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「エッセイ」〜やり直し〜#一陣の風のように


貴方は私の人生に突然現れて
女として一番輝いていた時期をヒッチャカメッチャカに掻き回して無責任に去って行った。

まるで一陣の風のように…
遺された私には何も遺っていない。

ただ一陣の風が吹き止むのを待って
今、此処に立っている。

あの日、貴方に出逢わなければ良かった。
そうしたら、もう少し穏やかな人生を歩めたかもしれない。
でも出逢わなかったら、こんなに人を愛せる事に気付かなかったと思う。

貴方は、未だに私の中の一陣の風
ううん、本当は大型台風だったのかもしれない。
逃げ足は、あまり速くなかったから大きな傷痕を沢山残してくれたね。
でも、その余韻の中で心の傷痕を癒やす事が出来ているのかもしれない。

ありがとう、出逢ってくれて…
ありがとう、生きててくれて…

4月は殆どの人にとって「始まり」の月だと思う。
新年度だから、学生にとっては入学式や始業式、社会人なら入社式や移動や転勤。
新しい物事には、ワクワクやドキドキとした期待や不安が伴う。でも、そのどれもが楽しいに違いない。希望に満ちた月だ。
私にとっての4月は「終わり」の月。
貴方が私の手の中から天に向かって旅立って逝った月だ。

「お前の指、全部にダイヤモンドの指輪をはめてやるから」

嘘つき!
私の指は、まだ8本残っているよ。

「お爺さんとお婆さんになったら二人きりで過ごそうな」

嘘つき!
お爺さんになる前に貴方は遠くへ逝っちゃったじゃない。


でもね、「終わり」って絶望じゃない事に、この頃やっと気付いたの。
何かが終わるから、何かが始まっていくんだね。

私、歩き始めるから貴方は天の上から、焼きもち妬いたり羨ましく思ったりして、指を咥えて見ていなさい。
人生って辛くて苦しいだけじゃないって、飽きたら貴方の元へ旅立つから、それまで文句を貯めて待って居てね(笑)

暫くの間だけ、さようなら
ありがとう、私の一陣の風よ。


山根あきらさんの素敵な企画に参加させて頂きます。また、よろしくお願いしますm(__)m

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