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デザイン会社の僕らがtoC向けアート事業をはじめた理由

みなさま、はじめまして。
デザイン会社Samon inc.(サモン)の代表・堀岡です!

本日、限定生産されたオリジナルアート作品を、すぐに飾れる形で届けるサービス「Postarte(ポスタルテ)」をリリースしました。

普段はオフィスの設計から美術館のキービジュアル制作など、空間からグラフィックまで幅広くtoBに向けたデザインのお仕事をさせていただいているのですが、この度初めてtoC向けのアート事業をスタートしました。

そこで今回は、僕らの新規事業「Postarte」に込めた想いを、noteでお伝えしたいと思います。​

「Postarte」とは

「Postarte」は、限定生産されたオリジナルアート作品を、すぐに飾れる形で届けるサービスです。

アートをもっと気軽に暮らしの中に取り入れてもらいたい。そんな想いを込めてつくりました。

好きな作品を選び購入すると、アート作品に加え、すぐに作品を飾ることができる「オリジナルフレーム」「壁掛けフック」、そして制作秘話を知ることができる冊子「インタビューZine」が一緒に届きます。

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第一弾は、7名のクリエイターによる描き下ろしポスター。それぞれ200部の限定生産で、作品裏面にはクリエイターの直筆サインとエディション番号がついています。

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「必要なものを買うより、気に入ったものを買う」
という幸せ

少し僕の話をします。

武蔵野美術大学で建築学を学び、デザイン会社へ就職。その後、26歳のタイミングで大学同期の柴久喜と一緒に独立しました。

今は、空間を主としたデザイン領域を得意としていますが、アートやデザインがどの領域のものであっても好きで、自身がデザインをする中でもアートに関しては、何にも縛られず自分の想いに純粋に、そして実直に創作活動をするその姿勢と作品に強い憧れがあります。

そもそも、僕がアートを好きなる原体験は、16歳の時に「自分で作った作品をフリマで売る」という、画塾の授業だったと思います。

技術も思想も拙く、今思えば「なんだこれ」というような作品を出品したのですが、そんな作品を、実際に購入してくれた方がいました。

美術を学びだしてそれほど時間の経っていない僕自身、自分の作品が売れたことが本当に嬉しくて。僕だけでなく、作品を購入してくれた方も嬉しそうな顔をしていたことを、今でも覚えています。

そんな僕を見て、画塾の先生が「必要なものを買うより、気に入ったものを買う方が人は幸せかもね。」と言葉をかけてくれました。

「これこそが、アートやデザイン、美術の素晴らしさなんだ!」とこの時、膝を打ったのです。


アート離れした日本

僕が独立してすぐの時に読んだ書籍『桂―日本建築における伝統と創造(1960年刊行)』に影響を受けた言葉があります。少し要約すると

「日本人は戦前と戦後において「美しいもの」に対する価値観が大きく揺れ動いていて、分岐点にある。」

と書かれていたのです。

禅などを見ても戦前の日本にとって、アートを楽しむことは、身近なことだったように思います。例えば掛け軸や屏風、日本庭園など。アートは人々の身近な日常に存在し、それらを尊ぶことで感じられていた豊かさがあったのではと思います。

しかし現代の日本を見ると、一般家庭でアートが飾られている家庭はなかなかありません。

確かに戦後、物資が不足する中、「必要なもの」が優先されたことは当たり前だと思いますが、戦後75年たった今であれば、「必要なもの」は飽和し、暮らしは充実しているように思います。

そこで本サービスでは、「気に入ったもの」を暮らしの中へ気軽に取り入れるお手伝いができればと思いリリースをしました。

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アートを楽しめない?

現在、(自宅で)アートを楽しむためには少しハードルがあります。

例えば、アートに対して漠然と「難しい」と感じてしまったり、「ちゃんと理解したいが、作品理解に必要な教養がない」「正解がわからない」という理由から、関心を抱くことすら躊躇してしまったり。

興味があるアートがあっても、希少性が高くそもそも作品が売られていなかったり、あまりにも高価で手が届かなかったり。

心惹かれる何かはあるけれど、「必要か否か」という合理性というものさしで、不必要と判断してしまったり。

部屋を装飾するために雑貨屋で販売されているポスターを買ってみたものの、思い入れを感じられなかったり、あまり自分の部屋に合わなかったり

飾りたい作品はあっても、フレームやピンを準備するのに手間がかかったり何を選べばいいかわからなかったりなかなか時間が取れなかったり。

日本では、これらのハードルがアートを暮らしから遠ざけているように思います。逆を言うと、これらを少しづつ解消していけば、アートはより身近になっていくのではないでしょうか。

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自由な表現の重要性

クリエイター側の視点に立ってみると、デザイナーだけでなく、イラストレーターやフォトグラファーでさえ、クライアントの意向や予算などが立ちはだかります。「相手第一」の状況となれば、どうしても諦めなくてはならないことはやっぱりあります。

そんな中、自分の想いに従った自由なクリエイションは難しい、あるいは自分にとっての新たな表現を「実験」することは難しいのです。

クライアントはこれまでクリエイターが発表してきた制作物にオファーを掛けて来ることが多く、その制作もまた同じようなものになりがちです。新たな表現方法を獲得できるのであれば、更に多くの案件に繋がったり、自身のまだ見ぬ可能性を拡げられるはずです。

だからこそ、自由に表現できる場が必要だと考えました。Postarteでは、参加頂いたクリエイターさんにとっての「実験場」となるようなスキームとし、その中で自由に制作を行ってもらいました。

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アートをもっと身近に。クリエイションをもっと自由に

ここまでをまとめると、
・生活者にアートをもっと身近に感じてもらいたい!
・クリエイターの自由なクリエイションを応援したい!
これらの想いから「Postarte」は誕生しました。

改めて「Postarte」とは、アートを楽しみたいすべての人、創作活動をしているすべてのクリエイターのためのサービスです。

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たくさんの方にアートを身近に感じてもらうべく、届いたその日に飾ることができるよう「オリジナルフレーム」と「壁掛けフック」をセットにしたポスターキットという形で届けることにこだわりました。

さらに、作品理解のヒントとなる制作秘話やクリエイターさんについて語ってもらった冊子「インタビューZine」も同梱しています。

すべての作品は、Postarteのためだけに作られたオリジナル作品。それぞれ200部の限定生産で、作品裏面にはクリエイターの直筆サインとエディション番号が記載されています。

「Postarte」ではアートにハードルを感じていた方にも暮らしに気軽に取り入れてもらえるようこだわって作っています。

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ご参加いただいたクリエイターさんには、クリエイションの「実験場」として「作品の主題」「用紙」「印刷技法」などを自由に設定いただき、やりたいことに向かって真っ直ぐに挑戦できる機会を楽しんでいただきました。

反射が美しい箔押し技法などの印刷技法の試行、印刷現場で色を調整しながらの出力、無数にある紙のサンプルから自身の創作イメージに近い用紙の選定など、今後の制作活動の視野が広がるような試みをしていただきました。

美しいものを、もっと身近に感じてもらいたい。「Postarte」がクリエイターの次なる一歩へ、そして「日本のクリエイションっていいよね!」と世界から認められるお手伝いができれば、と思っています。

さいごに

さいごまでお読みいただきありがとうございました。

今回ご紹介したPostarteの公式サイトはこちらです。
もしよければご覧いただけると嬉しいです。

これからもSamon inc.は、ミッションである「デザインの未来を拡げる」ために、さまざまな挑戦をしていきたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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