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アメリカ&ラテン音楽史のメモ



※この記事は、丹精込めて書いていますが、独学のメモ程度のものです。まだまだ未完成であり、今後も加筆・修正してブラッシュアップしていく所存です。情報は共有したいので無料で公開していますが、記事を作るのに労力がかかっているので、サポートしてくださると大変嬉しいです。


【アメリカ音楽】


◎白人音楽

◆クラシック

有名曲:

ジョン・フィリップ・スーザ(1854-1932)

  「Stars and Stripes Forever(星条旗よ永遠なれ)」1896
  「ワシントン・ポスト」1889

  マーチ王(生涯でマーチ曲を200曲)。
  スーザフォーン(行進曲で肩に乗せて抱える楽器)を考案。

アーロン・コープランド(1900-1990)

  「ロデオ」1942

ジョン・ケージ(1912-1992)

  「易の音楽」1951 コイントスをして音を決めた
  「4分33秒」1952 演奏をしない音楽、周囲の偶然の雑音も音楽となる
  「カートリッジ・ミュージック」1960 小さな音を増幅させたノイジーな作品
  「0分00秒」1962
  「オルガン2/ASLSP」1985 演奏時間に639年かかる。ドイツのとある教会で2001~2640年まで演奏する予定。

  現代音楽。偶然性の音楽の提案。

フィリップ・グラス(1937-)

  「浜辺のアインシュタイン」(前衛オペラ、1976)

  現代音楽。ミニマル・ミュージックの旗手。

  ※シンフォニック・ジャズの項目も参照


◆19世紀 Folk songs フォーク・ソング

アメリカの民謡を元にして農民が歌う。
戦争や政治体制への哀しみや反対を示すものが多い。

有名曲:

   「Amazing Grace」1772 讃美歌

   「The Battle Hymn of the Republic(リパブリック讃歌)」1862 南北戦争の北軍の行進曲。ヨドバシカメラの曲。

   「Shall We Gather at the River ?(まもなくかなたの)」1864 讃美歌、ビックカメラの曲。

   「Grandfather’s Clock(大きな古時計)」1876

   「The Teddy Bears’ Picnic(森のくまさん)」1953

  ウディ・ガスリー(1912-1967)

   「This Land Is Your Land」1940

  ボブ・ディラン(1941-)

   「The Times They Are A-Changin’」1964


◆1830年代 Minstrel show ミンストレル・ショー

白人が黒人を演じた音楽。黒人に仮装して、黒人文化を風刺するような内容だった。
そんな中、スティーブン・フォスターは黒人の苦悩を共感的に作曲した。

有名曲:

 スティーブン・フォスター(1826-1864)

  「Old Folks At Homes(故郷の人々)」1851
  「My Old Kentucky Home(懐かしのわがケンタッキーの家)」1852
  「Massa's in De Cold Ground(主人は冷たい土の中に)」1852
  「Beautiful Dreamer(夢見る人)」1862


◆1910年代 映画音楽

20世紀はじめ、アメリカ映画の拠点は東海岸のニューヨークとシカゴだった。しかし、映画関連会社の間で様々なトラブルがあり、1910年以降、映画クリエイターは西海岸のハリウッドに拠点を移した。ハリウッドは降水量が少なく、豊かな自然に恵まれた地域であり、ロケーションに抜群の土地だった。

有名作曲家:

 ジョン・ウィリアムズ(1932-)

  「スターウォーズ」「未知との遭遇」「スーパーマン」「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「ハリー・ポッター」など

 ダニー・エルフマン(1953-)

  「バットマン」「ミッション:インポッシブル」「スパイダーマン」「メン・イン・ブラック」など

有名曲:

 『白雪姫』の「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」1937
 『オズの魔法使い』の「Over the Rainbow(虹の彼方に)」1939
 『風と共に去りぬ』の「Gone with the Wind」1939
 『ピノキオ』の「When You Wish upon a Star(星に願いを)」1940
 『ファンタジア』1940
 『カサブランカ』の「As Time Goes By」1942
 『荒野の七人』の「Marlboro Cigarette Theme」1960
 『ティファ二ーで朝食を』の「Moon River」1961
 『アラビアのロレンス』の「Maurice Jarre」1962
 『ピンク・パンサー』の「The Pink Panther Theme」1963
 『サウンド・オブ・ミュージック』の「The Sound of Music」1965
 『2001年宇宙の旅』の「ツァラトゥストラはかく語りき」(リヒャルト・シュトラウス)1968
 『ラストタンゴ・イン・パリ』の「Last Tango in Paris」1972
 『ゴッドファーザー』の「Love Theme from The Godfather(愛のテーマ)」1972
 『ジョーズ』の「Main Title and First Victim」1975
 『ロッキー』の「Gonna Fly Now」「Training Montage」1976
 『サタデー・ナイト・フィーバー』の「Stayin’Alive」1977
 『スター・ウォーズ』の「Star Wars Main Title」1977「The Imperial March」1980
 『スーパーマン』の「Main Theme」1978
 『インディ・ジョーンズ』の「The Raiders March」1981
 『E.T.』の「Flying」1982
 『ターミネーター』の「The Terminator Theme」1984
 『ゴーストバスターズ』の「Ghost Busters」1984
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「Theme from ”Back To The Future”」1985
 『トップガン』の「Danger zone」1986
 『バットマン』の「The Batman Theme」1989
 『リトルマーメイド』の「Under the Sea」1989
 『美女と野獣』の「Beauty And The Beast」1991
 『アダムスファミリー』の「The Addams Family」1991
 『アラジン』の「A Whole New World」1992
 『ボディガード』の「I Will Always Love You」1992
 『ジュラシック・パーク』の「Theme from Jurassic Park」1993
 『ライオン・キング』の「Circle of Life」1994
 『天使にラブ・ソングを2』の「Oh Happy Day」1994
 『トイ・ストーリー』の「You've Got A Friend In Me(君はともだち)」1995
 『ミッション:インポッシブル』の「Main Title」1996
 『インデペンデンス・デイ』の「End Title」1996
 『タイタニック』の「My Heart Will Go On」1997
 『ターザン』の「You’ll Be In My Heart」1998
 『アルマゲドン』の「I Don't Want to Miss a Thing」1998
 『マトリックス』の「Spybreak!」1999
 『ロード・オブ・ザ・リング』の「May It Be」「カザド=ドゥムの橋」2001
 『ハリー・ポッターと賢者の石』の「Hedwig’s Theme」「Harry’s Wondrous World」2001
 『パイレーツ・オブ・カリビアン』の「He’s a Pirate」2003
 『アバター』の「I See You」2009
 『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」2012(原曲1980)
 『アナと雪の女王』の「Let It Go」2013
 『アニー』の「Tomorrow」2014
 『ラ・ラ・ランド』の「Another Day of Sun」2016
 『グレイテスト・ショーマン』の「This is Me」2017
 『ウエスト・サイド・ストーリー』2021(原曲1957)
 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の「Nothing Ls Lost」2022

 1940年、ディズニー映画『ファンタジア』。8つの異なる時代を8つの古典音楽にのせて描く、ファンタスティックなアニメーションによるバレエ劇。ミッキー・マウスが指揮者兼時の魔術師として登場。当時としては斬新な立体音響を採用した。収録曲はバッハの『トッカータとフーガ』、チャイコフスキーの『くるみ割り人形』、デュカスの『魔法使いの弟子』、ストラビンスキーの『春の祭典』、ベートーベンの『交響曲/田園』、ポンキエルリの『時の踊り』、ムソルグスキーの『はげ山の一夜』、シューベルトの『アベ・マリア』。

 ◇番外編:テレビ番組

  「サンダーバード」の「Main Title」1965(イギリス)
  「スタートレック」の「Theme from STAR TREK」1966
  「セサミストリート」の「Sesame Street Theme」1969
  「フルハウス」の「Everywhere You Look」1987
  「Xファイル」の「The X files theme」1993
  「セックス・アンド・ザ・シティ」の「Main Theme」1998


◆1920年代 Country カントリー

アメリカ南西部(テキサス、テネシー)発祥

田舎の庶民の現実の生活について歌う。フォークのような政治的な反骨精神は低めで、保守的。特に北部のハーモニカで奏でるカーボーイ系はウエスタン・ミュージック(Western Music)、泥臭さのあるものはヒルビリーHillbilly)ともいう。

ダンスリズム:
 ラインダンス(フロアに整列し、一斉に同じステップを踏む)
 ツーステップ(カップルダンス、クイック・クイック・スロー・スロー)

ウエスタンミュージックでは馬の歩き方でリズムを取る。
・常歩(Walk)…ゆっくり歩く、4つ打ち
・速歩(Trot)…早く歩く、8分音符
・襲歩(lope)…走る、タタタン、タタタン

有名曲:

   「You Are My Sunshine」1939

  ジョン・デンバー(1943-1997)

   「ake Me Home, Country Roads(カントリーロード)」1971


◆1940年代 Bluegrass ブルーグラス

アメリカ南東部(ケンタッキー州)発祥

アイルランド、スコットランド、イギリスの移民による。アフリカ由来のバンジョー(五弦)やフィドルという楽器が特徴的なアコースティック音楽。ソロは速弾きを行なう。

バンド構成:ギター(コード進行)、バンジョー(ソロ)、マンドリン(リズム)、フィドル(メロディー)、ベース

有名曲:

 ビル・モンロー(1911-1996、ブルーグラスの父)

  「Blue Moon of Kentucky」1946

 ニュー・グラス・リバイバル(1971~)

  「Can't Stop Now」1988


◆1920年代 Musical ミュージカル

ブロードウェイ発祥

クラシックのオペラと演劇が融合したもの(舞台あるいは映画)。ニューヨークのブロードウェイで流行した。作曲家の多くは移民してきたユダヤ人である。

有名曲:

 コール・ポーター(1891-1964)

  『ザ・ニューヨーカーズ』の「Love For Sale」1930

 リチャード・ロジャース(1902-1979)

  『サウンド・オブ・ミュージック』の「My Favorite Things」1959

 
有名ミュージカル作品:

