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2022.5.17 弱者が強者に勝つ“ある戦争の法則”

Q.皆さんは、これがどこの国か分かるでしょうか?
・2021年、20年間の戦争の末にアメリカに勝利。
・1989年、10年間駐留したソ連軍を追い返し、ソ連崩壊の原因の一つとなる。
・1842年、帝国全盛時代のイギリスとの3度による戦争に勝利し、1万5千人の兵を全滅させた。

アメリカとの100倍以上の軍事力の差を跳ね除けただけでなく、ソ連、イギリスという名立たる大国を次々に敗北に導くことから、『帝国の墓場』とも呼ばれるこの国は…、
近年世界を脅かしている中国…、ではありません。
第二次世界大戦の主役ドイツ、でもありません…。
まもなく世界一の人口になると言われているインド、でもありません…。

この国は、一人当たりのGDPが世界ワースト10に入る最貧国(2020年 213ヶ国中205位)。

『アフガニスタン』です…。

『中国の尖閣への侵攻』『ロシアによる、北方領土での軍事演習』など、隣国の大国との領土問題に揺れる日本。

メディアでも、著名なコメンテーターたちが、
「いつ攻撃されてもおかしくない」
「今の自衛隊では、もしもの時に、日本を守ることができない…」
と、繰り返し警告する小国の日本にとって、同じく中東にある小国アフガニスタンで起きた出来事は、日本の未来を読み解く重要な鍵になるでしょう…。


『米ソを負かした最貧国』

大国ほど嵌まる落とし穴!?アフガニスタン不敗の秘密

2001年9月11日。
世界貿易センタービル襲撃。

アメリカ同時多発テロが発生し、世界を震撼させた。

良く晴れた気持ちの良い朝を、テロリスト達は一瞬にして恐怖のどん底に突き落とした。

そして、テロから1ヶ月後、その首謀者を匿っているとして、アメリカはアフガンに侵攻を開始。

世界最強のアメリカ軍に対して、中東の小国であるアフガニスタンとの国力の差は歴然。

アメリカの軍事費は、アフガンに比べて100倍以上もの差があった。

当初、その勝敗は、直ぐに決まる…はずだった。

しかし、このアフガニスタン侵攻というアメリカの決断こそが、ベトナム戦争をも優に超える、アメリカ史上最悪の決断となってしまう…。

戦争開始当初、アメリカは、アフガニスタン国内に4000人ほどの軍を派遣。
他の同盟国の兵も合わさり、直ぐに勝利すると推測していた。

最新型の高性能爆弾を、敵の基地目掛けて次々に投下。

対抗することができないアフガニスタン勢力は、ひたすら空からの爆撃を食らうのみ…。

攻撃は一方的なものになったにもかかわらず、中々落としきることができない。

アフガンでの攻防が続くにつれて、派遣するアメリカ軍の数は増えていった。
戦争開始から8年後の2009年には、3万人。

さらに同年には、アフガンの司令部からアメリカホワイトハウスへ
「必要な派兵は、さらに3万にほどであること」
との極秘報告があり、痺れを切らした当時のオバマ大統領は、さらに3万人の増員を行った。

一時は、アメリカ軍全体の10分の1である10万人も兵力を、アフガニスタンに派遣していた。

それでもなお、アフガンを落とすことはできず、泥沼化する戦況で、アメリカ兵は2500人以上も戦死した。

さらに、ベトナム戦争を思い出させるような状況に、アメリカ国内では、
「なぜ、他の国のために、アメリカ人が死ななければならないのか…」
「アフガニスタンのために、命を捧げる必要があるのか…」
との声が上がり、反戦運動が次々に行われた。

20年間で、2兆2600億ドル(300兆円)以上もの戦費が掛けられたにもかかわらず、戦況は刻々と悪くなるばかり…。

その状況を見たトランプ大統領も、
「なぜ、アフガンが落とせないんだ!」
と怒りを爆発させたと言います。

そして、最終的には、2021年8月15日。
反政府勢力であるタリバンが、首都カブールを制圧。

アメリカ史上最長の戦争は、軍事費が100倍以上も小さい小国を相手に、事実上の敗北に終わった。

「よく聞け。我々は許さないし、忘れることもない。お前たちを必ず見つけ出して代償を支払わせてやる」

バイデン大統領は情けなくも、このように捨て台詞を吐いて撤退することに…。


圧倒的な軍事力の差を以てしても、アフガニスタンを落とすことができなかったアメリカ。

実は、過去にも、冷戦真っ只中のソ連や19世紀に覇権国だった大英帝国も、同じようにアフガニスタンに侵略し、最終的には敗北、撤退を余儀なくされます。
このように、名立たる大国が次々と敗北。
そして、撤退していくことから、アフガニスタンは『帝国の墓場』と呼ばれています。

では、一体なぜアフガニスタンは、これらの大国に勝つことができたのか…?

圧倒的な軍事力の差を覆したアフガニスタンの例のように、覇権を持っているような大国が、桁違いに弱い国に負けることは、歴史を振り返れば何度も起こってきました。
そして、その逆転劇の裏に隠れているのは、世界ではほとんど知られていない、幾つかの戦争の法則なのです。
その法則に従って世界の戦争を見ていくと、大国が繁栄、そして滅亡していく法則が、はっきりと見えてきます。

これは、アフガニスタンだけに当て嵌まるのではなく、過去の歴史を見ると、フランス革命後、破竹の勢いでヨーロッパ地域の制圧に掛かったナポレオン帝国も、第二次大戦時を領土拡大のチャンスと捉え、ナチスと手を組んだムッソリーニ率いるイタリアも、そして、大日本帝国時代、朝鮮や満州などの覇権を狙っていた日本でさえ、過去に敗戦した国の運命を紐解くと、力を付けた大国が辿った“ある法則性”が見えてきます…。

この大国の法則は、世界の国に置き換えても同じであって、力を持った大国の行動には、いつも共通するものがあります。
そして、この法則を読み解くために、私が最も頼りにしている国際政治の理論に“リアリズム”というものがあります。

これは、ある学者が10年もの歳月をかけて書き上げた辞書のように分厚く、難解な理論です。

正直、一般の人が全てを読み解くのは、不可能に近いでしょう。

しかし、このリアリズムがどのようなものかを理解すれば、大国の繁栄と滅亡の法則が、はっきりと解って頂けるでしょう。
そうすれば、日本が今後、世界に対し、どう立ち回って行けば良いのか。
という具体的な戦略も見えてくるはずです。

現代の世界の力関係はどのように説明できるのか…。

日本がまた敗者にならないためには、我々日本人はどんな視点で世界を見て、どんな戦略を持つべきなのか?

著名な研究者が過去の歴史から導き出した、大国の行動パターンを見抜く理論を理解し、日本が賢い戦略的思考を手に入れた時、日本は勝ち組になるためのビジョンが描けるようになるはずです…。

今回は、日本の教育でも、TVや新聞などでも学ぶことのできない、勝者になるための理論があることを広めたい。
そして、未来を見通せる視点を持つ日本人が増えてほしい、という想いから書き綴らせて頂きました。

最後までお読み下さいまして有り難うございました。

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