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クライミング感覚(100年の自画像)

学習院大学山岳部 平成30年卒 佐藤淳平

クライミングと聞いて皆さんはどんな事を想像するでしょうか。
カラフルな突起が散りばめられた人口壁をよじ登る、オリンピックの競技にも抜擢された「今時でオシャレ」なスポーツでしょうか。それとも大自然の岩場に身一つで挑戦する「危険で刺激的」なスポーツでしょうか。

私の考えではどちらも「イエス」です。

クライミング(厳密にはフリークライミングと呼びます)は人口壁・自然の岩場どちらも登攀(とうはん)の対象とします。高い壁を登る際は基本的には二人一組で安全を確保し合い、落下に備えてロープ等の器具を使用します。

しかしながら登る際に頼りになるのは自身の筋力や頭脳だけです。

そのシンプルさと奥深さから登山のトレーニングに過ぎなかったクライミングが市民権を獲得したのだと考えます。

私は人口壁世代(岩場ではなく人口壁からクライミングを始めた世代。私が勝手にそのように認識しています)ですが、学習院大学山岳部在籍中はそれなりに岩場を志向していました。

当時を振り返ると、私はクライミングを「ゲーム」のように楽しんでいました。レベルアップして更に強力な敵を倒せるようになって、つまずいては鍛えて…の繰り返し。このようなイメージです。

フリークライミングは大きく分けて二種類あります。高い壁を登る事を「ルートクライミング」、低い壁を登ることを「ボルダリング」と呼びます。どちらも限定されたラインに難易度が付けられ、そのラインを辿って登り切ると「難易度+クライマー」を名乗ることができます。柔道では◯段、英語検定では◯級といったイメージです。筋トレ・柔軟等と研鑽をすれば以前は歯が立たなかった課題がクリアできること。前回トライした時はこのムーブ(姿勢・動き)で失敗したから今回はあのムーブで…という戦略性。
そして本番の緊張感…不思議な魅力を持った唯一無二のスポーツです。

運動やゲームが好きだけれどもスリルも味わいたいという方には是非挑戦していただきたいと思います。

人口壁の場合は都市部にもトレーニング施設が存在します。
ただ自然の岩場はどこにあるのか。日本アルプスの山々が数多く連なる長野県? もしくは海外? そのような疑問を感じる方もいらっしゃるかと思います。一見ハードルが高そうな岩場、実は首都圏でも挑戦できるのです。

斯く言う私も東京や埼玉の岩場に通っておりました(残念ながら私の出身地である千葉にはクライミングに向く岩場が乏しかったです)。例えば奥多摩の「御岳ボルダー」は日本有数のボルダリングエリアと言えるでしょう。多摩川沿いに岩(そもそもboulderとは「大きな石」といった意味です)が点在しており、多くのクライマーが日々困難な課題に挑戦しています。

岩質によって登りに違いが生じることも岩場の醍醐味です。私のお気に入りは石灰岩でした。柔らかい石灰岩は侵食作用によって強傾斜が形成されます。クライマーは登る際に仰け反るような姿勢を強いられます。当然負担は大きくなります。その代わりアスレチックのように大胆な動きを楽しむことができます。例えば飯能の「河又」は鍾乳洞のクライミングを楽しむことができます。看板ルートである「デザートソング」は何度目かの挑戦で漸く登り切った思い出のルートです。その他にも東京の近郊には秩父の「二子山」、湯河原の「幕岩」といった魅力的な岩場があります。

クライミングは自分がどのようなレベルであっても我々を楽しませてくれます。

ストイックに己を追い込むことも、仲間と和気藹々と登ることも等しく価値があると考えます。私はどちらも重視しておりましたが、ややエンジョイクライミングに寄っていました。

例えば大学卒業を前に高校時代の友人を頼って企画した四国ボルダリングツアーは良い思い出です。
道後温泉でノスタルジックな余韻に浸った次の日には仁淀川の河原で、その次の日には高知の海岸でボルダリング。頻繁に来られる土地ではないからこそ登りに身が入ります。松山空港を後にする頃には指の皮がボロボロ。旅行の後とは思えない疲労感ですが、あの満足感はきっと忘れることがないでしょう。

楽しみ方は人それぞれ。それが大きな魅力です。クライミングに挑戦したことのない方はぜひ、大昔に私たちが切り捨てた「登る」という行為を再び楽しんでいただきたいです。

社会人四年目、あの自由な時間を思い出しながら。

四国ボルダリングツアー(とても刺激的で面白かったです)
こんな波打ち際でも困難なムーヴを追求できます。
あーおもしろかった!!

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