 『Show Boat(ショウボート)』1927 最古のミュージカル
 『ザ・ニューヨーカーズ』1930
 『ウエストサイドストーリー』1957 現代アメリカ版ロミオとジュリエット
 『サウンド・オブ・ミュージック』1959
 『アニー』1977
 『レ・ミゼラブル』1980
 『キャッツ』1982
 『オペラ座の怪人』1988
 『天使にラブ・ソングを…』1992
 『ライオン・キング』1997

有名なミュージカル映画:

 『ブロードウェイ・メロディー』1929
 『四十二番街』1933
 『ショウボート』1936
 『スタア誕生』1937
 『オズの魔法使』1939
 『若草の頃』1944
 『ショウ・ボート』1951
 『巴里のアメリカ人』1951
 『雨に唄えば』1952
 『バンド・ワゴン』1953
 『紳士は金髪がお好き』1953
 『パリの恋人』1957
 『恋の手ほどき』1958
 『ウエスト・サイド物語』1961
 『メリー・ポピンズ』1964
 『マイ・フェア・レディ』1964
 『サウンド・オブ・ミュージック』1965

 『ロシュフォールの恋人たち』1967(フランス)
 『オリバー!』1968
 『チキ・チキ・バン・バン』1968
 『ジーザス・クライスト・スーパースター』1973
 『キャバレー』1972
 『ファントム・オブ・パラダイス』1974
 『ザッツ・エンタテイメント』1974
 『ロッキー・ホラー・ショー』1975
 『グリース』1978
 『オール・ザット・ジャズ』1979
 『ジェルブールの雨傘』1982
 『アニー』1982
 『天使にラブ・ソングを・・・』1992
 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』1993
 『プリシア』1994
 『世界中がアイ・ラヴ・ユー』1996
 『ノートルダムの鐘』1996
 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』2000
 『ムーラン・ルージュ』2001

 『シカゴ』2002
 『オペラ座の怪人』2004
 『RENT/レント』2005
 『ハイスクール・ミュージカル』2006
 『ドリームガールズ』2006
 『魔法にかけられて』2007
 『ヘアスプレー』2007
 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』2007
 『マンマ・ミーア!』2008
 『NINE』2009
 『バーレスク』2010
 『ピッチ・パーフェクト』2012
 『レ・ミゼラブル』2012
 『アナと雪の女王』2013
 『ジャージー・ボーイズ』2014
 『ラスト5イヤーズ』2014
 『ANNIE/アニー』2015
 『ラ・ラ・ランド』2016
 『SING/シング』2016
 『美女と野獣』2017
 『グレイテスト・ショーマン』2018
 『ダンス・ウィズ・ミー』2018
 『アリー/スター誕生』2018
 『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』2018
 『メリー・ポピンズ リターンズ』2018
 『キャッツ』2019
 『アラジン』2019
 『ロケットマン』2019
 『ザ・プロム』2020
 『イン・ザ・ハイツ』2021
 『ウエスト・サイド・ストーリー』2022

 『ウィキッド』2024/2025


◎黒人音楽

◆18世紀後半 Spirituals 黒人霊歌

奴隷身分だったアメリカ南部の黒人たちは、「旧約聖書」を題材にし、エジプトのファラオを白人、イスラエル人を黒人に見立て、エジプトで奴隷となったイスラエル人と自らの奴隷身分を重ね合わせ、黒人たちの苦悩を宗教的な慰めとして、歌に込めて歌った。ゴスペルの福音とは対照的に、終末論的な雰囲気が漂う曲調。
コール&レスポンス(音楽における掛け合い)はあるが、伴奏はなく、アカペラである。奴隷解放後、教会音楽のゴスペルに影響を与える。

有名曲:

 フィスク・ジュビリー・シンガーズ(1871-)「Swing Low Sweet Chariot」1909


◆19世紀初頭 Creole music クレオール音楽

ルイジアナ州ニューオリンズ発祥

ニューオリンズは、1718年にフランス人が開拓し、1803年にアメリカが購入した港町。フランス人、スペイン人、イギリス人、アフリカ系アメリカ人、ケイジャン(カナダからの移住者)など、人種のるつぼだった。また、アメリカ政府公認の娼館がある唯一の歓楽街だった。

クレオールは、植民地生まれの人(白人も含む)のことを指す。あるいは、植民地における白人(主人)と黒人(奴隷)の間に生まれた混血のことを指す。クレオール黒人は、比較的裕福な家庭で、白人と同じ身分を与えられ、教養を備え、比較的楽な仕事を任されていた。彼らは準白人の地位を与えられ、黒人奴隷のような過酷な扱いは受けなかった。彼らが歌った黒人の民謡、フォークソングをクレオール音楽という。

1861-1865年にかけて、南北戦争が勃発する。


◆1865(奴隷解放後)~1920代 Gospel ゴスペル

シカゴで完成

ゴスペル=God Spel(良い便り=福音)の意味。

奴隷解放後、黒人の教会が誕生する。黒人霊歌やクレオール音楽と教会音楽が融合する。ゴスペルは黒人霊歌とは異なり、「新約聖書」を題材にしており、解放と希望を歌う。1920年代、南部の黒人たちは北部のシカゴに移動し、そこでゴスペルは完成する。主にプロテスタントのペンテコステ派がリバイバル運動の中で広めた。

曲の中に繰り返しがあり、シンコペーション(小節をタイでまたぐリズム)がある。コール&レスポンス(音楽における掛け合い)に加え、ハンドクラップや足踏みなども交え、アカペラで歌う。

有名曲:

 エドヴィン・ホーキンズ(1943-2018)

  「Oh Happy Day」1993


◆19世紀末 Ragtime ラグタイム

ニューオリンズ発祥

奴隷解放後、準白人の地位を享受していたクレオールの地位は失墜し、黒人として一括りに差別の対象になる。彼らは酒場や娼館で白人向けにピアノの演奏をしたりして稼いだ。

彼らの演奏していた音楽が、クラシックのマーチ(行進曲)、クレオール音楽、ラテン音楽などと融合した。こうして、ジャズの原型が誕生した。

有名曲:

 スコット・ジョプリン(1867/8-1917)

  「The Easy Winners」1901
  「The Entertainer」1902


◆1920年代 Jazz  ジャズ

ラグタイムの影響を受けて誕生した。
主にコードやモードによってアレンジし、即興演奏を特徴とすることが多い。


---Old Jazz オールド・ジャズ---

ビ・バップ以前の古典的なジャズの総称。


◇1910年代 Dixieland Jazz ディキシーランド・ジャズ

ルイジアナ州、ニューオリンズで発達した初期ジャズ。
「ディキシーランド」はアメリカ南部の諸州を指す通称。

有名曲:

 「When The Saints Go Marching In(聖者の行進)」1922 黒人の葬儀の際に演奏された曲。

 ジェリー・ロール・モートン(1890-1941 ピアノ)

  「Jelly Morton Blues」1915 一説では史上初のジャズ楽曲とされる。

 バディ・ボールデン(1877-1931 コルネット)

  「ジャズの父」とも言われる。しかし、彼の録音は遺されていない。

 オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(1916-1938)

  1917年、このバンドによってジャズの初のレコーディングが行なわれる。

1917年、アメリカは第一次世界大戦に参戦する。ニューオリンズの酒場は軍港となったため閉鎖され、1920年には禁酒法が始まったので、黒人ミュージシャンたちはアメリカ北部のシカゴに大移動をする。

 ルイ・アームストロング(1901-1971 トランペット)

  ニックネーム「サッチモ」。
  1923年からシカゴで活躍する。
  1926年にスキャット(肉声をジャズにして歌う歌唱法、ダバダバ、ドゥビドゥビなど)を発明する。

  「Heebie Jeebies」1926 初めてスキャットで歌った曲。
  「La Vie en rose(バラ色の人生)」1950(原曲1946)
  「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」1967 メガヒットする。
    アルバム『Disney Songs The Satchmo Way』1968 ディズニー映画の曲を演奏。


◇1920年代前半 Swing Jazz スウィング・ジャズ

シカゴの白人ミュージシャンが黒人のニューオリンズジャズを取り入れることで、シカゴスタイルが生まれ、それがスウィング・ジャズの原型となった。1929年以後の世界恐慌で失業者が増える中、スウィング・ジャズは人々の慰めとなった。

スウィングは「揺れる」の意味。

大人数編成でのビッグバンド(10人以上)、身体が横に揺れ動く(スウィングする)ようなリズムが特徴。指揮者はいないが、アドリブやソロは少なめ。

1930年代が全盛期で、1942~44年のレコーディング禁止令で衰退した。

有名曲:

 デューク・エリントン(1899- ピアノ)

  「Take the ’A’ Train(A列車で行こう)」1939
 
 グレン・ミラー(1904-1944 トロンボーン)

  空軍に志願し、国のために戦っている軍人のために各国を回り演奏活動を行なった。

  「In The Mood」1939
  「Moonlight Serenade」1939
  「Little Brown Jug(茶色の小瓶)」1939

 エディ・コンドン(1905-1973 バンジョー)

  「Jam Session Coast-to-Coast」1954

 ベニー・グッドマン(1909-1986 クラリネット)

  クラリネット奏者。スウィング時代の最大のスター。1938年、ジャズとしてクラッシックの殿堂カーネギーホールで演奏する快挙を成し遂げる。

  「Sing, Sing, Sing」1936

 アーティ・ショウ(1910-2004 クラリネット)

  「Begin the Bequine(ビギン・ザ・ビギン)」1935

 カウント・ベイシー(1904-1984 ピアノ)
 
  カンザスシティで活躍。ベイシーは楽譜を使わずにビックバンドで演奏した。

  「April In Paris」1957

 ジャンゴ・ラインハルト(1910-1953 ギター)

  ロマ音楽とスウィングジャズを融合したGypsy Jazz ジプシー・ジャズを生み出した。

  「Minor Swing」1937


◇1920年代 Symphonic Jazz シンフォニック・ジャズ

クラシックとジャズの融合

有名曲:

 ジョージ・ガーシュイン(1898-1937)

  「ラプソディ・イン・ブルー」1926

 アーディ・グローフェ(1892-1972)

  「組曲グランド・キャニオン」1931

 レナード・バーンスタイン(1918-1990)

  「ウエスト・サイド・ストーリー」1957 ミュージカル


---Modern Jazz モダン・ジャズ---

ビ・バップ以降のジャズをModern Jazz モダン・ジャズと総称する。


◇1940-60年代 Be bop  ビ・バップ

コード進行に沿ってメロディを即興演奏(アドリブ)する。

有名曲:

