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『下午のまち銭湯』⑮アクア東中野(東中野)

銭湯は昼下がりに行くに限る。

プール銭湯


東中野あたりで銭湯を探していた時の話。当初はほかの銭湯に訪問しようかと思っていた。地図で場所補確認していると近くにもう一軒銭湯の表示が出てきて「ああここにも銭湯があるなぁ」などとなんとなくチェックしてみる。

すると、そこに「ミニプールあり」の書き込みが。気になる。よしこっちに行こう。

事前に仕入れる情報はなるべく少なくしておくのが良い気がする。直前にぱっと表面的に簡単な情報をさっと仕入れてといった感じのことをする。このように「ミニプール」といった一つの単語に反応して直感的に訪問というのが面白いなぁと思っている。

銭湯にプールというと祖師谷大蔵の「そしがや温泉21」が有名。ぼくも依然ここに行ったときにかなりインパクトがあった。実はいくつかそういう銭湯があったりする。高円寺「なみのゆ」、北千住「ニコニコ湯」、梅島「明美湯」。水風呂の拡大版というようなものから本格的なものまで規模は様々。

一度こういったプール銭湯を巡ってみるのも面白いかなと思う。何か独自の括りを作ってそれに沿って達成していくというのが趣味の醍醐味のような気がする。今回のようにサプライズ的に訪問するのも良し。ルールを決めてミッション的にこなしていくのも良し。楽しみ方は無限大。

東中野の駅を抜けて正面の大通りを先頭に向かって歩く。東京の街らしく通りの両サイドには高めのビルがずらっと並ぶ。でも一歩路地に入ると途端に低い建物の群。よく見ると通りに面した建物が心なしか薄っぺらいのがわかる。なんとも言えないハリボテ感。新宿に近いけれど新宿ではない。中野と名がつくけど中野でもない。どっちとも違う。主要駅の隣駅。こういう雰囲気の街結構好きだな。

ズンズン路地を進む。道は狭くクネクネしていく。そうだ、銭湯はこういった道なりの先にある。

看板が見えてきた。看板には「ミニミニプール」の表記。アクア東中野。ここが目的地。


アクア東中野


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マンション銭湯。なんというか、ぱっと見銭湯感がない。並列しているコインランドリーのほうが断然目立っている。「アクア東中野」という名前も手伝って普通のマンションの入り口にしか見えない。何とも宅配泣かせだ。

フロント番台で清算を済ませる。脱衣場に入るとスポーツジム型のロッカーがでんと立ち並ぶ。下の段のロッカーは縦長になっていてコートなどを収納するのにちょうどよい。服を脱いで浴場に向かう。浴場の扉の横にフリーの冷蔵庫があって飲み物を自由に入れてよいという風になっていた。

からら~

広い!そして明るい。右の壁が広めにガラス張りになっているので日光が浴場全体に入り込んでいる。

浴場は湯気でおおわれていて、そこに昼下がりの日光が当たり幻想的な空間を演出している。まるで湖上の霧だ。この光景。ぼくが明るい時間に銭湯に行く理由の一つだ。

カランは全部で20。いくつかのブロックに分けて設置されている。そのうちの3つはサウナの休憩椅子設置のために普段は使えないかんじになっている。

白丸のプラ桶をもってカランに移動。お湯はぬるめ。髪をごしごし洗ってシャワーで流そうとすると、水がどぼどぼどぼとおおつぶででてきた。故障かな?と思ってシャワーの口を見てみるとお湯が出てくる口のところがギザギザに加工されている。意図的にどぼどどぼさせているということらしい。

一通り体を洗ったので湯船に行く。浴槽は3つ左側にある浴槽は炭酸泉。真ん中の広いところは主浴槽で白湯ジェットバスの複合。その隣にL字型のような配置で水風呂が設置してある。広々と浴槽のスペースがとられている。

まずは主浴槽から入浴。足をだらっと伸ばせる。はぁ楽ちん。この主浴槽の中にはなんと4つもジェットバスがある。一通り体があったまってきたので早速ジェットバスを順番に巡る。ガラス窓側にはスーパージェットバス、とボディージェットバスがある。スーパージェットバスは要は普通の銭湯にあるジェットバス。街銭湯のジェットバスらしく強力。ボディジェットもお腹をぼこぼこに殴ってくる。

