秋も深まり、17時にはすっかり真っ暗。恵比寿から新宿までの山手線が、ガタゴトと揺れる。ゴーという電車の音が、永遠のように感じられた。いや、永遠に続いたらいいのにと思った。
でも、わたしのそんな思いとは裏腹に山手線はきっちり10分でわたしたちを新宿駅へと運んだ。

世界一の平均乗降者数を誇る新宿駅。その西口へ行くと、 #旅と写真と文章と のメンバーが集まっていた。 #千鳥足フォトウォーク と称してAutumn初のフォトウォーク。企画が発表されてからつい数時間前までは、とっても楽しみにしていたというのに。あの、「ゴー」という電車の音でわたしの世界の音が消えた瞬間に、言い様のない不安に襲われた。

あ。わたし、今から手話のない飲み会に行くんだ。
そう。
手話のない飲み会。実は、ざっと6年ぶり。

フォトウォークをしながら、あれこれと思いを巡らせる。はて、あの頃のわたし、どうやって飲み会に参加してたんだっけか。

確かあの頃は、声の聞き取りやすい先輩の横に座って、その先輩の声を頼りに今どんな話題が展開されているのか想像してたんだよなぁ。よし、やってみるか。

この人の声だったら聞き取れる。
そう思ったお姉さまの隣に座り、みんなの口を読む。
きこえる人の口を読むことはできるし、補聴器を頼りに音を聞き取ろうとすることもいつも通り。そう思いながら、あの頃のように隣のお姉さまの声とみんなの口の形を頼りに話に思いを巡らせる。みんなが笑えば、とりあえず笑ってみる。
まぁ、全部わからないわけではない。何となくだけど。

ちょっとわからなくなったら、フライドポテトを摘めばいい。
楽しそうなみんなを見ているのも楽しい。

オンラインで、このメンバーがいかに暖かい世界をもっているか知っているから。この人たちの楽しそうな顔、真剣な顔を生で見られるだけで、同じ場にいられるだけでとても楽しかった。
それに、やっぱり、お姉さまの隣に座った選択は大正解で、声がよくきこえる。

きこえる人の飲み会も、きこえない人の飲み会と同じように、会の終盤に近づくにつれてグループができてくる。
とりあえず、きき取りやすい人がいる一番小さなグループ。
「旅」と「写真」と「文章」っていう好きの軸が似通った、いろんな世界を見つめるメンバーの大事な大事な相談は、わたしにも置き換えて目と耳を傾けることのできる大事な話だった。

新宿で集合。もちろん新宿で解散。
もう酔っ払っているし、ここはあまりにも賑やかで、とりあえずその場にいることが楽しい。それだけだったそのとき。みんなが「旅」と「写真」と「文章」の手話表現をしながらカメラに向かって笑顔を向けていた。

あんまりにもびっくりして、世界が止まっちゃったんじゃないかと思った。

確かに自己紹介でポロっと
「 #旅と写真と文章と の手話表現を作りたいな。できれば、手話配信にもチャレンジしてみたいな」
こう呟きながら、「旅」と「写真」と「文章」の手話表現を紹介した。
でも、20人近い参加者のうちのたった1人の呟きだよ。そのたった一言を覚えていてくれたみんなが、揃って「旅」と「写真」と「文章」の手話表現をしながらカメラに向かって笑顔を向けている。

嬉しいのやらびっくりしたのやら。もう、何が起こったのかわからなかったのだけど、嬉しかった。
わたし、ここにいてもいいんだな。
このコミュニティを、大切にしていこう。

そう思った帰り道。

今期は、手話配信にも挑戦する。
noteにも備忘録として記しておこう。

今日もお疲れ様でした☺︎
おやすみなさい。

追伸:手話配信の方法、ご教示くださる方を絶賛大募集しています。イメージは、日本語対応手話に字幕をつけたいなぁと考えている。「言語」としても大切だと思うけど、今回は文法とか何よりも「伝えたい」の気持ちを大切にしたいんだよなぁ。。。トータルコミュニケーションの方法の１つとして。興味の導入として。。。