 チャーリー・パーカー(1920-1955 ビ・バップの父)

  「Now’s The Time」1945
  「Billie’s Bounce」1945

 ディジー・ガレスピー(1917-1993、トランペット奏者)

  ビ・バップを築き上げ、ラテンジャズを推進させた

  「A Night in Tunisia(チュニジアの夜)」1942


◇1940年代後半 Cool Jazz  クール・ジャズ

ビバップよりも落ち着いていてメロディアス。

有名曲:

 マイルス・デイヴィス(1926-1991、モダンジャズの帝王)

  アルバム『Birth of the Cool(クールの誕生)』1957


◇1940年代後半 West Coast Jazz ウエストコースト・ジャズ

クール・ジャズの影響を受けてロサンゼルス中心に発展したジャズ。白人系のジャズ。ゆったりとした落ち着いた雰囲気。

有名曲:

 チェット・ベイカー(1929-1988)

  「My Funny Valentine」1954

 デイヴ・ブルーベック(1920-2012)

  「Take Five」1959


◇1950年代 Free Jazz フリー・ジャズ

ジャズの既存のルールを破棄、極限まで自由なアドリブ

有名曲:

 オーネット・コールマン(1930-2015)

  アルバム『Somthing Else!!!!』1958


◇1950-60年代 Hard bop  ハード・バップ

ビ・バップに大衆性とソウルを込める
イーストコーストのミュージシャンがクールジャズやウエストコーストに対抗

有名曲:

 マイルス・デイヴィス(1926-1991、モダンジャズの帝王)

  アルバム『Waklin’』1957

 ソニー・ロリンズ(1930-)

  「St. Thomas」1956

 ソニー・クラーク(1931-1963)

  アルバム『Cool Struttin'』1958


◇1950年代後半 Soul Jazz ソウル・ジャズ(またはFunky Jazz ファンキージャズ)

 ブルース×ゴスペル×モダンジャズ。
 ブルーノートスケールを用いることが多い。

 アート・ブレイキー(1919-1990、ドラム)

  アルバム『Moanin'』1958


◇1950年代後半 Modal Jazz モード・ジャズ

コード進行でなくモード(旋法)の中でアドリブする

有名曲:

 マイルス・デイヴィス(1926-1991、モダンジャズの帝王)

  アルバム『Kind of Blue』(1959)の「So What」

  その他、電子楽器を使用したアルバム『Bitches Brew』(1970)、
  ファンクを取り入れたアルバム『On The Corner』1972、
  ヒップホップを取り入れたアルバム『Doo-Bop』などを発表。

 ビル・エヴァンス(1929-1980、ピアノ)

  アルバム『Portrait in Jazz』(1959)の「Autumn Leaves(枯葉)」
  アルバム『Waitz for Debby』(1961)の「Waltz for Debby」

 ハービー・ハンコック(1940- ピアノ)

  「Watermelon Man」1962

 マハヴィシュヌ・オーケストラ(1971-1987)

  アルバム『The Inner Mounting Flame(内に秘めた炎)』1971


---Contemporary Jazz コンテンポラリー・ジャズ---

フュージョンやスムーズジャズの総称としての現代のジャズ
21世紀のジャズはビートやミキシングによってより音の全体的な質感が重視される


◇1970年代後半 Fusion  フュージョン

ロック、ポップス、ソウルを融合(クロスオーバー)したジャズ。最初はクロスオーバーと呼ばれたが、後にフュージョンと呼ばれるようになった。

有名曲:

 ジョージ・ベンソン(1943-)

  アルバム『Breezin’』1976

 ハービー・ハンコック(1940-)

  アルバム『Head Hunters』1973

 チック・コリア(1941-2021)

  ラテンジャズ

  アルバム『Return to Forever』1972
  「Spain」1972


◇1980年代末 Smooth Jazz スムーズ・ジャズ

フュージョンの進化系
フュージョンがよりポップで聴きやすく、テレビやラジオのBGMとして流れる

有名曲:

 ノラ・ジョーンズ(1979- ボーカル)
  アルバム『Come Away with Me(ノラ・ジョーンズ)』2002


◇2010年以降 先端のJAZZ

 ロバート・グラスパー(1978- ピアノ)

  アルバム『Double Booked』2009
  アルバム『Black Radio』2011
  アルバム『Black Radio 2』2013
  アルバム『Black Radio 3』2022

 カシマ・ワシントン(1981- サックス)

  アルバム『The Epic』2015(初ソロアルバム、ディスク3枚組、全170分)
  アルバム『Heaven and Earth』(2018)の「Fists of Fury」「The Space Travelers Lullaby」

 ダニー・マッキャスリン(1966- サックス)

 ブラッド・メルドー(1970- ピアノ)

 マリア・シュナイダー(1960- フランス)

 挟間美帆(1986- 日本)
 
 カート・ローゼンウィンケル(1970- ギター)

 ゴーゴー・ペンギン(2012- イギリス)

 シャバカ・ハッチンングス(1984- イギリス)

 マティアス・アイク(1979- ノルウェー)


□ジャズのスタンダード・ナンバー

・「Poor Butterfly」1916 ジョン・レイモンド・ハベル/ポピュラーソング
・「Tea For Two(二人でお茶を)」1924 ヴィンセント・ユーマンス/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「Sortly, as in a morning sunrise(朝日のごとくさわやかに)」1928 タンゴのJAZZアレンジ
・「Love For Sale」1930 コール・ポーター/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「As Time Goes By」1931 ハーマン・フップフェルド/映画『カサブランカ』のJAZZアレンジ
・「Just Friends」1931 サム・M・ルイス/ポピュラーソング
・「Beautiful Love」1931 ウェイン・キング他/ポピュラーソング
・「Yesterdays」1933 ジェローム・カーン/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「East Of The Sun(太陽の東)」1934 ブルックス・ボウマン/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「What a Difference a Day Makes(縁は異なもの)」1934 マリア・グレベール/ラテンジャズ
・「Begin the Bequine(ビギン・ザ・ビギン)」1935 アーティ・ショウ/スウィング
・「Sing, Sing, Sing」1936 ベニー・グッドマン/スウィング
・「Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)」1937 映画『白雪姫』のJAZZアレンジ
・「All The Things You Are(君は我がすべて)」1939 ジェローム・カーン/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「Over the Rainbow」1939 ハロルド・アーレン/ミュージカル『オズの魔法使』のJAZZアレンジ
・「Take the ’A’ Train(A列車で行こう)」1939 デューク・エリントン/スウィング
・「In The Mood」1939 グレン・ミラー/スウィング
・「Moonlight Serenade」1939 グレン・ミラー/スウィング
・「Little Brown Jug(茶色の小瓶)」1939 グレン・ミラー/スウィング
・「When you wish upon a star(星に願いを)」1940 映画『ピノキオ』のJAZZアレンジ
・「A Night in Tunisia(チュニジアの夜)」1942 ディジー・ガレスピー/ラテンジャズ
・「C Jam Blues」1942 デューク・エリントン/モダンジャズ
・「Stella by Starlight(星影のステラ)」1944 ヴィクター・ヤング/映画音楽のジャズ
・「My Foolish Heart(愚かなり我が心)」1949 ヴィクター・ヤング/映画音楽のJAZZアレンジ
・「When I Fall in Love(恋に落ちた時)」1952 ヴィクター・ヤング/ポピュラーソング
・「Fly Me to the Moon(私を月に連れて行って)」1954 バート・ハワード/モダンジャズ
・「St. Thomas」1956 ソニー・ロリンズ/英国民謡のJAZZアレンジ
・「Tenor Madness」1956 ソニー・ロリンズ/ブルース
・「April In Paris」1957 カウント・ベイシー/スウィング
・「Moanin'」1958 アート・ブレイキー/ソウルジャズ
・「Take Five」1959 デイヴ・ブルーベック/ウェストコーストジャズ
・「So what」1959 マイルス・デイヴィス/モードジャズ
・「Autumn Leaves(枯葉)」1959 ビル・エヴァンス/モードジャズ
・「My Favorite Things」1959 リチャード・ロジャース/ミュージカルのJAZZアレンジ
・「Waltz for Debby」1961 ビル・エヴァンス/モードジャズ
・「Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)」1962 映画音楽のJAZZアレンジ
・「The Gril from Ipanema(イパネマの娘)」1964 アントニオ・カルロス・ジョビン/ボサノヴァ
・「L-O-V-E」1964 ナット・キング・コール/モダンジャズ
・「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」1967 ルイ・アームストロング
・「Spain」1972 チック・コリア/ラテンジャズ


◆19世紀後半 Blues ブルース

奴隷解放後、アフリカ系アメリカ人の苦悩(ブルーな気分)を歌う。
奴隷時代に、労働時のかけ声として歌われた「ワーク・ソング」や、鼻歌として歌われた「フィールド・ハラー」などの発展形だとされる。

ギターによる弾き語り。

ブルー・ノート・スケールは、メジャースケールの第三(E)、第五(G)、第7音(B)を半音下げるスケールを特徴とする。

有名曲:

 チャーリー・パットン(1891-1934)

 ロバート・ジョンソン(1911-1938)

 T・ボーン・ウォーカー(1910-1975 モダン・ブルースの父)

  ブルースにエレキギターを持ち込んだ先駆者。

  『Funky Town』1969

 B.B.キング(1925-2015)

  「Rock Me Baby」1964
   アルバム『Live At The Regal』(1965)
  「The Thrill Gone」1969

 アルバート・キング(1923-1992)

  アルバム『Born Under A Bad Sign』1967

  ロックのジミ・ヘンドリクスに影響を与えた。

 フレディ・キング(1934-1976)

  「Freddie King Is A Blues Master」1969

  ロックのエリック・クラプトンに影響を与えた。

 ※B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングの三人を合わせて「3大キング」と呼ぶ。


◆1940年代 R&B(リズム&ブルース)

ニューオリンズ発祥
白人のポップスとは区別した黒人のポップスのこと。当初、Race music  レイスミュージックとして、ビルボードでも白人の曲とは別々にされていたが、1947年にR&Bと改名された。

