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都会のローカル線「南海汐見橋線」沿線をブラ歩く

「大阪市内を走るローカル線」として、馬鹿にされつつも愛されている南海電気鉄道 汐見橋線。とはいえ、「知ってはいるけど乗ったことはない」なんて方も多いはず。かくいう僕も、小さなころから南海電鉄を利用していながら利用したことはなく、ぶっちゃけ沿線になにがあるのかよくわかっていない…

そこで今回は、汐見橋線沿線を汐見橋駅~西天下茶屋駅にかけて歩いて周ってみた。

「汐見橋線」はあくまで通称であり、実際には「高野線」のなかの一区間に過ぎない(高野線の起点が汐見橋駅)。ただ、今回の記事では「高野線」と「汐見橋線」を別物として扱うこととする。

今回歩いたルートはこんな感じ

途中で全然線路沿いを通ってないのがバレちゃう…

西天下茶屋駅からは徒歩で天下茶屋駅まで移動。
トータル2時間53分で8.7キロメートルと、だいぶユッタリなペースになった。途中でダラダラしなければ、汐見橋駅~岸里玉出駅間も2時間くらいで歩ききれるかも?
案外、暇つぶしがてら散歩するにはちょうどいい距離感かもしれない。

汐見橋線に乗車。なんだか車両が古いような?

まずは、南海高野線から岸里玉出駅で汐見橋線に乗り換え、汐見橋駅を目指す。

岸里玉手駅のホーム

岸里玉出で降りる人も、汐見橋線に乗り換える人も少ないが、それにしては駅が大きいような気がする。南海本線と高野線、汐見橋線が交差する駅だからか?

© OpenStreetMap contributors.
X状になっている路線の左下部分が南海本線のホーム

ちなみに、前述のとおり汐見橋線は実際には高野線に属するが、汐見橋線に乗り換えるためには高野線ではなく南海本線のホームまで移動する必要がある。なんじゃそりゃ。

二両編成。車内には自分を含め片手で数えられる程度の乗客のみで、もちろんワンマン運行。そして乗客の少なさ以上にビックリしたのが、発車時のモーター音とキーキー鳴る色褪せた座席だ。

ついつい録音してしまった。こういう音が好きな人って多いのでは?

 「そういえば最近、ガタンゴトンとうるさい電車がなくなったな~」なんてことを思い出すくらい、レトロな乗り心地。あとで写真をみ返したところ、僕の乗った車両には「2283」(もう一方は2233)と書かれており、これは1970年前後に作られた車両のよう。もう半世紀以上も走り続けているのか。

思った以上に都会な汐見橋駅

岸里玉出駅から電車に揺られること…わずか9分。
ホントにあっという間で汐見橋駅に到着。良くも悪くも知名度が高いらしい汐見橋線。僕のほかにも1人、熱心に電車やら駅舎やらを撮っている人がい
た。

駅舎はこんな感じ。
箱っぽい建物の側面に、なにかよくわからない絵が描かれている。少し調べてみたところ、この汐見橋駅は1900年の開業で、その当時の「賑わいあふれる汐見橋駅」をイメージしたイラストなんだとか。

もう開業から100年以上が経っている汐見橋駅だが、駅舎自体は1956年に改築されたもの。とはいえレトロ感があっていい雰囲気だ。

駅の上部には「南海沿線観光案内図」と題した絵があって、コレがなかなか良くできている。相当目がよくないと肉眼ではナニガナンダカなので、カメラのズームを使って詳しくみてみよう。

南海難波駅のわけ分らない丸いシンボルとか、泉ヶ丘駅「ブッグバン」、真ん中に走ってるのは阪神電車かしら。
だんじり、ラピート、浜寺公園の旧駅舎…貝塚駅から下方向に伸びてる線は水間鉄道
左端に見切れているフェリーは、和歌山~徳島間を結ぶ南海フェリー?
和歌山電鐵「たま駅長」の姿も

