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小さな事業を長く続けるコツ その3「安易な安売りをしない」

小さな事業を長く続けるコツ その3は、「安易な安売りをしない」です。

価格設定の難しさ

商売をする上で難しいことの一つが、価格設定ではないかと思います。

仕入れた商品を販売するのなら比較的価格設定をしやすいと思いますが、
資材をいただき、それを使ってモノづくりをするという私の事業では、すべてがケースバイケース。
一律に値段を付けるというのが大変難しいのです。

新しいお客さんとの取引をが始まる際の価格の提示には、いつも悩みます。

高すぎる価格設定では、取引が成立しない
安すぎる価格設定では、努力が報われない

お客様とコミュニケーションの微妙なニュアンスをくみ取りながら、価格を設定してきます。
この辺りがしゃちょ~の腕の見せ所。

価格設定について、考察してみました。

安売りをしてしまう原因

事業を始めたばかりの頃のことを思いだすと、こんな理由で価格設定を高くできませんでした。

1.自分や自分の提供する商品に自信を持てなかった
これが一番の理由です。自分や自分の提供する商品に自信が持てないと、価格を安くすることでしか、お客様を引き付けられないと考えてしまいます。

2.父が経営していたころの下請けの価格設定の基準が染みついていた
価格設定の基準というのは、最初に知った基準をなかなか変えることができないのです。

例えば、自動販売機のジュースはだいたい120円ぐらいでしょうか。それが当たり前という固定観念にとらわれると、自動販売機のジュースを10000円で売るというような発想ができなくなります。

当時は、下請けの価格が染みついていたので、このぐらいかな~の価格設定が(今から思えば)めちゃくちゃ安かったのです。当時は、安いという発想すらなかったのですが。

ちなみに、今はおおよそ4倍程度の価格を頂戴しています。(もちろん、仕事の内容もずいぶん変わりましたが)

3.既存のお客様からの値上げへの反発が怖かった
値段を上げる交渉というのは、すごく大変です。
相手に納得してもらうだけの材料を提示しないとならないですし、最悪の場合、取引が打ち切られるかもしれません。
事業を始めたころというのは、顧客の数も少なく、1つの顧客を失うというのは死活問題です。

安売りの弊害

価格設定というのは、一度通ってしまうとそれが標準となってしまうため、なかなか変えることが難しくなります。
そして、安い価格設定が定着するとこんな問題が起きます。

1.低価格目当ての質の悪い顧客が増える
低価格がウリなわけですから、当然低価格が目当ての顧客ばかりがやってきます。
そうなると、1円でも安くと価格交渉されますし、また少しのミスも返品や値下げの理由に使われてしまいます。

2.商品の質が悪くなる
安い価格設定で受注すると、当然かけれるコストも低くなります。粗悪な材料や道具で無理やり作ることになり、当然、返品対象が増えてジリ貧になっていきます。

3.未来への投資ができない
安い価格で受注すると、とにかく量をこなすことになります。
そうなると、今の仕事をやるだけで精一杯で、新しいことを考える時間や余裕がなくなります。
また、人を雇ったり育てたりする余裕もないので、事業の発展性もなくなります。

適正な価格設定にすることのメリット

このままではまずい~と思いながら、なかなか変えることができなかった価格設定ですが、一つの転機が訪れました。

それは、親切な同業他社の存在。

もともとは、顧客の一つだったのですが、大変親切な方で、かつ業界内の事情にも精通されている方で、いろんな業界内のことを教えてもらったんでした。

それらの情報から、自分たちの価格設定のまずさに気づき、少しずつ価格設定を変えていったのでした。
価格設定を変えることで、”安売りの弊害”で書いたことがどんどん改善されていきました。

1.質の良い顧客が増え、
2.商品の品質も向上、
3.設備や人への投資もできるようになったのでした。

恐れていた顧客からの反発も思ったほどのことはなかったです。
一部は取引がなくなりましたが、ほとんどの企業はそのまま継続、
また、顧客側で商売のやり方が変化することを促す結果になったのでした。

当時に比べて、スタッフも売り上げも4倍程度に増え、コロナ禍などの大きな環境の変化にも対応できるだけの体力をもつことができました。。

価格設定を昔のままにしていたら・・
今頃は、別の仕事をしていたかもしれません。

まとめ

今回は、小さな事業を長く続けるコツ その3はとして「安易な安売りをしない」について書いてみました。

あらためて今思うことは、
価格を安くするという戦略をとれるのは、業界トップの大企業のみ
ということ。

そもそも、低価格戦略というのは、業界トップがシェアを獲得していくために取る戦略であって、小さな企業がとりうる戦略ではないのです。

価格の設定に悩んでいた時に買った本が、本棚にひっそりと置いてあります。

大変ボリュームのある内容ですが、
価格設定に悩んでいた当時、必死の思いで読んでいたように思います。

同じように価格設定に悩まれている方にも、役に立つ内容かもしれませんので、ご参考まで。

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