ブルースとジャズの影響から生まれる。ブルースをよりリズミカルにしたもの。恋愛や性に関する歌詞が多い。

※ポップスの項目を参照


◆1950年代 Soul  ソウル

ゴスペル×R&B
感情に訴える歌詞重視でキャッチーなリズム。より大衆向け。

有名曲:

 レイ・チャールズ(1930-2004)

  「Georgia on My Mind(我が心のジョージア)」1960

 ベン・E・キング(1938-2015)

  「Stand by Me」1961


◆1950年代 Rock’n Roll  ロックンロール

ブルース、カントリー、R&Bが融合。
ロックンロールとは、黒人スラングで「性交」の意味。
R&Bよりテンポが速い。主にピアノとサックスで演奏される。

有名曲:

 リトル・リチャード(1932-2020)

  「Tutti Frutti」1955

 チャック・ベリー(1926-2017)

  「Johnny B.Goode」1958

 ファッツ・ドミノ(1928-2017)

  「Blueberry Hill」1940


◎白人・黒人の混合

◆1950年代 Rockabilly ロカベリー

ロックンロールとロックの中間、架け橋となっている。
カントリーのヒルビリーとロックンロールの融合。

有名曲:

 エルヴィス・プレスリー(1935-1977)

  黒人をリスペクトして自身の音楽にコピーした。
  イギリスのビートルズに影響を与えた。

  「Jailhouse Rock」1957


◆1950年代 Rock ロック

主に(エレキ)ギターを中心にバンドで演奏するスタイル。


◇1950-60年代 Pop Rock ポップ・ロック

キャッチーでポップな歌を用いるロックミュージック。

有名バンド:

□アメリカ勢
 
 ボブ・ディラン(1941-)

  「Blowin’ in the Wind(風に吹かれて)」1963

 ジミ・ヘンドリックス(1942-1970、エレキギターの名人、黒人)
  
  「Star Spangled Banner(アメリカ国家~星条旗)」のライブ(1969)
  「Purple Haze(紫のけむり)」1967

 イーグルス(1971-)

  「Hotel California」1976

□イギリス勢

 ビートルズ(1960-1970)

  メンバー:ポール・マッカートニー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター

  「Yesterday」1965
  「Hey Jude」1968
  「Let it Be」1970

 ローリングストーンズ(1962-)

  メンバー:ブライアン・ジョーンズ、イワン・スチュワート、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ

  「(I Can't Get No)Satisfaction」1965
  「Jumping Jack Flash」1968

 クリーム(1966-2005) 

  ギターのエリック・クリプトン(1945-)が有名

  「Sunshine Of Your Love」1967

□ピアノ・ロック

 エルトン・ジョン(1947- イギリス)「Your Song」1970

 ビリー・ジョエル(1949- アメリカ)「Piano Man」1973


◇1950年代後半 Surf Rock サーフ・ロック

南カルフォルニアで流行した

有名バンド:

ディック・デイル(1937-2019) 「Misirlou」1962 

ザ・ビーチ・ボーイズ(1961-) 「Surfin’ USA」1963


◇1968年 Hard Rock ハードロック

派手な演奏、ボーカルのシャウト、ギターの歪んだサウンド、エレキのソロや速弾き、大音量

有名バンド:
 
 □イギリス勢

   レッド・ツェッペリン(1968- )

    ハードロックの元祖

    「Stairway to Heaven(天国への階段)」1971
    「Rock and Roll」1972

   ディープ・パープル(1968-)

    「Burn(紫の炎)」1974
      「Smoke on the Water」1972

   UFO(1969- )

    「Doctor Doctor」1974
     「Rock Bottom」1974

   クイーン(1971~)

    「Bohemian Rhapsody」1975

   ホワイト・スネイク(1976-)

    「Here I Go Again」1987
               
 □アメリカ勢

   エアロスミス(1973- ボストン)

    「Walk This Way」1975
      「I Don’t Want to Miss a Thing」1998

   KISS(1973~ ニューヨーク)

    「Rock And Roll All Nite」1975

   ボン・ジョビ(1984- ニュージャージー)

    「It’sMy Life」2000
    「Living On A Prayer」1986


◇1960年代後半 Acid Rock  アシッド・ロック

 
ヒッピー文化、サイケデリック・ロックとも
LSDの開発によって、西洋でドラッグが流行(当時は違法ではなかった)
ドラッグを音楽で再現したもの
禅の悟りに近い境地に至れるため、東洋のスピリチュアルに接近する

有名曲:
 
 ビートルズのアルバム『リボルバー』(1966)やシングル『Yellow Submarine』(1969)


◇1960年代後半 Progressive Rock  プログレシップ・ロック

実験的・先進的
現代アート的なコンセプチュアルなロック
ハイカルチャーとカウンターカルチャーとの融合を試みる
1曲が長く、アルバム全体が繋がって1つの曲になる構成が多い

有名バンド:

 キング・クリムゾン(1968-2021)

   アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』1969
   の「21世紀の精神異常者」

 ピンク・フロイド(1965-)

   アルバム『狂気』1973
 
 イエス(1968-)

   アルバム『危機』1972

 エマーソン・レイク・アンド・パーマー(1970-2010)

   アルバム『タルカス』1971
   アルバム『展覧会の絵』1971

 ジェネシス(1967-1999)

   アルバム『月影の騎士』1973


---1970年以降 New Wave ニュー・ウェイブ---

イギリス発祥


◇1970年代 Heavy Metal  ヘビーメタル

激しく、低音重視、暗黒感
イギリスに巻き起こった新しいロックの潮流「NWOBHM」(New Wave Of British Heavy Metal)
ヘビィメタル=重金属の意味
略称「ヘビメタ」「メタル」

有名バンド:

 ブラック・サバス(1968-2017、イギリス)

  ヘビメタの元祖

  アルバム『Paranoid』1970の「Paranoid」「Iron Man」

 アイアン・メイデン(1980- イギリス)「The Trooper」1983

  デフ・レパード(1980- イギリス)
  アルバム『Pyromania』(1983)の「Photograph」
  アルバム『Hysteria』(1987)の「Pour Some Sugar on Me」

 メタリカ(1981- ロサンゼルス) 

  アルバム『Master of Puppets(メタル・マスター)』1986

 ドリーム・シアター(1985-、アメリカ)

  プログレシップ・メタル

  「Pull Me Under」1992


◇1970年代前半 Glam Rock グラム・ロック

イギリス発祥
濃いメイクや派手な衣装
中性的・宇宙人的なメイクとファッション
ストーリー性のあるコンセプト・アルバムが多い
日本のビジュアル系にも影響を与えた

有名バンド:

 デヴィッド・ボウイ(1947-2016 イギリス)

  「Ziggy Stardust」1972
  「Starman」1972
  「Heroes」1977

 T・レックス(1967-1977 イギリス)

  「20th Century Boy」1973
  「Get It On」1971


◇1970年代中頃 Punk Rock パンク・ロック

パンク=不良の意味、様式化したロックに反発
サイケデリックやプログレシップに対するカウンターカルチャーとして生まれる
エモーショナルで非テクニック的なシンプルなロック
ガレージ・ロック、あるいはニューヨークのCGBG(ライブハウス)で若手による新しいロック(初期パンク)が生まれ、イギリスに流入して発展した

有名バンド:

 アルバム『ナゲッツ』(1972)

 アメリカにおいてガレージ(車庫)で練習するお金のないアマチュアバンドの曲を集めたコンピレーションアルバム
 初期パンクの潮流でGarage Rock ガレージ・ロックともいう

 セックス・ピストルズ(1975-2018 イギリス)

  旧世代の妥当を大義名分として売り出した

  アルバム『勝手にしやがれ!!』(1977)の『God Save the Queen』

 ニューヨーク・ドールズ(1971-2011 ニューヨーク)

  アルバム『Presonality Crisis(人格の危機)』1973

 ラモーンズ(1974-1996 ニューヨーク)

  アルバム『Blitzkrieg Bop』1976 ※一曲が短い

 ザ・クラッシュ(1976-1986)

  アルバム『Tommy Gun』1978


◇1970年代末 Hardcore Pank ハードコア・パンク

パンクをさらに過激に
略称「ハードコア」、「ポストパンク」
パンクの持つ反権力・社会批判の精神をより過激化
スピードと攻撃性を追求、曲の長さは1~2分
ノイズまみれの破壊的なサウンド
アングラで流行
観客が押し合いぶつかり合うモッシュ、密集する観客へ飛び込むダイブ
ファッションはドクロマークが多用される(反戦の意味)、モヒカン、鋲付き革ジャン

有名バンド:

 □アメリカ勢

  ブラック・フラッグ(1976)

   アルバム『Damaged』1981

  デッド・ケネディーズ(1978-1986)

   「California Uber Alles」1979 政治批判が強め

  バッド・ブレインズ(1978-)

   メンバー全員が黒人
   Mixture Rock ミクスチャー・ロック(和製英語:様々なジャンルを混ぜ合わせたロック)の先駆け、レゲエが混じっている

   アルバム『Bad Brains』の「Banned In DC」1982

  マイナー・スレット(1980-)

   道徳的にストイック(吸わない!飲まない!ヤらない!)なストレート・エッジ思想の原点
   手の甲に×印

   「Straight Edge」「Out of Step」1981

□イギリス勢

 ダムド(1976-)

  政治や社会批判はせずに音楽におけるパンクを追求

  アルバム『Machine Gun Etiquette』(1979)の「Love Song」

 モーターヘッド(1975-2015)

  「Ace Of Spades」1980

 ディスチャージ(1977-)

  アルバム『Why』1981 反戦・反核・反差別

 エクスプロイデッド(1979-)

  「Let’s Start A War (Said Maggie One Day)」1983 反戦(サッチャー批判、フォークランド紛争)
  
 G.B.H.(1979-)

  モヒカン

  アルバム『City Baby Attacked By Rats』1982

※ハードコア由来のヘビィメタルとハードコア否定のパンクは攻撃性が似ていることから歩み寄るようになっていく


◇1980年代 Alternative Rock オルタナティブ・ロック

反商業主義、アンダーグラウンド、ダンスミュージックとの融合、フェミニズムとの接続など
略称「オルタナ」
不況の時代に入り、商業主義やハードコアやメタルに代わる、もう一つの選択肢としてインディーズ(アンダーグラウンド)で活躍するオルタナティブ(=代替)が流行した
歪ませたノイズの多いギターサウンド、テンポが遅くなったりする

