部屋の窓開けると、朝の陽ざしが眩しい中に、冷たい風が吹きこんできた。窓から見える街路樹も色づいてきた感じがする。季節は冬に向かい、まだ秋が名残惜しい晩秋となってきた。
TVでは、秋の野菜を使った美味しそうな料理の紹介が流れている。
そんな朝だが、彼女は昨日の興奮が収まらず、寝不足の朝を迎えた。
坂本 美穂子(さかもと みほこ)28歳、フリーのWebデザイナー。
昨日は、紹介を頂いたネイルサロンのオーナーと新しいWebのページデザインやページコンテンツについての打合せを行い、彼女から面白い話を沢山聞かされた。その内容にわくわくした気持ちで一杯になった。また彼女からの提案も頂き、興奮が今でも収まらないでいた。
紹介されたネイルサロンのオーナ、佐藤 亜希子とは、自分も参加しているビジネスコミュニティで、主催者の佐倉から紹介された。
佐藤は、スタイルもよく自分より少し年上だったが、外見上は年下に見られるくらいの印象を受けた。
ネイルサロン事業の中で、新しい取り組みや今サロンで行っていることをWeb上で表現し情報発信をしたいとの思いで佐倉に相談すると、坂本に相談したらとのアドバイスだったらしい。
美穂子が佐藤のサロンに訪問したのは、昨日の夕方19時だった。サロンの予約が終わって落ち着いて話がしたいとの事で、その時間となった。
美穂子は、ここで佐倉の話がでたことにも驚いたが、彼のアドバイスをすぐ実行して結果に繋げている佐藤にも驚きを感じた。しかも、佐藤のわくわくしている感情が伝わってきた。
美穂子は、佐藤の行動力に更に驚いた。発想の面白さや企画力も自分達のマーケティング戦略や価値の作り方、CRM(顧客管理)についも自然と出来上がっている感じだ。
佐藤から渡されたファイルを見てみると、沢山のメモが張られたA3サイズの紙とそれを項目ごとにまとめられたシートが入っていた。それらを見ていくと、佐藤の思いや楽しさが伝わる。思いついたことをまとめるのに、自分でイラストも描かれていて、色鉛筆でカラーリングされていた。楽しい計画書がそこにあった。
美穂子は、佐々木のチームでこれをサンプル事例としてできないかと考えついた。しっかりしたコンセプトが出来ており、行動して実績もある。佐藤の了解と佐々木への相談も必要だが。。。
美穂子は、佐藤の相談という言葉に、何か楽しそうな予感を感じた。佐藤とは話が合うし、彼女のいききした感じにとても好感を持っていた。
それから、美穂子と佐藤は、サロン近くのイタリアンの店で食事としっかりワインも飲みながら楽しく時間を過ごした。そこでは、お互いの家族の話やコミュニティの仲間の話で盛り上がり、意気投合した感じだった。そして、今度は女子会をやろうという話になり、コミュニティの仲間やお互いのクライアントやお客様も誘ってみようという話になった。
美穂子は、思いもよらぬ展開にわくわくが止まらなかった。
佐々木が話していた、チーム制の話や佐藤から提案があったチーム制の話。全てが連鎖している。情報から人が連鎖している関係が新しいものを作り上げていくのかもしれない。
一つのことで終わらずに連鎖することの可能性を感じていた。
佐倉が話していた個の連携やコミュニティの話が、ここにきて自分を巻き込んでくる。新しい何かが起こる可能性が更に美穂子の気持ちを高ぶらせていた。