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シチューとの出会い

子育ての風景

ウチの姑が子どもの頃
ちょっと離れた所に大きな牧場を経営している酪農家がいて
自転車で遊びに行ったときに、ごちそうしてくれたことがあったのだと。
それが牛乳とバターをたっぷり使った今で言う「シチュー」で
もの凄く美味しくて驚いたから
家に帰ってからお母さんに教えたのだけど
戦争中のことだし田舎だったから
お母さんもそんなハイカラな料理は見たことも聞いたことも無い。
だから、作ってはもらえなかったのだと。
もう一つ
子どもだった姑が驚いたのが
その家では家族と使用人が一緒に食事をしていたことだった。
その時代、家族は家族だけで
あるいは主人や長男はさらに一段高い場所で
使用人は別の部屋で・多くは台所で食事をしていたのだ。
それから
その酪農家の家にはりっぱな本棚があって
りっぱな本がずらりと並んでいたのだと。

だから、全然違うのよ、ウチなんかとは、と言う姑。

それは単にお金持ちだというのではなく
りっぱな志を持った人たちだったのだ。
母が初めてのシチューを食べたその家の主人は
後に酪農の大学を設立したのであった。

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