されたら、子を持って良かった」
と思える国民を増やすことが、国全体としても合理的なのです。

また、子供を持つ家庭に財政支援を行うことは、公正公平の原則にも適います。

子育てをしている家族は、その費用731万円を自己負担し、しかも養育に莫大な時間を使って、将来2800万円も税金を支払ってくれる納税者を育ててくれているのです。

子育てをしない国民も、この将来の納税者に頼って、国家のサービスを受けるわけです。
それらの人々の税金も使って、子育てを国として支援することこそ公正公平なのです。

そして、この政策によって、子供を産みたい、育てたい家庭が、その希望通りにできて、
「子供がいると生活が楽しく豊かになるから」
「好きな人の子供を持ちたいから」
といった幸せを国民が噛みしめられるようになるのです。

これこそ
「大御宝を鎮むべし」
を達成する道でしょう。

逆に言えば、現在の日本は、この子育て費用を家庭に押しつける不公正・不公平な政策をとっており、負担に耐えられない家庭が、産みたい子供も産めず、結果的に少子化となり、将来の税収も先細りになるという愚策をとっているのです。

国債として国民から借りることのできる資金は有り余るほどあるのに…。
なぜ、こんな状況になっているのでしょう。

みんなで親を助けなくちゃいけない

高崎さんがフランスの経済学者にインタビューしたところ、フランスでの社会的合意として、次の2点の価値観があるとの答えでした。

1.子供は社会にとって大切な存在
2.子育ては親だけではできないほど、大変なこと

最初の点は、左翼やフェミニストが黙殺してきた点です。

例えば、社民党の福島瑞穂参議院議員は、
『産まない選択 ― 子どもを持たない楽しさ』
という著書を出しています。

その帯には、
「産む人生も産まない人生も等価値だ!」
と大書されています。

ここでは、
「子供が社会にとって大切な存在」
という意識は全くありません。

“価値観の多様化”とは歴史伝統の縦糸、共同体の横糸を断ち切って、国民を“孤立した群衆”にして革命と全体主義に導く戦術なのです。

少子化対策を国民全体で支持するためには、この左巻き思考の正体を知って、
「子供は社会にとって大切な存在」
である事に気付く必要があります。


また、
「子育ては親だけではできないほど、大変なこと」
という認識に関しても、かつての日本が地域で力を合わせて子育てしていた伝統を思い出すことが必要です。

高崎さんは、長男が保育園に通い始めた頃、園長先生がこう話してくれたと言います。

子供に一番大切なのは、やっぱり親なんです。
どんなにいい保育園も、親の代わりはできない。
親ってそれだけ大切で、大変な役目なの。
だからこそ、みんなで親を助けなくちゃいけない。
親が子供と幸せでいられることが、子供にとっては一番なのよ。
だからみなさんも、遠慮しないでいろいろ話して下さいね!
私たちは、あなたたちを助けるためにもいるんですからね。

高崎さんは、目頭がぐーっと熱くなり、
「ここでなら、私にも子供を育てられる」
と、心強く感じたと言います。

子育てを社会が直接行おうとするのは、左巻き思考の錯誤です。
大御宝を生み育てる家庭に敬意と感謝の気持ちを込めて、地域や国が助ける、それが“一つ屋根の大御宝を鎮む”道なのではないでしょうか。

最後までお読み頂きまして有り難うございました。
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