逆サイドのほうにあるのはリラックスジェットバスが2つあって、寝風呂のジェットバスだ。一つはバイブラ式でもう一つがジェットバス式になっている。ぼくはジェットバスが大好きなので、こんな感じでたくさんのジェットバスが設置してある複合浴槽はじっくり楽しむ。一つ一つ堪能してしまうので結構長い間主浴槽につかっていた。さすがに体が火照ってきたのでいったん浴槽を出る。

そのまま隣の水風呂に入る。これが街銭湯の水風呂にしてはかなり大きい。温度は15℃で個人的にはちょっと冷ためだけれど長い間湯船につかってたから気持ちいい。

水風呂からそのまま炭酸泉に行く。温度は38℃とぬるめだけれど水風呂から直で入るとちょうどいい感じになる。炭酸はやや弱めかな。

いったんカランに戻る。シャワーで水を浴びる。これがすこぶる気持ちいい。火照った体にこのどぼどぼの感じで水浴びは最高。なるほどだからわざとこういう感じにしてるわけね。

さてもう一度主浴槽に行く。TVがある。サウナとかロビーでなく浴槽ゾーンにTVがあるのは割と珍しい。多目的銭湯ならでは。なにが放送されてるのかなぁとみてみる。昼間の銭湯のTVてのは相撲中継。相撲がないときはワイドショー。たまに「相棒」。そのへんが相場なんだけど、なんとここは映画「スパイダーマン」を流している。垢ぬけている。DVDかなと思ったらようはこれ「午後のロードショー」を流してるんだな。てことは場合によっちゃセガールやらサメ映画を見ながらの銭湯ってこともあるのだな・・・なんかへんなかんじ(笑)

TVの下のところに熱い湯の表記が。同じ浴槽なのにその部分だけ熱いってあるのかな?それともこの主浴槽全体が熱風呂って扱いってこと?行ってみる。一応壁でそこだけ仕切られている。そこに座ると、おお・・熱い。後ろに小さな排水溝みたいのがあってそこから熱い湯が噴出している。たしかにどこの銭湯の浴槽も温度調整のために熱い湯流が出てくる穴がある。こうゆう使い方があるんだなぁ。

もう一度水風呂にいこうか・・・あ、そうだ。忘れてた。ここプールがあるんだ。プールは屋外にある。サウナの横の扉を開けて外へ。でーんとプール登場。ちょっと広めの水風呂をプールと言い張るあの感じじゃなく、これはちゃんとしたプール。梯子みたいな入水階段もちゃんとある。

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じゃぶんと勢いよくはいる。冷たい。中の水風呂よりこっちのが来るな。深さもしっかりあって頭までズッポリ入れる。水風呂で頭まで浸かるのはマナー違反だけど、プールなら遠慮なくできる。すーいすーいとつい泳ぎたくなる。この広さならバタフライだって余裕でできる。気持ちいい。心ゆくまで堪能する。

浴場に戻ろうかと思ったけどプールの奥にまだ風呂がある・・・これは・・・露天風呂。最高。しかも薬湯。この日は木酢液。銭湯の入浴剤だ結構珍しいんじゃないかな。

身体が再びあったまったので浴場に戻るとサウナの横に立ちシャワーを発見。「ファインバブル」と書かれている。どれどれ。浴びる。おお!なんかふんわりしてる!これは締めにピッタリ。

大満足で、脱衣場に戻る。急遽予定を変更してきた銭湯だけどこっちで正解だったかも。交互浴十分楽しめたし。でもやっぱここはサウナ好きにドンピシャな銭湯なんじゃなかろうか。サウナに入ってないから温度とか広さはわからないんだけど、フリーの冷蔵庫、大きな水風呂、どぼどぼ水を浴びれるカランのシャワー、頭までつかれるキンキンのプール、ふんわりシャワー、休憩椅子。かなりサウナ利用を意識したつくりになってるような気がする。肝心のサウナの心地よさが気になる。でも期待できる。ここまでお膳立てしておいてサウナがだめってことは流石にないだろう。

今度近くに来たときはサウナに入りにまた来るぞ。などと思いながら夕刻の東中野を家路につくのであった。

銭湯の詳細


『アクア東中野』[所在地]東京都中野区東中野[最寄り駅]総武線「東中野」駅 徒歩3分[営業時間]15:00~24:00 [定休日]月曜[入浴料]480円[サウナ]サウナ料金 500円[ドライヤー]20円




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