 □1980年代後半-1990年前後 Madchester マッドチェスター

  英国のマンチェスターで流行したダンスミュージックのレイヴカルチャーとロックが融合。踊れるロック。

 □1989年頃-1994年頃 Grunge グランジ

  Grungy=薄汚いの意。反商業主義、インディーズで頑張っていくスタイル。不況ゆえの暗い歌詞。しかし、ニルヴァーナが爆発的人気を博し、自らの成功ゆえに気を病んだカート・コバーンが1994年に自殺し、下火となる。ファッションは白Tシャツにダメージデニム。

 □1990年代初頭 Riot Girl ライオット・ガール

  ワシントンD.C.で始まったフェミニストによるアンダーグラウンドなパンクの流行

 □1990年代 Britpop ブリット・ポップ

  アメリカのグランジのような暗い歌詞ではなく、英国的な明るいポップスを打ち立てる

有名バンド:

 □アメリカ勢(陰、暗い雰囲気)

  ニュー・オーダー(1980-) マッドチェスター

   「Blue Monday」1983

  R.E.M.(1980-2011) オルタナティブ・ロック

   アルバム『Out Of Time』(1991)の「Losing My Religion」

  プライマス(1984-) オルタナティブ・ロック

   アルバム『Frizzle Fry』(1990)の「John the Fisherman」

  ジェーンズ・アディクション(1985-) オルタナティブ・ロック

   アルバム『Ritual de lo habitual』(1990)の「Stop!」「Been Caught Stealing」

  ニルヴァーナ(1987-1994 シアトル) グランジ

   グランジの先駆者、『Nevermind』が爆発的ヒット。ボーカルのカート・コバーンが有名。

   アルバム『Nevermind』(1991)の「Smells Like Teen Spirit」

  ビキニ・キル(1990-)Riot Girl ライオット・ガール

   「Rebel Girl」1993

 □イギリス勢(陽、明るい雰囲気)

  ザ・ストーン・ローゼス(1983-2017)

   アルバム『The Stone Roses』(1989)の「I Wanna Be Adored」

  オアシス(1991-2009)ブリット・ポップ

   「Don't Look Back in Anger」1995
   「Whatever」1994
   「Wonderwall」1995

  ブラー(1988-)ブリット・ポップ

   「Song2」1997

 □スウェーデン

  カーディガンズ(1992-)

   「Lovefool」1996

 □日本

  椎名林檎(1978-) オルタナティブ・ロック

   2004年からは東京事変。
  
  「本能」1999年


◇1980年代後半 Death Metal デスメタル

死や死体や地獄がテーマ、悪魔的、背徳的
ヘビィメタルとハードコア・パンクの融合によるサブジャンル
地獄からの唸り声のような「デスボイス」を乗せる
ダウンチューニング、尖った変形ギター、リズムはツービート、ブラストビート
ジャケットがグロテスクなものがある
メロディアスなデスメタルをMelodic Death Metal メロディック・デスメタルという
     
□アメリカ勢

 カンニバルコープス(1988-)

  「Hammer Smashed Face」1993

 サフォケーション(1988-)

  「Pierced From Within」1995

□ヨーロッパ勢

 エントゥームド(1987- スウェーデン)

  「Left Hand Path」1989

 チルドレン・オブ・ボドム(1993- フィンランド) メロディックデスメタル

  「Hatebreeder」1999

 アーチ・エネミー(1996- スウェーデン) メロディックデスメタル
  
  女性ボーカリスト

  アルバム『The Eagle Files Alone』2017

 イン・フレイムス(1990- スウェーデン) メロディックデスメタル

  アルバム『Whoracle』(1997)の「Jotun」


◆1960年代以降 Pops ポップス

白人のPopと黒人のR&Bの垣根が薄くなってゆく、ビルボードのヒットチャートに乗るようなメインストリームの音楽(ジャンルは様々)

有名曲:

ジャクソン5(1962-)

黒人アイドルグループ。ボーイバンドの先駆け。マイケル・ジャクソンがリード・シンガーだった。

「I Want You Back(帰ってほしいの)」1969
「ABC」1970

マイケル・ジャクソン(1958-2009)

※黒人でありながら白人にも大人気スターとなった

「Billie Jean」1982 ムーン・ウォークを開発
「Beat It」1982
「Thriller」1982
「Bad」1987
「Smooth Criminal」1987
「Black or White」1991

カーペンターズ(1969-1983)

ソフト・ロックとも

「Superstar(スーパースター)」1969
「Close to you(遥かなる影)」1970
「For All We know(ふたりの誓い)」1971
「This Masquerade(マスカレード)」1972
「Top of the world(トップ・オブ・ザ・ワールド)」1972
「Sing(シング)」1973
「Yesterday Once More(イエスタデイ・ワンス・モア)」1973
「Only yesterday(オンリーイエスタデイ)」1975

スティービー・ワンダー(1950-)

「Isn’t She Lovely?(可愛いアイシャ)」1976
「I Just Called Say to I Love You(心の愛)」1984

マドンナ(1958-)

ポップの女王

「Material Girl」1984
「La Isla Bonita」1986
「Like a Prayer」1989
「Hang Up」2005

エンヤ(1961- アイルランド)

ニューエイジ音楽、ヒーリング系

「Orinoco Flow」1988
「Anywhere Is」1995
「May It Be」2001 ロードオブザリング
「Wild Child」2001 冷静と情熱のあいだ
「Only Time」2001

ホイットニー・ヒューストン(1963-2012)

「I Will Always Love You」(カヴァー)1992 ボディガード

ビョーク(1965- アイスランド)

「Human Behaviour」1993
「All is full of love」1997
「Joga」1997
「I Miss You」1997

セリーヌ・ディオン(1968- カナダ)

「Beauty and the Beast」1991 美女と野獣
「To Love You More」1995
「My Heart Will Go On」1997 タイタニック

マライア・キャリー(1969-)

「Emotions」1991
「Without You」1993
「All I Want for Christmas Is You」1994

ジェニファー・ロペス(1969-)

「On The Floor」2011

シャキーラ(1977- コロンビア)

「Waka Waka」2010
「Dare(La La La)」2014
「Chantaje」2016
「Try Everything」2016

ニーヨ(1979-)

「Closer」2009

ビヨンセ(1981-)

「Crazy In Love」2003
「Single Ladies」2008
「Irreplaceable」2009

ブリトニー・スピアーズ(1981-)

「Baby One More Time」1998
「Toxic」2004

アヴリル・ラヴィーン(1984- カナダ)

「Complicated」2002
「Sk8er Boi」2002
「Girlfriend」2007

ケイティ・ペリー(1984-)

「Roar」2013

ブルーノ・マーズ(1985-)

「Uptown Funk」2014

レディー・ガガ(1986-)

「Bad Romance」2009
「Poker Face」2009
「Born This Way」2011

ヘイリー・ウェステンラ(1987- ニュージーランド)

クラシカル、ケルト音楽

「Amazing Grace」2003(原曲1772)

テイラー・スウィフト(1989-)

「We Are Never Ever Getting Back Together」2012
「Shake It Off」2014
「Blank Space」2014

ザ・ウィークエンド(1990-)

「Starboy」2016
「Blinding Lights」2020
「Save Your Tears」2021
「Sacrifice」2022

エド・シーラン(1991- イギリス)

「Shape of You」2017

アリアナ・グランデ(1993-)

「Problem」2014
「Break Free」2014
「Focus」2015
「Side To Side」2016
「no tears left to cry」2018

バックストリート・ボーイズ(1993-)

「I Want  It That Way」2009
「Inconsolable」2009
「Everybody」2011

ジャスティン・ビーバー(1994-)

「What Do You Mean?」2015

デュア・リパ(1995-、イギリス)

「New Rules」2017
「Levitating Featuring DaBaby」2020

カミラ・カベロ(1997-、キューバ)

「Havana」2017

マルーン5(2001-)

「Sugar」2015
「Girls Like You」2018


◆1960年代 Funk ファンク

 
16ビートをベースに同じリズムを繰り返す。そこにボーカルが乗っている。グルーヴなリズム重視のダンスフロア向けの音楽。
 
有名曲:

 ジェームズ・ブラウン(1933-2006、黒人とインディアンの混血) ファンクの帝王

  「Sex Machine」1970  Get up!(ゲロッパ)と繰り返しシャウトする

 アース・ウィンド・アンド・ファイヤー(1969-)

  「September」1978

 プリンス(1958-2016)

  「Puple rain」1984


◇1970年代 P-Funk Pファンク

 主にジョージ・クリントンがプロデュースするメンバーによる音楽。

 有名曲:

  ジョージ・クリントン(1941-) 元祖

  パーラメント(1967-2018)

   アルバム『Live: P-Funk Earth Tour』1977
   


◆1970年代 HipPop ヒップホップ

ラップ(リズムに乗せて韻を踏んだ詩を歌う)を歌詞に乗せる
意味の通る韻を踏むことをライムという
ビートボックスは人間の声だけでリズムやスクラッチを演奏する

 1973 クール・ハーク(1955- ジャマイカ)

  NYのブロンクス州のとあるアパートで開催されたブロックパーティーにて、DJのクール・ハークはファンクの「ブレイクビーツ」(ファンクの曲にあるドラムのみの間奏パート)が一番盛り上がることに気づき、ダンサーたちが長く踊れるようにレコード二枚を使ってブレイクビーツをミックスして交互にループして流す「メリーゴーランド」という手法を発明する。こうして、「サンプリング」(既存の曲の一部を切り取って使う)という手法が生まれる。また、この時にMCを務めた友人のコーク・ラ・ロックが観客を煽るようにビートに合わせて声かけしたのが「ラップ」のはじまり。そのダンサーたちは「Bボーイ」と呼ばれ、そのダンスは「ブレイクダンス」と呼ばれた。

 1973 アフリカ・バンバータ(1957-) NYのブロンクス州ではギャングの抗争やドラッグや犯罪などで治安が悪化した街だった。彼はそこに「ユニバーサル・ズールネイション」という若者の組織を作って、ギャングたちを非暴力的な音楽文化に吸収させた。彼はその音楽を「ヒップホップ」と定義し、その4大要素を、①DJ、②ラップ、③ブレイクダンス、④グラフィティとした。ブロンクスの黒人たちは、ヒップホップにのめり込むことによって治安が改善した。

