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小さな事業を長く続けるコツ その2「特定の顧客に頼らない」

小さな事業を長く続けるコツの2つ目は、「特定の顧客に頼らない」です。

小さな事業をしているところにありがちなのが、数社の特定の顧客からの発注に依存してしまっているということ。
つまり、下請け化してしまっている状態です。

これは、実は非常に楽な部分もあります。
自分で受注する努力をする必要がないですから。

自分の事業の存在を知ってもらうための情報発信も必要ない、
新しい顧客からの新しいオーダーに対応するための試行錯誤も必要ない。

「"いつものあれ"をいつも通りに行う」だけなので、頭を悩ますことが全くないのです。

しかしこの状況は、実は非常に危険でもあります。

1.特定の顧客の言いなりにならざるを得ない
特定の顧客によって売り上げの大半が成り立っている場合、対等な関係を構築することができずに、上下関係ができてしまいます。
発注を止められてしまえば、事業としては終わりです。つまり、生殺与奪の権利の他人に握られているも同然です。
そうなると、無理な要求にも応えざるを得なくなります。工賃の値下げや、無理な納期、ひどい場合はキックバックの要求なんかも受けます。
当然、利益率はどんどん下がり、ぎりぎり何とかしのいでいるという状況まで追い込まれてしまいます。
(すべてがこんな対応になるとは限りませんが・・)

2.特定の顧客の状況に左右されてしまう
ひとつ目の理由と似ていますが、特定の顧客の業績が悪くなると、途端に発注が半減、最悪の場合、発注が0となってしまいます。
「これまで頑張ってきんだから、何とかしてくれ!」なんていう叫びも届きません。発注元の企業にとって大事なのは、自分たちです。下請け企業は真っ先にリストラ対象となってしまいます。

3.時代の変化に気づけない
特定の顧客からのオーダーばかりの対応をしていると、その顧客のニーズしかわからなくなります。
周りの状況は刻一刻と変わっていくのに、変化に気づけず、時代の変化に対応するといったことができなくなります。
私のいる業界も大変保守的で、いまだに電話・FAXでしか連絡が取れない、
ホームページもない、といった会社さんが多く存在しますが、そういう会社さんの多くは「不景気で、仕事がないな~」とぼやいています。
忙しい工場は今めちゃくちゃ忙しいんですが・・・

4.自分の頭で考えて、改善するということがなくなる
手慣れた仕事ばかりをやっていると、自分の頭で考えるということがなくなります。そうなると、仕事への意欲・関心も低下していきます。結果、ますます仕事の幅が狭くなり、対応力が落ちていくという負のループに入ります。

父親が祖父の会社から独立した時が、まさにこの状態でした。
父親の個人事業は、当初100%祖父の会社から受注で成り立っていたので、独立とは名ばかり、実質的には子会社、元の社員同然という感じでした。

そして、私がサラリーマンをやっているときもまさに同じ状況だったのではとも思います。
サラリーマンにとっての顧客とは、社員として働いている会社1社のみなのですから。


現在の事業は、年間で100社以上と取引するまでに至っています。
事業規模から比べると以上に取引先が多く、同業者にそのことを話すと大変驚かれます。

年間、数十社近くの新規の取引があり、また同じ程度に取引がなくなっていきます。
私は、この流れがとても良いと感じています。
水と一緒で、経済も流れが止まると、どうしても澱んでしまいますから。

取引先が多いと、顧客への対応や管理も複雑になり大変な部分もありますが、このコロナ禍の中でも、それほどの大きな売り上げ減にならずに済んでいます。

仕事に限らず、
誰かに依存することなく自由に生きたい
それが私の生き方の一つの指針でもあります。








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