見出し画像

「保守層の受け皿になる」大義を掲げた無所属新人の決断(宮崎)

2021年9月18日、宮崎日日新聞のニュースに、現職の宮崎県議会議員の脇谷のりこ議員(自由民主党所属)が、次期衆議院議員総選挙に宮崎1区から無所属で出馬意向であるという内容がアップされました。

また地元放送局のMRT宮崎放送、UMKテレビ宮崎も下記のように取り上げております。

※MRTとUMKで報道の扱いの仕方が違うわけですが、こういうところに「忖度」が隠れていると思われても仕方ないですね(UMKにはそういう事情があるんでしょう)。

県議会議員が国政に進出することは別に珍しいことではありません。しかしながら宮崎1区に限ってはこれは大きなことです。それをこれから語っていきます。

追い詰められた自民党宮崎県連

2021年6月8日、東京都港区六本木の交差点で現職の衆議院議員武井俊輔(宮崎1区選出)議員の秘書の運転する車が当て逃げ事故を起こし、議員所有の車が車検切れ、自賠責切れ(道路運送車両法違反)であったことが判明しました。

詳細な内容は下記note記事をご覧いただきたいですが、当該議員は選挙区選出議員であるにもかかわらず、現在、コロナ禍であることを理由に有権者に対しての説明責任を放棄し、現在に至っています。

自民党宮崎県連は当初、武井議員を次期衆院選で公認する予定でしたが、この事件の経緯、そして当該議員の対応等を鑑み、次期衆院選で公認申請しないことを表明しました。

しかしながら自民党の選挙対策委員長である山口泰明氏は「現職優先」「選挙区支部長が辞任しない限り候補者公募は認めない」として県連の判断に「NO」をつきつけました。

県連として武井議員の公認申請はしないが、党本部が現職優先の方針を貫くなら、県連の意向は無視された状態で党本部の都合だけで武井議員は自民党公認候補になります。しかも県連独自候補を公募することもできない。県連としては八方塞がりの状況でした。

このままでは宮崎県の自民党員、党友、支持者たちはどこに投票すべきかわからなくなります。県連は「自主投票」という判断を下さざる得ませんでした。

脇谷のりこ氏の立候補の示すもの

脇谷のりこ氏は現職の宮崎県議会議員(自民党所属)です。従って、自民党宮崎県連の一員でもあります。しかも前回の統一地方選で県議に当選しまだ一期目の途中にあります。その彼女がなぜ、自民党籍を捨て、無所属になってまでも次期衆院選に出馬しようとするのでしょうか?。

マスメディアの報道には次のようにあります。

「保守系の受け皿になる必要があり、自らが動かなければならないと思った」
出典:前述のMRTニュース

「自民党を変えるためには、自らが動かないといけない」
出典:宮崎日日新聞社

「自民支持者が離れていっている。受け皿となる必要がある」
出典:読売新聞 
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20210919-OYTNT50023/

これから導かれることは「保守系候補の受け皿に自らがなる」という判断を下したということです。すなわち、次期衆院選で自民党公認予定となる武井議員では「その受け皿になり得ない」という判断でもあります。

それは前述のような武井議員の交通事故だけでなく、その後の対応の不手際が問題をさらに深刻にしてると考えます。

普通に考えて、交通事故を起こしたらその被害者に対し謝罪します。企業であれば社員の不始末はその上司や経営者が謝罪します。議員秘書がしでかしたことはその雇用者である議員が謝罪するのが筋です。

しかしこの当て逃げに事件の被害者は「議員に謝罪されていない」とメディアの取材に答えています。それどころか弁護士に一任しているという報道も出ています。

なおかつ、武井議員は事故を起こしたその週末に地元選挙区に帰り、自分の後援会組織や有力支持者には謝罪したそうですが、選挙区の一般の有権者には何ら説明はしていません。それどころか選挙を一緒に戦った戦友とも言える宮崎県連や市議の中には「電話一本かかってこない」という方もいらっしゃいました。

これに加え、菅内閣の支持率低下によって「有権者の自民党見限り」が加速していると考えられます。さらに県連が武井議員を公認申請しないとし「自主投票」という判断を下したことで、自民党員、党友、支持者の票は行き場を失っていました。

このままでは自民党の支持層は「もうしかたねぇから武井に入れるか」となるのがほぼ必定だったと思います。

脇谷氏は、こういった自民党の支持者である保守層の苦悩を見過ごすことができず、党籍を捨ててまでも、自ら受け皿になるという判断につながったのだろうと察します。

しかもその原因は本来は身内である自民党の現職の国会議員である武井俊輔議員に起因するのですから、脇谷さん自身も忸怩たる思いなのではないでしょうか。

リスクを背負った人間の強さ

現職の国会議員である武井議員は当該事故について一切の説明責任を果たしていません。当人は「先日の記者会見を開き」「説明した」と下記の投稿しています。

先日、県政記者室において記者会見を行い、1時間半にわたり、各社の記者の方から様々なご質問を頂きました。 目下の話題である総裁選に関することに加え、 私の政治家を目指した理由、目指すべき社会像、好きな言葉など政治家としての初心を再確認させて...