また彼は、日本のローランド社のリズムマシン、Roland・TR-808を使用し、テクノとヒップホップを融合した。「Planet Rock」(1982)。

ファブ・5・フレディ(1959-)は、ブルックリンにある地下鉄の車両に落書きをするグラフィティアートをヒップホップ界に広めた。

グランドマスター・フラッシュ(1958- バルバドス) は、「スクラッチ」をヒップホップに取り入れる。ラップを物語や体験を伝えるストーリーテリングとして機能させた最初の曲「The Message」(1982)を発表する。

こうして、クール・ハーク、アフリカ・バンバータ、ファブ・5・フレディ、グランドマスター・フラッシュらを中心にヒップホップは形作られた。

1979年 シュガーヒル・ギャング(1973-)が「Rapper’s Delight」で商業的に成功したことで、商業的成功を求める多くのラッパーが誕生する。

シルビア・ロビンソンがヒップホップを初レコード化した「Rapper’s Delight」(1979)を発表。また、ブロンディという白人ロックバンドがラップパートを入れた曲をリリース「Rapture」(1981)した。1979年には、白人のロックバンドのビースティ・ボーイズ(1979-2012)がヒップホップに転向し、こうしてヒップホップは白人文化でも認知されるようになっていく。

Run-D.M.C.(1983-2002)は、ストリートのファッションのままステージに上がり、ヒップホップのファッションリーダーとなる。彼らにより、アディダスのスニーカーが流行した。また、Run-D.M.C.(ヒップホップ)とエアロ・スミス(ロック)がコラボした「Walk This Way」(1986)で、ヒップホップはラジオやMTVで人気になる。こうして1988年、MTVはラップ用のチャンネル「Yo!MTV Raps」を開設する。

LL・クール・J(1968-)は、バラード調のラップを歌い女性から人気となる。「I Need Lobe」(1987)など。

1985年、スクーリー・D(1962-)の「PSK, What Does It Mean?」がGangsta rap ギャングスタ・ラップの元祖。ゲットー(スラム街のこと)のリアルな暮らしを歌詞にした。

N.W.A.(1987-2016)はギャングスタ・ラップの草分けであり、「Fuck tha Poloce」(1988)で過激に警察からの不当な暴力を訴えたことからFBIから警告が届く。一般庶民にはヒップホップは乱暴なものというレッテルがつく。アルバム『Niggaz4Life』はビルボード1位を獲得する。

歌で他のラッパーを「ディスる」ことを「ビーフ」と言う。また、ステージ上でDJバトルやダンスバトルをすることを「MCバトル」と言う。

1980年代半ばにはサンプリングマシン(サンプラー)が誕生し、色々な曲の一部を「サンプリング」して使用する手法が編み出される。

アメリカ南部(アトランタ、マイアミ、ニューオリンズ、テキサスなど)のヒップホップはサウスと呼ぶ。1980代、Southern hip hop サザン・ヒップホップが流行する。

90年代はオールドスクールから新世代のニュースクールの時代へ。

MC.ハマー(1962-)のアルバム『Please Hammer, Don't Hurt 'Em』(1990)の「U Can’t Touch This」がヒットする。
ヴァニラ・アイス(1967-)の「Ice Ice Baby」(1990)が大ヒット。

ドクター・ドレー(1965-)はG Funk Gファンクの元祖。東海岸のイーストコートとは別に西海岸(カルフォルニア)のウェストコートではGファンクが生まれた。ドレーのヒップホップにPファンクやサンプリングを取り込んだアルバム「The Chronic」(1992)が革命を起こした。Gファンクから、1990年にスヌープ・ドッグ(1971-)、1991年に2パック(1971-1996)が輩出される。

Nas(1973-)のアルバム『Illmatic』(1994)のアート性の高さが評価される。

イーストコートとウェストコートの東西抗争が盛んになる。互いにディスり合う。その結果、1996年、ウェストコートの2パックは銃で撃たれて死亡する。これを機に東西抗争は沈着化し、ギャングスラップは下火となる。

90年代、ヒューストンのDJ Screw(1971-2000)は曲をスロー再生する「チョップド&スクリュード」という手法を編み出す。

90年代、メンフィスではCrunk クランクというサブジャンルが流行する。Lo-fi、高速ハイハット、シンセサイザーの電子音、TR808のバスドラム、三連符のフロー、キャッチーなサビを特徴とする。

90年代、ニューオリンズでは跳ねるようなリズムの「バウンス」、お尻を振るダンスの「トゥワーク」が流行する。

90年代、成功したラッパーが金、車、ギラギラのファッションでフレックス(=金や富を見せびらかすこと)で売り出すようになる。商業主義と批判もされる。

ヒップホップとR&Bが融合して行き、ザ・ネプチューンズ(1992-)が人気となる。サンプリングに頼らずオリジナルサウンドを作ろうという風潮になる。

エミネム(1972-)は白人のラッパーとして成功する。代表曲は「Lost Yourself」(2004)。

1997年、オートチューン(音程補正ソフトウェア)が発売され、エフェクターとして使われるようになる。T・ペイン(1985-)の『Rappa Ternt Sanga』(2005)は全曲オートチューンで制作された。

カニエ・ウェスト(1977-)は『The College Dropout』(2004)で大ヒット。

2010年代、Trap トラップがアトランタでサウスのサザンやクランクから派生。トラップの起源は1990年代だがヒップホップ・ジャンルとして確立したのは2000年代。トラップは、ドラッグやディーラーの日常を歌ったリリック。Trap = ドラッグディーラーの生活や環境の総称。トラップを確立したのはT.I.(1980-)の『Trap Muzik』(2003)、グッチ・メイン(1980-)の『Trap House』(2005)。

2010年代、Emo rap エモ・ラップというジャンルが確立する。キッド・カディ(1984-)は『A Kid Named Cudi』(2008)や『Man on the Moon: The End of Day』(2009)で、自分自身の抱えていた精神的な苦しみ、鬱や孤独を歌詞にした。エモ・ラップは、オートチューンを使用する、歌うようなラップ、メロディアス、個人的な鬱や悲しみを歌詞にするという特徴がある。

リル・ウェイン(1982-)、ドレイク(1986-)、ニッキー・ミナージュ(1982-)が人気となる。ネットからスターになれる時代に突入する。

2012年以降、LGBTのラッパーの活躍が増加する。

2010年代、シカゴで、ギャング抗争に関する過激なリリックやダークなトラップビートを特徴とするDrill  ドリルが誕生する。チーフ・キーフ(1995-)の「I Don’t Like」(2012)。

2012年、黒人の少年が警官に銃殺される事件が起こり、それ以降ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter:BLM)が盛んになる。ケンドリック・ラマー(1987-)は「Alright」(2015)でBLM運動のテーマ曲として扱われた。

2010年代、Christian hoi pop クリスチャン・ヒップホップ/ゴスペルラップが盛んになる。レクレー(1979-)など。

2013年以降、ビートスイッチ(曲の途中でビートが変わる曲)が目立つ。

2015年以降、SNSで曲の一部を使ってダンスする動画が流行する。また、ラッパーたちがSNSを通してフレックスして自分の富をみせびらかしたり、他人に絡んで話題作り(クラウド・チェイシング)をして、曲の再生回数を引き上げようとする。

メトロ・ブーミン(1993-)はプロデューサーとして様々なヒット曲を生み出す。SNSにプロデューサータグを挿入することでプロデューサーで検索されるようになる。

サイケデリック・トラップトラップ・メタルなどが流行する。

XXXテンタシオン(1998-2018)は「Look At Me!」(2015)でブレイク。Sound Cloudからヒットした。エモ・ラップを広めた。曲の長さは短くなる傾向にある。

DTMでタイプビート(有名ラッパーぽいループ音源)を使えば誰でもラッパーを名乗れる時代になった。こうして、インターネット・マネーというプロデューサー集団が誕生。

リル・ナズ・X(1999-)はティックトックから、カントリーミュージックとダンスを交えてブレイクした。


◆1970年代 クラブミュージック


◇1970年代 Disco ディスコ

クラブで踊るために作曲されている。

それ以前は、クラブではバンドの生演奏が主流だった。曲と曲の間はMCのマイクパフォーマンスで埋めていた。

その後、ニューヨークのクラブではジュークボックス(硬貨を払うとレコードが再生される機械)から大音量の音楽がかけられるダンスミュージックが流行した。

フランシス・グラッソ(Francis Grasso 1949-2001)が、1968年に初めて2台のターンテーブルで2枚のレコードのビートを合わせる方法(ビートマッチングプレイ)をした。こうして、曲と曲の間をスムーズに繋いだことでMCが不要になった。これがDJ(Disc Jockey)の元祖である。

ラリー・レヴァン(Larry Levan 1954-1992)は、超人気クラブ「パラダイス・ガラージ」(Paradise Grage)のDJとしてダンスミュージックをリードした。最先端のサウンドシステムを導入し、フレーズのループを最初に行った人物。現在のDJプレイの基礎を確立した。

1970年、ドイツで電子音楽ユニット、クラフトワーク(Kraftwerk)が結成される。メンバーはラルフ・ヒュッター(Ralf Hütter 1946~)とフローリアン・シュナイダー(Florian Schneider-Esleben 1947~2020)。ドラムマシンとシンセサイザーを駆使した電子音楽で、テクノポップの先駆者として知られ、メディアからは「エレクトロニック・ダンス・ミュージックのビートルズ」とも称される。代表曲はアルバム『人間解体』の「The Robots」。

1977年、映画『サタデーナイトフィーバー』がディスコの再燃を到来させた。


◇1980年代 House ハウス

クラブで踊るのにより特化し、ビート重視(四つ打ち)で、ボーカルは必須ではない

1977年、アメリカのニューヨークシカゴハウス(House)は誕生した。ニューヨークでは「パラダイス・ガラージ」(Paradise Grage)、シカゴでは「ウェアハウス」(The Warehouse)という伝説的クラブが開店し、ハウスミュージックが誕生した。


◇1972-1983年 テクノポップ(日本)

1978年、日本の音楽雑誌『ロック・マガジン』にて、クラフトワークのアルバム『人間解体』のレビューで「テクノポップ」という言葉が日本で登場する。この造語を気に入った坂本龍一(1952-2023)が広めた。

