見出し画像

「キュビスム展 美の革命」を見て!


東京・上野にある国立西洋美術館に行って参りました。

日本では50年ぶりに開催のキュビスム展。


パリのポンピドゥーセンターに所蔵された作品が一挙に集結しました。

フランス・パリの「ポンピドゥーセンター国立芸術文化センター」。工事中...ではなくそういう建築デザインである。


めったに、いや、一生お目に掛かれないかもしれない超貴重な回顧展です。

当企画展は、事前予約が出来なかった為、当日券売り場に並び、チケットを購入して入場しました。

国立西洋美術館の外観。
青のコーンバーで囲われたところが当日券売り場。平日の午前10時で既に人だかりが出来ていた。


この日はアートを全く知らない友人も誘って、一緒に鑑賞しました〜。



“アートに興味がない人間”に、アートの魅力を説得させるには...


付き添いの友人は美術館に行った経験が全くなく、知っている芸術家といってもピカソぐらいしか居ません。
きっと、美術に興味がない方の大多数はそんな感じでしょうか。

だからこそぼくは、鑑賞前に否が応でもアート知識は最低限でも植えさせておきたい!と思いました。さもないと「何も分からなかった」の一言で終わってしまいそうで恐かったから😅

世話焼きっぽく聞こえそうですが、実際そうかもしれません…。もっと多くの人にアートの面白さを知って貰いたい一心ですし、鑑賞中はじっくり集中したい人なので、なるべく説明も事前にしておきたかっただけなんですが...。

美術史を簡単におさらいして..アートの魅力については、まず“作品の凄さ”よりも、その作品を描いた“芸術家の凄さ“に焦点を当てたく、ぼくは直喩法を用いて友人に説明しました。

洋楽に精通する友人だったので、芸術家をロックミュージシャンにたとえてみたところ・・・このようになりました。

芸術家をロックミュージシャンに例えたら?

ポール・セザンヌは•••エルヴィス・プレスリー

・キュビスム(ロック)の祖に相応しい
・ピカソ(ジョン)に大きな影響を与える

パブロ・ピカソは•••ジョン・レノン

・誰もが知る超大物
・アート(ロック)の歴史を大きく変えた
・芸術性に長けている
・政治情勢に深く関与

ジョルジュ・ブラックは•••ポール・マッカートニー

・ピカソ(ジョン)と、同じアトリエ(バンド)で活動
・ピカソ(ジョン)と長年の友


キュビスムを代表する3名を挙げました。国籍の違いや時代錯誤はありますが、相互の界隈にどう影響を与えたかに着目すると、結構音楽とアートって共通点の多い文化なんだーと思いました。

あれやこれや妄想をしていたら、お三方の他にも共通する人物は20人程度おりました。どれも個人の偏見でしかないですが笑

でも、この手法を通すと芸術家の各々のポジションも伝わりやすく、友人も多少なりは鑑賞へ踏み込みやすくなったのかなと思います。美術好きの皆さんにはぜひオススメの説得法です。



鑑賞開始


展示はキュビスムの元といわれる、ポール・セザンヌの風景画から始まりました。

以下、印象に残った作品達です!



マリー・ローランサン
「アポリネールとその友人たち(第二ヴァージョン)」

ローランサンとの恋愛関係もあった詩人・ギヨーム・アポリネールを中心とした作品。第一印象は「ローランサンっぽくないな、」と思いました。水彩風の色鮮やかな絵とは打って変わって、茶色ベースで顔の描き方はキュビスム寄り?ですが、程良いダーク感で落ち着きを感じますし、これはこれで好き。

ジョルジュ・ブラック
「レスタックの高架橋」


キュビスムの始まりといわれたこの作品から、セザンヌから学んだ技法を駆使し、家屋が多視点で描かれている事が確認できます。
セザンヌの絵や原始的な彫刻から、キュビスムの誕生に至るまでの芸術家達の描画スタイルが進化していく様が分かりやすく展示されていたなと思いました。

パブロ・ピカソ
「肘掛けに座る女性」

何も描かれていない壁面のジグゾーパズルを組み替えたら、たまたま人の形が完成した、みたいな。ちゃんと観察すると姿や形になっていて、全て計算尽くされて描かれているんだなと思いました。三角構図のバランスも美しい作品でした。

フアン・グリス
「楽譜」

ピュトー派と呼ばれた芸術家たちの作品は初めて見たかもしれません。黒を基調としたピカソブラック派とは一線を画して色彩が明白に映し出されている事がはっきり分かりました。
特にグリスやドローネーは明るい色を使った作品が多い印象を受けました。ギターだったり、楽譜だったり、音楽を扱った作品がやたらと多いのは、この時代の流行的な主題だったのかな。

ローベル・ドローネー
「パリ市」

ドローネーの代表作の一つ。展示室に入ってまずこの作品の大きさに驚き、「おおっ」となりました。ボッティチェリの「春」を思い出す3人の女性(三美神)の並びと、多視点に切り取られたエッフェル塔。
パリが築いてきたものを後世に伝えていくぞ!という燃える熱意を感じました。キュビスムの全てを凝縮したといわれても納得の超大作。


マルク・シャガール
「ロシアとロバとその他のものたち」

シャガールの作品は、ピカソのキュビスムとは一風変わって、非現実味あるユニークさを取り入れた作品が多かったです。悪夢の映像を切り取ったかのような世界観や、美しい色彩のグラデーションには、とても目を見張るものがありました。



全体の感想


20世紀初頭から第一次世界大戦終わりまでにかけて巻き起こった短いムーブメントでしたが、作品のボリュームを実感して、当時の芸術家がいかに活発的だった事かがうかがえました。

同じ文化とはいっても、派閥や形態によって、描画スタイルに微妙な違いがある事への理解がより深まったかなと思います。

また、友人はどちらかといえば、絵画より彫刻作品に興味津々でした。ゲーム作りが趣味なので、立方体のカクカクした人物画には、「ポリゴン処理する前のCGに見える」などといった別角度での意見も聞けて面白かったです。
芸術家の名前を何人か覚えてくれて帰ってくれたのが、ぼくとしては何より嬉しかったです。




以上、ご精読ありがとうございました。



では、また!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?