見出し画像

「猫屋奇譚 月光の記憶」「3つの薔薇の事情」+既刊本 5/21文フリ東京36おしながき

2023年5月21日文学フリマ東京36に出店します。
カテゴリー 小説/妖怪・もののけ
ブース L -16
文学フリマWEBカタログリンク 山吹屋全体ページ

猫屋奇譚 月光の記憶

「猫屋奇譚 月光の記憶」 本文94項 500円
5月21日文学フリマ東京36にて再発行します。恋愛はblです。
文フリWEBカタログリンク ☜「月光の記憶」ページ
★ごあいさつ
本作は猫屋奇譚第一作目「月光の記憶・旧タイトル時間旅行」を含む第一シリーズになります。
平成24年5月20日にありました金環日食を実際に眺めまして、さらに幾つかの楽曲からヒントを得て、橘と乾の転生をめぐる奇譚を書き始めました。
そこから「月光なぞ要らない」まで二年に渡りブログに更新を続けて、「猫屋奇譚 玄冬素雪」と名を付けて一冊の本にしました。
 改めて読み返しまして、猫屋を書き始めた時の気持ちを思い出しました。

また更に加筆を加えたい思いに駆られ、タイトルも玄冬素雪から月光の記憶に変更をして、他の本「吉凶未分」からも話を収録して新たに仕立て直しました。
そして今回、令和五年に再度手直しを加えまして再発行しました。
楽しんで読んで頂ければ幸いです。

★あらすじ 冒頭より
「転生を待ち続けた。だが貴方は俺を覚えてはいなかった」
いつかまた日食が起きたならば
私ともう一度 一緒に見ませんか
 
俺は自室のベッドの上で、込み上げてくる不安と夢見る余地すらない儚い希望とを反芻し続けている。悩み抜いての決断だった。

明日の朝七時半に百年以上ぶりとなる金環日食がある。
俺は吉祥寺で喫茶店猫屋を開く、人外である俺とは違い人間である橘さんに一緒に見ませんかと申し出た。

橘さんは驚き戸惑った後にぜひご一緒にと返してくれる。

二人で見なければならない理由も、それこそ断る理由すら分からず承諾をした橘さんにしてみれば、突拍子もない疑問しか沸き上がらない誘いであったろう。
だが俺にとっては大切に抱き続けて来た願いであった。

高尾に根城を構える烏天狗の一族である俺は、橘さんの前世での式であり寝食を共にしていた。
前世でもそして今の橘さんも陰陽師を生業としており、同じく喫茶店猫屋を営んでいた。

猫屋はいわば俺のような物の怪との交流と情報収集をする場であり、もちろん生活の糧でもあった。

俺は橘さんの前世での忙しくも楽しかった日々の中で二人で金環日食を見上げる。
今の世ならば日食ぐらいで騒ぐ事もない。

だが前世に生きていた時代は日食は脅威であり神聖な事象であった。

橘さんは亡くなる前に思い出したかのように俺に云ってくれたのだ。

「私がもし生まれ変わり、その時にもう一度日食が起きたならば、一緒に見て下さいますか。忘れずにいて下さいますか」

俺は一日千秋の思いで橘さんが転生をしてくるのを、百年を超す時間を待ち続けた。

ハート国物語 組曲
3つの薔薇の事情

ハート国物語第1シリーズ「組曲 3つの薔薇の事情」本文62項 400円
文フリWEBカタログページリンク ☜「組曲 3つの薔薇の事情」ページ

不思議の国のアリスをモチーフにした擬人化ファンタジーです。
アリスが去った後のハートの女王様率いるハート国の物語。
時計ウサギにチェシャ、トランプ兵が物語の世界を横断し、様々なトラブルを引き起こしていきます。 恋愛はblです。
★あらすじ
ハート国のトランプ兵ハートの9が吸血鬼に噛まれてしまった。
「一度噛まれてしまうとね、ヴァンパイアになってしまうの。もう元には戻らない」

追われるように消え去ったハートの9を探すハートのジョーカーが、ハート国物語の始まりの物語を語りながら、生まれ故郷である東の冬の森に帰って行く。

最終章はタイトルにもなった「3つの薔薇の事情」 物語界に魔法界を移動しながら生きて行く吸血鬼の青年、薔薇の国の後宮から招待をうけたスペードのエース、薔薇の紅茶専門店での吸血鬼の会合に出席する為にロンドンに赴いたハートの9ら3人を軸にした物語。

★冒頭部分より
人間の世界に一冊の物語の本が生まれる、
同時に物語の世界にも国が誕生する。
本が読まれ続ける限り登場人物達の世界は存続を続けていく。

遥か昔、俺はハートの魔法使いとともに小高い丘の上に来た。
真っ白な何もない空間であった丘は、今では森が広がり、見上げるような城が建てられて気の合う登場人物らと暮らす世界になった。

★ハート国物語シリーズ
第1シリーズ 「組曲 3つの薔薇の事情」
第2シリーズ「くるみ割り」
 小説家になろう、ブログにてアップ
第3シリーズ「クレイジーダイアモンド」500円 頒布中