1978年(~1983年)、細野晴臣(1947-)を筆頭に、坂本龍一(1952-2023)と高橋幸宏(1952-2023)はY. M. O.(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成する。シンセサイザーとコンピュータを駆使した音楽で日本のテクノポップの先駆者としてリードした。代表曲は「ライディーン」「テクノポリス」(1979)。


◇1980年代 Techno テクノ

Electro music  エレクトロミュージック(電子音楽)の登場
シンセサイザーを使用して音色にエフェクトをかけて作曲する
より都会的、機械的なサウンド

シカゴではハウスが誕生した一方で、アメリカのデトロイトではテクノ(Techno)が誕生した。デトロイトはブルースやソウルの発祥地でもある。テクノは黒人が生み出した。デトロイトではディスコは下火で、エレクトロニックなダンスビートとファンクなダンスビートが融合した。

デトロイト・テクノは同じ高校に通っていたホアン・アトキンス(Juan Atkins 1962~)、デリック・メイ(Derrick May 1963~)、ケビン・サンダーソン(Kevin Saunderson 1964~)の三人衆によって始められたとされる。

したがって、クラフトワークを起源とするテクノポップと、デトロイトを起源とするテクノは元々は異なる概念である。

1981年(~1983年)、ホアン・アトキンス(Juan Atkins 1962~)はCybotron名義でシングル"Alleys of Your Mind"をリリースした。代表作は「Clear」(1982年)。これがデトロイト・テクノの最初のレコードとされる。ホアン・アトキンスが雑誌メディアの「あなた方の音楽をどう呼んだらいいですか?」との質問に、「俺たちはテクノと呼んでいる」と応えたことで、テクノという言葉が広まった。

1985年、ホアン・アトキンスは自身のレーベルであるMETROPLEXを設立。

1985年(~1989年)、ジェフ・ミルズ(Jeff Mills 1963~)は、The Wizard名義で活動。高速のミックステクニックが特徴。

1986年、デリック・メイ(Derrick May 1963~)は、自身のレーベルTransmatを設立。Rhythm is Rhythm名義で活動。代表作は「Strings Of Life」(1987年)。この曲はハウスが電子音を取り込んでいくきっかけにもなった。

1987年頃から、英国のロンドンでアシッド・ハウス(Acid house)が流行した。DJ Pieree(DJピエール)がPhuture(フューチャー)名義でリリースした「Acid Tracks」(1987年)が初のアシッド・ハウスとされる。日本の楽器メーカーRolandが発売したRoland TB-303(アナログシンセサイザー)のつまみを使用して作り出されたアシッド(LSD)の幻覚作用のようなサウンドが革命を起こした。

1987年、イギリスで808 Stateが結成。アシッド・ハウスとテクノの境界をぼかし、英国のレイヴ・カルチャーに新たな次元を加えた。代表曲は「Pacific State」(1989)。曲の中に鳥のさえずりが入っている。

1993年、リッチー・ホウティン(Richie Hawtin 1970~)はアシッド・ハウスを進化させた。TB-303を多用したPlastikman名義で活動し、アルバム「Sheet One」をリリース。

1988年、ケビン・サンダーソン(Kevin Saunderson 1964-)は、女性ボーカルと組んでユニットInner Cityを結成。代表作は「Good Life」(1988)。

1988年、英国でセカンド・サマー・オブ・ラブ(The Second Summer Of Love)が流行した。これは、60年代のヒッピー・ムーブメント(サマー・オブ・ラブ)に由来する。音楽スタイルはアシッド・ハウスが中心のレイヴカルチャー。レイヴ(rave)とは、ダンス音楽を野外で一晩中流す大規模な音楽イベントである。これによりテクノはヨーロッパでも広く知られるようになった。デリック・メイの「Strings Of Life」がアンセム(ムーブメントを代表する定番曲)として世界中のクラブでプレイされた。しかし、国が治安悪化を懸念して、1994年にレイヴ禁止法(クリミナル・ジャスティス・ビル)が施行される。

1989年、ジェフ・ミルズとマッド・マイク(Mike Banks)は、ユニット「アンダーグラウンド・レジスタンス(UR)」(Underground Resistance)を結成。BPMが上がっていった。

1992年のアルバム「NATION 2 NATION」、1993年の「WORLD 2 WORLD」、「GALAXY 2 GALAXY」がURを代表する三部作とされている。代表作は「Hi-Tech Jazz」。

日本では、1989年、石野卓球(1976-)とピエール瀧(1967-)は電機グルーヴを結成。代表曲は「Shangri-La」、「NIJI」。

1989年 ベルリンの壁が崩壊し、1991年人気クラブ「TRESOR」(トレゾア)が開店。東西の若者たちが集まりドイツでテクノが大流行した。同名のレコードレーベルも設立。ラブパレード(Love Parade)は1989年から毎年7月にドイツで行われていた世界最大規模のレイヴであったが、群衆事故があったため2010年に開催終了した。

1991年、ドイツでハードフロア(Hardfloor)が結成。アシッド・ハウスのユニット。メンバーはオリバー・ボンツィオ(Oliver Bondzio )とラモン・ツェンカー(Ramon Zenker )。代表曲は「Acperience 1」。

1991年、ジョイ・ベルトラム(Joey Beltram 1971~)がリリースした「Energy Flash」は世界中でヒットし、アシッド・ハウスの基礎を築いた作品の一つである。

1992年、ジェフ・ミルズがシカゴで設立したレーベル「Axis」からミニマル・テクノ(Minimal Techno)が確立した。ミニマル・テクノとは、最小限の音で、最小限の展開をするテクノ・ミュージックである。最初の曲は「Sleepchamber」。

1994年、英国でクリミナル・ジャスティス・ビル(Criminal Justice Bill)の法律が施行され、英国内で無許可の反復するビート音楽のレイヴが禁止された。

1998年 BPMの速さがピークを迎える。その後は音数とBPMを落としていき、より内向的なテクノが流行する。ディープミニマム、クリックテクノがケルンから登場する。トーマス・ブリンクマン。

 □サブジャンル:テクノポップ、ユーロビート、アンビエント


◇2000年代 EDM(Electronic Dance Music)

クラブでDJによってプレイされるテクノやハウス系の音楽、DTMによって作曲される音楽の総称。ただし、2000年代以降の楽曲のみをEDMとして扱う。
特にスウェーデン、ノルウェー、オランダなどで多くの有名DJが輩出されている。

有名な曲:

 スウェディッシュ・ハウス・マフィア(2008-2013、スウェーデン)

  EDMの火付け役

  『Until One』2010 
  「Don’t You Worry Child」2012

 デヴィッド・ゲッタ(1967- フランス)

  「When Love Takes Over」2009
       「I Gotta Feeling」2009
  「Titanium」2011

 ピットブル(1981-)

  「I Know You Want Me」2009 EDM×レゲトン

 カルヴァン・ハリス(1984- スコットランド)

  「We Found Love」2011
  「Summer」2014
  「This Is What You Came For」2016
  「One Kiss」2018

 ゼッド(1989-、ドイツ)

  「Spectrum」2012
       「Clarity」2012
  「Beautiful Now」2015

 アヴィーチー(1989-2018 スウェーデン)

  「I Could Be The One」2012
  「Wake Me Up」2013 カントリー×EDM
  「Without you」2017

 ショーテック(1984-、オランダ)

  「Booyah」2013

 マーティン・ギャリックス(1996- オランダ)

  「Animals」2013

 ディミトリ・ヴェガス&ライク・マイク(2009-、ベルギー)

  「Tremor」2014

 カイゴ(1991-、ノルウェー)

  「Firestone」2014

 ティエスト(1969-、オランダ)

  「Red Lights」2015

 アラン・ウォーカー(1997- ノルウェー)

  「Faded」2015

 DJスネーク(1986-、フランス)

  「Turn Down for What」2014 EDM×HipHop×Trap
  「Lean On」2015 EDM×レゲトン
  「Taki Taki」2018 EDM×ラテン

 カシミア(1988-、インディアン)

  「Bazaar」2015 EDM×エスニック

 ディブロ(1978-、アメリカ)

  「Where Are Ü Now」2015 EDM×Trap

 TJR(1983-、アメリカ)

  「We Wanna Party」2016 バウンス

 マシュメロ(1992-、アメリカ)

  「Alone」2016 フューチャー・ベース

 ザ・チェインスモーカーズ(2012- アメリカ)

  「Closer」2016

 マックジェイ(1990-、スウェーデン)

  「Party Till We Die」2016

 スティーブ・アオキ(1977-、アメリカ)

  「Rave」2019


◇EDMのサブジャンル:

1977年 House ハウス シカゴ発祥。ディスコから派生。BPM110~130前後。グルーヴ感がある。

1980年代 Techno テクノ デトロイト発祥。ハウスより、より都会的、機械的なサウンド

1982-85年 Electro エレクトロ ニューヨーク発祥。電子楽器とファンクの融合

1980年代 Eurobeat ユーロビート イギリス発祥。BPM120~160。日本だと、小室哲哉、パラパラ、ビートマニアのイメージ。

1980年代 Deep House ディープハウス BPM125前後、緩やかに展開していく

1980年代中頃 Trance トランス BPM125~145、サイケデリック

1980年代後半 Bounce バウンス オーストラリアのストリートダンス(メルボルン・シャッフル)から派生。飛び跳ねるようなリズム、メロディよりノリ重視、キックの真裏にベースが入る

1990年代初め Progressive House プログレシップハウス =Bigroom 曲に緩急がある、だんだんと盛り上がり、サビで最高潮に至る、高音のキラキラシンセが鳴る

1990年代前半 UK garage UKガラージ イギリス発祥。2ステップ(1拍目と3拍目を強調)

1990年代後半 Hardstyle ハードスタイル オランダ発祥。BPM140~160の四つ打ち、観客は常にジャンプする

1990年代後半 Twerk トワーク ヒップホップのダンスの一種で、お尻を激しく上下させるダンススタイル

2000年以降 Drum and Bass ドラムンベース ブレイクビーツを活用した高速ビート、キックやベースの重低音

2000年代初期 Jersey Club ジャージー・クラブ 5つ打ち、ベットスクイーズ(ギコギコ音)