Posted by 武井 俊輔 on Thursday, September 9, 2021

しかし、これは「次期衆院選の候補者の人柄や考え方を取材する目的のもの」であり、武井議員がメディアに呼びかけておこなったものではないことが日本維新の会の外山イツキ氏のツイッターで書かれています。

これで「説明責任を果たした」という武井議員の主張には無理があるでしょう。武井氏がこうまでして「記者会見を行った」にこだわったのは、私のような人間の批判に耐えられなくなっているからだと推察します。なぜ、そこまでしてやるのか、それは「自民党公認が欲しいから」と推察します。

事故や違法行為を行うことは人間なら仕方ありません。うっかりということは誰だってあります。しかし、起こしたこと、起きたことにはその後の然るべき対応というものがあり、それを行うことが人の上に立つ者の責任であると考えます。

武井氏は、違法行為を行い、有権者に説明責任も果たさず、現職優先の自民党の方針に従って公認(予定)されて次期衆院選に立候補しようとしています。

脇谷氏は、武井議員のしでかした不始末によって離れていく自民党の支持者(保守層)の受け皿となるため、県議会議員の座を捨て、自民党籍からも離れて無所属となって立候補しようとしています。

武井氏、脇谷氏、両人のどちらが人を導く器量、矜持を持っているでしょうか?

何かを為すにはリスクがつきものです。
さて、リスクを取っているのはどちらでしょうか?

有権者が下す「正」「邪」の判断

脇谷氏の立候補によって次期衆院選における宮崎1区は有権者の「正邪」が問われる選挙となります。

違法行為を行い説明責任を果たさない人間を国政に送るのか。はたまた保守層の受け皿となるために、自ら退路を絶って立候補する人間を国政におくるのか

その有権者の判断は宮崎1区の有権者の倫理観が問われていると言って過言ではないでしょう。

ちなみに宮崎県農民連盟は次期衆院選で武井議員を推薦しました。宮崎県の農家の倫理観とはなんなのかを当人たちに聞いてみたいところです。

宮崎県商工会連合会の政治団体および宮崎県看護連盟は武井議員の推薦を取り下げました。報道によると看護連盟は

「武井さんの事務所に問題があるのでは」。県連職域支部の一つ、県看護連盟(県看護協会の政治団体)の渡部京子会長は憤る。

連盟は武井氏の事務所から推薦願を受けて推薦書を用意した。地元秘書が受け取りに来たのは6月9日。東京の秘書が当て逃げ事故を起こした翌日だったにも関わらず「事故の件は一切伝えられなかった」

9日夜にニュースを見た連盟役員からの連絡で事故を知った。県連役員会が24日に武井氏を党本部に公認申請しない方針に転換したことを受け、翌日には推薦取り下げを決めた。

出典:朝日新聞デジタル「「なぜこんなことに」自民宮崎県連、1区公認めぐり苦悩」
https://www.asahi.com/articles/ASP7J6TC8P7HTNAB013.html

とのことで、ここでも説明責任を果たそうとしない武井議員のスタンスが見て取れます。

また、脇谷氏が女性候補ということもあって、立憲民主党の渡辺創候補、日本維新の会の外山イツキ候補の支持者の中の女性票も影響がでるものと思われます。

脇谷氏は県議選で得票数2位。渡辺氏は得票数4位ですからね。渡辺氏にとってはまさに「大敵現る」でしょう(笑)。

そして同じく、私が模様を見定めているのは「自民党宮崎県連」の態度です。武井議員を公認申請しないところは県連としての矜持を見せたと思うのですが、今後、脇谷氏を推薦するのかどうかです。

自民党県連としては公認はできませんが、推薦はできるはずです。
県連が本当に保守層の未来を思う気持ちがあるなら、一択だと思うのですけどね。

長崎4区も同じような状況

実は宮崎1区と似たような状況にあるのが長崎4区です。
自民党長崎県連は長崎4区の公認候補に、現職国会議員で前地方創生担当相だった北村誠吾議員ではなく、長崎県議会前議長で県議の瀬川光之氏を公認候補として申請しています。

この原因は北村議員の国会答弁への不満や地元への説明不足が影響して地元の自民党支持層が候補差し替えを求めた結果のようです。

今回の脇谷氏の立候補は、自民党候補として公認公募ができない現状を鑑み「無所属」で立候補することで筋目を通しています。なので県連として公認ができなくても推薦はできるのではないかと思うのです。

今後の自民党宮崎県連の動きを注視したいと思います。

最後に

人の上に立つものは清濁併せ持つ寛容さが必要です。しかしながら、やってはいけないことをやってしまったら、それ相応の対応が必要です。それが人の上にたつ立場の人間の責任であり義務であります。

なおかつ国会議員は国政を担う存在であり、我が国の唯一の立法機関であり最高機関の構成員の1人です。すなわち、立法に関わるものが違法行為など最初から言語道断です。

SNS(Facebookおよびツイッター)において、武井議員に説明責任やそれ相応の対応を求める声があがっておりますが、武井議員は次々とブロック行為を繰り返しています

人格攻撃、言われのない誹謗中傷にブロック処理はわかりますが、まっとうな対応を望む声をブロックするのは「言われたくない」「反論できない」ことの表れと受け取られてもやむ得ません。

故に脇谷さんには是非とも頑張っていただきたい。
宮崎1区に良識と正義があることをきちんと表明してもらいたいと思います。

「ならぬものはならぬ」のです




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?