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おんなじだけど、みんな違う。

娘(3歳5ヶ月)の友達は、ゆーくん(仮名)といって、娘と幼なじみの、ほぼ同じ月令男子。

ゆーくんとそのママと公園に行ったとき、母同士はこんな会話をしていた。

「朝、出るのがギリギリになっちゃって。行く気になるまでが長い」
「分かるー!うちも、出るまでが大変で」

こんな会話、ここ1、2年で何回しただろうか。

なにもない草っぱらの公園で、「草取りするの」とひたすら草を抜く娘と、忙しそうに走り回るゆーくんを眺めながら思う。

みんな同じなんだなぁ。こんなにも、違うのに。
まさに、猫(娘)と犬(ゆーくん)みたいな2人。

家を出るのに苦労するのはみんな同じ。そんな、子育ての大変さの共有に、どれだけ救われてきたかと思う。

遊ぼうと声をかけて何時ねと決めても、ふり幅30分くらいで集まっていた母と子たち。お互いそうだよねー。と思っていたから、緩くて楽だった。

さて、そろそろお昼になったとき、母たちは子どもらに声をかけた。
まだ遊びたいというゆーくん。お腹空いたという娘。

すこし遊びながら、なんとかゆーくんを説得して、お弁当のある自転車まで行こう!と、いう段になって、娘が枝を拾いながら歩き始めた。その横でダッシュするゆーくん。

枝でいろいろ叩いては歩く娘と、ダッシュで自転車までついて、また迎えにきてくれたゆーくん。

これって、もしかして……。

ゆーくんママに聞いてみた。
「もしかして、ゆーくんて出掛けるっていう気持ちになったら玄関でぐずぐずはしてないタイプ?」

「そうかも」とママ。
「遊んでる時に出掛けるよーとは何度も何度も言うけど、『行く』と決めたら、着替えてトイレ行って靴はいて、は早いかも」

あ、それ、娘と全然違う!
「うちは『行く』となっても、トイレ行って踊ってて声かけて、玄関で靴下履くのにしゃべっててなかなか履かなくて声かけて、靴履くのにまた声かけて、だよ~」
私は苦笑して見せる。

ゆーくんも、娘もなかなかの意思の強さだし。
それぞれペースがあるから、喧嘩になりやすかったりもする。 そこはにてるけど。

でも、
『意思が強い』
『マイペース』
『こだわりが強い』
そんな言葉だけではくくれない、
おんなじようで、それぞれ違う。

ゆーくんは、自分の好きなものをとことん大事にしたいタイプで。やりたいことは、押し通したい強さがあるし、初めての事にはしり込みするけど、納得したことは動きが早い。

娘は、目についた楽しいことは何でもやりたいタイプで。新しい事にも飛び込んでいけるけど、そちらに意識が向くとまえのことをすっかり忘れてしまう。

考えてみれば違うのは当たり前なのだ。

たとえ見ているものが似たようなものでも、目に飛び込んでくるものは人によって違う。

ゆーくんは好きなものや目的が燦然と輝いて見えるのかもしれないし、娘は全てのものが目に飛び込んでくるのかもしれないと思った。

今さらゆーくんママとはしないけど、例えば、家から早く出られないという悩みにたいしてのアドバイスで、
「着替えの時に、おかあさんといっしょの着替えの歌を歌うとスムーズですよ」
とかは、娘には有効でもゆーくんには無用なのだ。

教育テレビの「u&i」という、実はひそかにとても好きな番組がある。https://www.nhk.or.jp/school/tokushi/ui/
夢の世界にきた子が、クラスメートへの悩みを、夢の中で本人に直接電話して聞くという設定で。
こないだは、
「なんで劇の台詞を全然覚えてきてくれないの!?練習が足りないんじゃない!?」
なんて不満を、いざ電話で聞くと、相手の子が
「1日何時間も練習してるんだけど、実は文字が3文字くらいづつしか認識できないんだ」
等と言って、相手のことがよく分かってきた。
努力とか、意識とかのレベルとは違う、認知のレベルで人がそれぞれ違うことが、とっても分かりやすかった。
悩んでいたことも、想像や先入観があったことにきづいたり、ちゃんと知ることで、どうしたら良いか考えたり不公平感やモヤモヤが溶けていく感じがとても丁寧。
これ、ゴールデンタイムで大人に向けてやってほしいと思うほど(平日の午前中にやってる)。

情報の受け取りかたって、気付かれにくいけど、本当はとっても人それぞれ。
私は物事を大枠でとらえることしか出来ないので、漢字が苦手、おじさんの顔が覚えられない。マスク越しの人間もとらえにくかったりする……。

こどもの『性格』を考えるときに、そこを知っていると、小心者とか乱暴だとか、切り替えが遅いとか、気が散りやすいとかの表面的な捉え方から、一歩深く、その子がどうモノをみて、捉えているかという視点になれるな、と思った。
その子のこともっと良くみて知りたい、に繋がる気がする。

その子自身も、親の性格も、居住環境も違うなかで、一口に『家から出るのが大変』といっても、様々だと改めて。お互い悩みを相談されたり、したりするときに、心にとめておきたいなと思った。

育児の悩みは、みんなおんなじようで違っている。

違うけど……でも。
これだけは、おんなじだ。

「今日は大変だったぁ!」

そう思った時の母の心。

それだけは、もう多いに共感できるし、労いあえるだろう。

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