2000年前後 DUBSTEP ダブステップ イギリス発祥。2ステップ、太いベース音、リバーブのかかったドラムパターン

2000年代中頃 Tropical House トロピカルハウス 南国のリゾート感

2000年代中頃 Cill Wave チルヴェイヴ 落ち着きつつゆったり踊れる、Lo-Fi(古い録音な感じ)でチープなレトロなシンセ

2000年代後半 TRAP トラップ サウス系ヒップホップから派生。強烈なベースライン、唸り上げるサイレンやシンセフレーズ

2000年代後半 Future House フューチャーハウス ベースラインと近未来的なメロディー

2009年以降 Big room ビックルーム いわゆるEDMの典型的なサウンドはこれを指す。四つ打ちのバスドラム、BPM125~130

2010年代 Bro Step ブロステップ ダブステップのアメリカ版。ワブルベース、エコーとエフェクトをかけたドラム、2ステップ

2015年 Groove House グルーヴハウス グルーヴ感を重視した軽快なノリ

2016年 Future Bass フューチャーベース キラキラしたベース、ミドルテンポ


【ラテン音楽】


◎キューバ

◆Habanera ハバネラ

キューバ
17世紀初頭

キューバの民族舞踊。スペイン支配下にあったキューバで、スペインやフランスのダンスが伝わる。その白人のダンスと黒人のダンスが融合し、「ハバネラ」のリズムが誕生した。ハバネラはスペインに輸入され、キューバに逆輸入された。こうして、ハバネラはキューバ音楽の原点となった。

リズム
ハバネラ:  |●○○○○●○○|●○○○●○○○|
トレシージョ:|●○○○○●○○|○○○○●○○○|(ハバネラの二拍目の頭を無くしたもの)
クラーベ:  |●○○●○○●○|○○●○●○○○|

有名曲:

セバスティアン・イラディエル(1809-1865)「La Paloma(ラ・パローマ)」1859

◆Son  ソン

キューバ オリエンテ地方
1850代
マンボ、チャチャチャ、サルサの原型

◆Rumba ルンバ

キューバ発祥

パーカッションアンサンブルを中心としたキューバの音楽。

ルンバの種類
・ヤンブー…ゆっくりテンポ
・ワワンコ…中くらいのテンポ
・コロンビア…速いテンポ

1930代
アフリカ系住民

◆Mambo マンボ

キューバ
1940代
ルンバにジャズ要素を加える
シンキージョというリズム

◆Cha-Cha-Cha  チャチャチャ

キューバ
1950代
ラテン音楽のリズム、二拍子

◆Salsa サルサ

キューバ発祥
サルサは「ソース」の意味

サルサは、様々なラテン音楽・国・人種・文化を一緒くたにする総称。
1970代にニューヨークにおいて確立した。スパニッシュの地位向上に貢献した。

サルサに統合された音楽には、マンボ、ソン・モントゥーノ、チャチャチャ、ダンソン、ルンバ、モザンビーケ、プレーナ、ボンバ、ブーガル、そしてビックバンド・ジャズなどがある。

リズム:
 クラーベ(Clave)
  ・ベンベクラーベ 
  ・ルンバクラーベ
  ・ソンクラーベ
 モントゥーノ(Montuno)

有名曲:

 ファニア・オール・スターズ(1968-)

  アルバム『Fania All Stars Live At Cheetah Vol.1』1972

  ニューヨークのラテン音楽専門レーベル、ファニア・レコード所属のアーティストたちが勢揃いしたグループ。日本のロックバンド「サザンオールスターズ」の名称もここに由来する。

 ティト・プエンテ(1923-2000 ラテンの王様)

  「Oye Como Va(僕のリズムを聞いとくれ)」1962

 セリア・クルス(1925-2003 サルサの女王)

  「Quimbara(キンバラ)」1974
  「La Vida Es Un Carnaval」1998

 レイ・バレット(1929-2006)

  アルバム『ACID』1968

 エディ・パルミエリ(1936- ピアノ ラテン界の太陽)

  アルバム『The Sun of Latin Music』1974


◎メキシコ

◆Mariachi マリアッチ

メキシコのグアダラハラ
18世紀頃

◆Corrido コリード

メキシコ
ポルカやワルツのリズム、アコーディオン奏法の影響
1900代初頭


◎ブラジル

ブラジル音楽は先住民、ヨーロッパ人、アフリカ人、その他の移民の音楽が融合したミクスチャーである。先住民は自然を讃える宗教儀式の音楽を持っていた。1500年代、ポルトガル人がブラジルを発見する。キリスト教のイエズス会は音楽教育によってキリスト教を布教した。その時に、ヨーロッパの楽器がブラジルに渡った。ギター、バイオリン、クラリネット、トライアングルなど。その後、三角貿易の労働力としてアフリカ人が奴隷として連れて来られる。奴隷も音楽教育は受け、太鼓を叩くことを許可されたことが、他の国と異なる点である。1800年代、ブラジルはポルトガルから独立するが、それ以前の音楽的資料に乏しい。

◆Samba サンバ

ブラジル発祥
サンバは「ダンスに誘う」の意味

サンバは19世紀以降のバイーア、リオデジャネイロ、サンパウロの大衆音楽の総称。特徴は、2拍子(2拍子はステップでリズムを取りやすい)、シンコペーション、激しいリズム。リオのカーニバルで踊る音楽もサンバ。

有名曲:

 「Pelo Telefone(電話にて)」(作者不詳)1916 初のサンバの曲として登録されている
 ジョルジ・ベン(1945-)「Mas que nada(マシュケナダ)」1963
 ベッリーニ(1997- ドイツのバンド)「samba de jeneiro(サンバ・デ・ジャネイロ)」1997

◆Bosa Nova ボサ・ノヴァ

ブラジル発祥
ボサ・ノヴァは「新しい風」の意味

1950年代のサンバの新しいスタイル。クラシックギターでサンバのリズムを演奏する。サンバの特徴は二拍子とシンコペーションだが、ボサ・ノヴァはギターで、二拍子は低音のベースで弾き、シンコペーションは中高音のコードを弾く。コードとハーモニーはサンバより複雑だが、パーカッションはシンプルで添える程度である。

有名曲:

 ジョアン・ジルベルト(1931-2019)

  「Chega de Saudade(想いあふれて)」1959 最初のボサ・ノヴァと言われる

 アントニオ・カルロス・ジョビン(1927-1994)
 ヴィニシウス・ヂ・モライス(1913-1980)
 スタン・ゲッツ(1927-1991 JAZZ)

  スタン・ゲッツはジャズにボサ・ノヴァを取り込んだ。

  アルバム『Jazz Samba』1962

  アルバム『Getz/Gilberto』(1964)の「The Girl from Ipanema(イパネマの娘)」(ジョビン、モライス、ゲッツの共作)  

◆Brega Pop ブレーガ・ポッピ

ブラジル北部の都市ベレン
1970代 


◎カリブ海系(プエリトリコ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバブ)

◆Merengue メレンゲ

ドミニカ共和国
17世紀半ば 二拍子頭打ち

◆Calypso カリプソ

トリニダード・トバゴのカーニバル
20世紀初頭
レゲエのルーツ

◆Bachata バチャータ

ドミニカ共和国
1962年
スペイン系、カップルダンス

◆Zouk ズーク

フランス領アンティル
1970代

◆Soca ソカ

トリニダード・トバゴ
1980代
ソウルとカリプソを融合

◆Reggaeton レゲトン

プエリトリコ
1990代
スペイン語のダンスホールのレゲエ


◎ジャマイカ

◆Mento メント

ジャマイカ
1940代
スカやレゲエの祖先

◆Ska スカ

ジャマイカ
1950代後半
オフビートを強調したビート
R&Bの影響下で生まれた
レゲエの原型
1970代のイギリスで2トーンとして流行

◆Rocksteady ロックステディ

ジャマイカ
1966-68年
レゲエの前身
オフビートのところでコードが演奏される

◆Reggae レゲエ

ジャマイカ
1960代後半
裏拍に拍子のインパクトを置いた音楽
パトワ語(アフリカ言語)が挿入されている
ラスタファリズム

有名な曲:

 ボブ・マーリー(1945-1981 ジャマイカ) レゲエの元祖

  「No Woman, No Cry」1974
  「One Love」1977
  「Is This Love」1978


◎コロンビア

◆Cumbia クンビア

コロンビア
1940代


◎アルゼンチン

◆Tango タンゴ

アルゼンチン
1880年頃
カップルダンス
甘美で情熱的な旋律
バンドネオンという楽器を使用することも多い

リズム
 ・Milonga ミロンガ 2拍子の軽快なダンス
 ・Waltz ワルツ 3分の4拍子のダンス
 ・Tango タンゴ 4分の2拍子のダンス

有名曲:

 アストル・ピアソラ(1921-1992 アルゼンチン)

  「アルゼンチン・タンゴの革命児」の異名を持つ
   タンゴにクラシック、ジャズの要素を融合
    
  「Adios Nonino」1958
  「Escualo(鮫)」1979
  「Grand Tango」1982


◎アンデス地方

◆Folclore フォルクローレ

アンデス地方
1950代
民族音楽(アンデス)に基礎を置いたポピュラー音楽

有名曲:

 「コンドルは飛んでいく」1913

◎ラテン音楽の年表形式

17世紀初頭  ハバネラ キューバ
17世紀    サンバ ブラジル
17世紀半ば  メレンゲ ドミニカ共和国
18世紀頃   マリアッチ メキシコ
1850代    ソン キューバ
1880頃    タンゴ アルゼンチン
20世紀初頭  コリード メキシコ
20世紀初頭  カリプソ トリニダード・トバゴ
1930代    ルンバ キューバ
1940代    マンボ キューバ
1940代    クンビア コロンビア
1940代    メント ジャマイカ
1950代    フォルクローレ アンデス地方
1950代    チャチャチャ キューバ
1950代後半  スカ ジャマイカ
1950代後半  ボサ・ノヴァ ブラジル
1962年    バチャータ ドミニカ共和国
1966-68年    ロックステディ ジャマイカ
1960代後半  レゲエ ジャマイカ
1970代    ズーク フランス領アンティル
1970代    サルサ キューバ、プエリトリコ
1970代    ブレーガ・ポッピ ブラジル北部
1980代    ソカ トリニダード・トバゴ
1990代    レゲトン プエリトリコ

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