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[日記]今日の神さまをテレビとして

人と話すのが好きだ。絵が好きだ。買い物が好きだ。食べるのが好きだ。仕事をするのが好きだ。

でも、失っても痛くないのだ。


わたしには「娯楽」があった。遊園地、映画、ゲーム、本、ラジオ、アニメ、お笑い、芝居。
エンタメ=楽しませようとしてくれるものが、どうしようもない気分の朝や夜を紛らわせてくれた。貧困妄想も不眠も傾眠も恥も悪グチも、どうでも良くなっちゃうくらいの。

娯楽は、わたしの神さまだった。
娯楽は、わたしの神さまではなくなってしまった。



若いうちから摂りすぎたせいなのか。ただ疲れてるだけなのか。そもそも本当に要らないものだったのか。

好きなものを好きで居続ける脳の部品をどこかに置き忘れてしまったように、
わたしは娯楽さえ「失っても痛くないのだ」と、いつしか思うようになってしまったのかもしれない。


前はどうしてたっけ、とふと考えてみたら、好きじゃなくなっても新しいナニカを見つけて、磨いて、いつしか自分にとって大切なものにしていったように思う。
今それをしないのは、自分の努力下にないものにやりがいを感じなくなった、大人に近づいた証なのかもしれない。


P.M.10:40。家に着いてテレビをつけた。録画した番組を、ハッシュドビーフをつつきながら眺めていた。
わたしは泣きそうになった。
まだ面白いと思える心がわたしにはあった。観たい番組が、作品が、まだ、あるんじゃないかと思って。


暗い暗いニンゲンがどれほどくたばってたってどうにか明日を迎えられるようになっていたんだと、気づいて、冷え切った身体の中に満ちるわたしの思考は娯楽を受け止めてやった。

朝日が昇ったら、またケダモノのように唸るわたしの形をしたナニカが誕生する。生きる定めとして、こんな一年で体調がいい日なんて一日もないような容れ物にまいにちまいにち入って意識を保たなければならない。
つらいか、と画面越しに言われたのだが、もうわからなかった。ただ、今日の神さまはあなただったのだ。


電源を消したテレビに反射して見える 神さまわりといい顔 (2022.10.22)

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