この絵、見れば見るほど面白い!
白いフワフワした生き物もかわいいし、南海電鉄がどの駅を重視している分るしかや、南海電鉄ではないにしろ「水間電鉄」「和歌山電鐵」を地図に乗せているのも、なんだかユーモアがあって好きだ。

さて、少し横道に逸れたが、改めて汐見橋駅の周囲に目を向けてみると

左の大きな建物は「シエリアタワー大阪堀江」という分譲マンションで、このあたりで最も高い建物らしい

めちゃくちゃ栄えてる!
「都会のローカル線」なんて呼ばれている汐見橋線の端の駅なので、なにかとんでもない場所にあるのかと期待していたが、なんてことはない普通の街並みだ。

大阪市の秘境駅「木津川駅」フンイキ満点

汐見橋駅から、エッチラオッチラ歩いて移動してみる。とくに見どころもない道中で紹介するものもないが

汐見橋線を跨ぐJR大阪環状線

芦原町駅周辺なんかは、JR大阪環状線と汐見橋線が交差していて、なかなかに見ごたえがあった。

さて、汐見橋線の知名度の8割がたは、大阪市内ワースト1位の乗降人数を誇る木津川駅によるものなのではないだろうか?
ネット上でさんざん擦られお腹いっぱいな感じもあるが、僕もその雄姿をみるべく足を運んだ。

曇天も相まってなんだか不気味な感じ

改札までの道。散乱してるゴミ、ひび割れたアスファルト、錆びたトタン、草の生い茂る空き地。全部が木津川駅の「ヤバい感」を演出している。もし夜に1人で木津川駅まで行く必要があったとしても、少なくとも女性は絶対に控えたほうがいい。そんな雰囲気がある。

改札前。噂通り、砂利が敷き詰められています。いまどきこんな駅前があるだろうか?

駅舎は全体的にくたびれた感じだが、形がオーソドックスだからか、古臭いような印象ではない。ちなみに、現在の駅舎は1940年に完成したものだそう。思っていた以上に年代物。

きちんとICカード対応

駅前の踏切からホームを見てみると、右側に切れた線路がある。これは木津川駅が貨物輸送にも利用されていた名残だそう。

同じ画角で少し引きの写真をみてみると、左側には手動の転轍機も見える。

時間が停止したような商店街

さて、木津川駅をあとにすると次は津守駅なわけだが、津守駅は遠目でちらっと見た程度。それよりも僕の関心を引いたのは、駅からほど近くにある「津守商店街」だった。

ほとんどのお店はシャッターになっていて、生き残っている一握りの飲み屋も時間帯的にクローズ中。なんとも寂しい通りだが、そんななかこのバレー教室だけはぶっ飛んだ空気をかましていた。

帖佐チサエバレエアーツというようで、なかなかに人気のある本格派のバレエ教室なよう。

さて、またトボトボ歩くうちに今回のゴール、西天下茶屋駅に到着。西天下茶屋駅は見るからに歴史のありそうな駅舎がそそる。

西天下茶屋駅まで来たら、ぜひ駅前の「銀座商店街」を歩いておこう。この商店街はNHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」のロケ地としても、知ってる人は知ってるスポットらしい。

僕はふたりっ子なんて全然知らない世代だけど(だって放送当時まだ生まれていないし)、いま改めて調べてみると、あの双子タレント マナカナのデビュー作だったらしい。へー。

銀座商店街はそのままアーケードで「西天商店会」ともつながっていて、セットでまわると古き良き西成の雰囲気を感じられるかも。

やけに人気な天ぷら屋さん。今度食べてみよう。

おわりに

今回汐見橋線に初乗車してみて、そこそこよい体験だったとおもう。
私は特別に鉄道ファンというわけではないけれど、古びた電車に揺られ、車窓から萎びた大阪の街を眺めるのはエモーショナルな体験だった。
商店街好きとして、今度は時間をかけてゆっくりと回りたい商店街もいくつか見つけられたし。

つぎ汐見橋線に乗ることがあるかといえば無さそうではあるけど、でも本当にいい路線だった。
大阪府民なら、人生で1回くらいは乗っておいていいかもしれない。


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