既刊本

猫屋奇譚 鬼の箱

★「猫屋奇譚 鬼の箱」価格300円 本文46項 
・鬼の箱 ・さいころあそび 雪月花 ・桜散らし 
それは神社の秋祭りだった。俺が生まれ育った村の小さな神社であったが、毎年の皆の楽しみであり大切な行事であった。

鬼の箱と呼ばれていたと山田さんが教えてくれた。

鬼がその指先に触れ木彫りの文様が浮かび上がったと、俺が箱を手に入れた後に村の神社の宮司に呼び止められてそう聞かされた。


猫屋奇譚怪談 葉月

★猫屋奇譚怪談 葉月 朱夏 40項 300円
猫屋の橘はある青年から恋人である葉月を探して欲しいと依頼を受ける。

それと共に式にし、刺青にまで入れていた蛇も一緒に探してくれと頼まれた。

思いつく限りの場所を探し回る橘だったが、青年と葉月の過去を知り、何故自分に依頼をしてきたのかに疑問を抱いた。

本文抜粋
「兄さんはこの前の。ねぇ、殺人事件の犯人なの。テレビで見たよ。何人も殺めたって凄いね」

炭酸水をごくり音を立てて飲み、ワンピースの裾で口元を拭う。
男は俺と晴を交互に眺め、俺に狙いを定めたようだ。

「俺を知っているのか。それはますます良くないな。まずは物の怪の兄さんから。御嬢さんは後で俺とお喋りをしよう」

晴は甘ったるい笑みを浮かべ、ワンピースの裾を足の付け根までたくし上げ片足をローテーブルに乗せる。

俺は男から目を離さない。

屋敷に住んでいた家族はみな殺されてしまったとテレビでやっていた。

もしこの男がそうならば、俺達を生き残りと考え戻って来た可能性が高い。

長刀を構える。室内では俺の刀はその長さゆえ不利だが、このリビングならば平気だろう。

洋風の高い天井、周りにはソファとローテーブル、壁際に幾つかの箪笥が置いてあるだけだ。
男が腰に下げた徳利に指をかけた。


猫屋奇譚 吉兆

★猫屋奇譚 吉兆  本文60項 400円
短編5話収録 WEB再録、過去に出した本から大幅改変、書き下ろしなど正月から3月にかけての話でまとめました。
・さいころあそび吉兆編・夜鷹の夢 試し読みアップ中。
・雪消月 ・伊吹 ・弥生 


猫屋奇譚 花暦

★「猫屋奇譚 花暦」 価格300円本文38項 
花をテーマにした短編3話 
花見・白雨・竜胆

「白雨」
白雨とは明るい空から降る雨。
その昔に僕はある一人の少年と出会った。
「いつか受け取りに来る。持っていてくれ」
その言葉を信じ、僕は少年の朝顔を何年も育て続ける。
亡くなった後も僕は待ち続けた。

「竜胆」
会いたい人間がいる。
猫屋を訪れた半面の物の怪竜胆。橘は了承し約束をするが。
時を同じくして竜胆の昔の手下達が集結しつつあった。


猫屋奇譚 鬼の留守

★「猫屋奇譚 鬼の留守」本文30項 200円 
収録 鬼の留守、春一番
迷い家マヨヒガをテーマにしました。

ある帰り道、道に迷った隆志は霧の中に忽然と現れた家を訪ねる。
そこで出会ったのは10年も前に亡くなった陽太であった。
もてなしを受け、夢心地で家を出た隆志はポケットに小さな箱が入っているのに気が付く。
一方、家に隆志を上げた陽太は箱が無くなっているのに動揺する。
隆志を追いかけ箱を返してくれと迫るが、中身は違ってしまっていた。
2人はそれぞれに陰陽師組合に相談をし、猫屋の橘を訪ねた。

マヨヒガとも迷い家とも云われています。
もう一度行きたいと願ってもそれだけは叶いません。
でもその家に上がったのは本当ですし、一生忘れないでしょう。


猫屋奇譚怪談 半夏生

★「猫屋奇譚怪談 半夏生」 本文66項 400円 
半夏生、金魚鉢、夏祭り、約束、
オルゴール夏のお盆が迫り、あの世から沢山の亡者が戻って来る。
それは物の怪の彼らの世界と交わり交差し、物の怪らが行き交うけもの道にまで入り込む。

その中で意思を持ち戻って来た五名の亡者が主役になっています。
何をしに戻って来たのか。誰に会おうとしているのか。そんな怪談になっています。


ハート国物語 クレイジーダイアモンド

★ハート国物語クレイジーダイアモンド  122項 500円
不思議の国のアリスをモチーフにした擬人化ファンタジーです。
アリスが去った後のハートの女王様率いるハート国の物。

映画界に暮らす赤ウサギの招待を受けた時計ウサギ。
従者にスペードのエースと9を連れて行く。

同じころ、映画界ではある問題が発生していた。

スペードのエースにうり二つの男が銃を構え、スペードの9は予期せずして同じ顔を持つ男と逃げる事に!

散ってしまったダイアモンドにスペード隊の秘密、2人のエースと9が映画界に騒動を巻き起こす。
そして、もちろん主役の赤ウサギは最前線に乗り込む。



 

この記事が参加している募集

文学フリマ