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「もののけ姫」に見る「現代」を生き抜くヒント

こんにちは、さんかくしおハッカです。

普段はお堅い哲学やビジネスに関する記事を投稿している私であるが、今回は題材を思いっきり変えてみる事にした。
と言っても、私にとってはこの考えが今の仕事にも通じるところが大いにあると考え、思い切って文章に起こすものである。

もちろん最後には現代を生きる我々にとっても、ためになる内容にしたいと考えているので是非最後までお付き合いいただきたい。

さて、今回は表題の通り。
現在「一生に一度は、映画館でジブリを。」というキャッチコピーで実施されているスタジオジブリ作品のアンコール上映。その中でも個人的に最も皆様にお勧めしたい作品「もののけ姫」について語っていきたい。

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宮崎監督の作品はこの「もののけ姫」以前と「もののけ姫」以後に分けられると言っても過言ではないほど、この映画は大きなターニングポイントとなった作品だと私は理解している。
その理由はもちろん、世界に「HAYAO MIYAZAKI」の名前を知らしめる作品となった事が挙げられるだろう。緻密な背景描写、手に汗握るアクションシーンなど宮崎作品の真髄を見せつける完成度の高さ。
「Princess Mononoke」は世界公開され、アニメ作品としては初めて日本アカデミー賞作品賞に輝いた。当然、興行収入は当時の実写映画も含めた日本記録をあっという間に塗り替えてしまった。

しかし、私の中で最も大きな功績は、この作品がそれまでの作品と比べ突出して宮崎監督自身の内面に大きく影響された作品である事だ。


「この作品で引退する」と初めて監督が語ったのも実はこの「もののけ姫」だった(後に撤回しているが、その後作品を作るたびに同様の発言をしている)。それほどまでにこの作品にかけた情熱は凄まじかった。まさに命を削りながら作品と向き合っていた事だろう。

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映画の封切りは1997年。

制作期間中、国内では人々の価値観を根底から揺るがすような事件や災害が相次いだ。「地下鉄サリン事件」や「阪神・淡路大震災」。

沢山の人々の日常が一瞬のうちに奪われてしまった凄惨(せいさん)なニュースを、当時小学生だった私もただただテレビで眺める事しかできなかった。
こうした世の中の情勢を特に敏感に感じ取っていた監督は奇しくも作品のテーマを「生きろ。」とし、この「もののけ姫」はエンターテイメント作品としてはあまりに多くの社会問題を詰め込こんだ映画となっていった。

物語の主人公はタタリ神によって呪いの傷を負った若き青年。
命をも食い尽くす呪いを抱え旅に出た青年の前に現れたのは、やはり村人達から忌み嫌われ、神々の住む原生林で山犬に育てられた少女だった。

ここまで聞いただけでも、それ以前の宮崎作品と比べて極めて異質な存在感を放っている事が分かる。

運命に翻弄されながら出会った2人はやがて、シシ神を中心とする自然界と人間の全面戦争に巻き込まれる事になる。アシタカは1人「自然と人間、共に生きる道はないのか」と奔走する。

この作品を通して監督は何を伝えたかったのか。
それは人間の度し難さ(愚かさ)と現代をどう生きるかというメッセージだ。
これはまさに、20年以上が経とうとする今においても共通するメッセージではないだろうか。

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世の中に蔓延する差別、病、紛争。
新型コロナウィルスのパンデミックや、米中の緊張、無くならない人種差別。もっと身近なところに視線を下ろしても、私達の周りには目を覆いたくなるような現実が転がっている。

医療福祉に身を置く者としても、決して他人事ではないテーマがそこに潜んでいる。

インターネットの普及により個人が情報発信する時代に突入した。私たちはその言葉で多くの人々を傷つけてしまう武器を持った。顔の見えない大人同士が言葉で傷つけ合い、中には現実の命をも奪ってしまう。
テクノロジーの進歩は、それを使う私たちのリテラシーに容赦なく挑戦状を叩きつけている。
これからの将来を担う若者が、いやもっと言えば子供たちが。大人たちの作るこの世界をどう捉え、どのように生きようと思うのか。世界を包む閉塞感のその先に、一体何を見出す事ができるのか。

その答えを探すため、改めて多くの人にこの作品を見直すべきだと私は考える。
観終わった後には決して簡単ではない、しかし確かに心に残るメッセージを受け取る事ができるはずである。アシタカやその他のキャラクターを通じて、前向きに生きようとする力をつけてもらえる事だろう。

宮崎監督は制作途中にこんな言葉を残している。

「この主人公(アシタカ)は、露骨には言ってませんけど『お前は要らない』って言われた人間なんですよ。しかも悪い事をしたからではなく、良い事を行ったのにですよ。そういうババをひいた人間ていうのが、世の中には確実に存在していて。でもそういう生き方っていうのが、今の若者にも通じる所があると思ってます。だから、(今までとは違う)この映画がどういう風に受け止められるか。出来てみないと分かりませんけど」

圧倒的な時代を読み解く力。そして、人の心を動かす影響力。果たして自分たちに何が出来るだろうかと考えながら、私も改めてこの作品を観直すこととする。

さんかくしおハッカ

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