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一流のものを身につける?|身の丈に合う生き方のすすめ

よくビジネス書やビジネスに関する記事で、一流のものを身につけることの大切さを説かれていることがあります。

まだまだ一流とは言えない未熟な身だったとしても、スーツや靴、時計、カバンなど身の回りのものから一流のものを身につけることで、自然と文化レベルが高まり、一流のビジネスマンになることができるというものです。

場合によっては食事も高級なものを上品に食べるようにし、住まいも一等地のタワマンに住むような、コミットした事例も読んだことがあります。

「やる気」というのは出そうと思って湧いてくるものでもありません。そのため、形から入ってまず行動することによって、成功に繋がりやすくなるのかもしれません。

しかし、こういった助言を鵜呑みにして高いお金を即座に支払ってしまうのは賢明な判断とは言えないでしょう。

文化レベルを高めることが本当に必要なのか、それによって適切なリターンを得ることが本当に見込めるのかなど、冷静に検討することが大切です。

最も危ないことは、一流のものを身に付けたことで「一流になった気がして終わる」という結末です。こういうタイプの人はよくいるような気がします。

学生時代に音楽活動をしていた時のことです。ギターの練習をするためにも、まずはギターを買う必要があるのですが、ここでローンを組んでいきなり一流のものを身に付ける学生が非常に多くいました。

「練習をサボってしまう退路を自分に与えない」ことが理由だという人が大半でした。

しかし、結局のところ彼らは上達するまでに挫折を繰り返す過程で「一流のものを扱えていない」という気持ちに悩むようになります。自分より圧倒的に演奏がうまい先輩が使っているギターが安物だったと知った時に、ひどく恥ずかしい気持ちに陥ってしまうのです。

もちろん、ギターは身に付けるものではなく演奏するものであるという点に違いはありますが、本質的にはそれ程異なることでもありません。

要は本当に一流になるためには、高い意識を保ちながらも夢中になって行動する必要があるということです。

となりの億万長者』という資産運用関連の自己啓発本があります。

著者がアメリカの富裕層の実態を調査し、億万長者たちは実際にどの様な生活をしているのかをリアルに描き出していくという、学び多き一冊です。

このなかに出てくるアメリカの億万長者たちは、所有している資産は莫大であるにも関わらず、誰もが質素な服装をしており、飲むお酒もバドワイザーばかり、日々の生活は倹約に次ぐ倹約の連続で、どこにでもいるようなごく普通のおじさんおばさんばかりであったという、意外な事実が描かれています。

著者曰く、高給取りの代名詞である弁護士や外資系コンサルの様な職業の人々は、自分たちが一流であるという印象を顧客に与える必要があるため、ブランド物のスーツを身にまとい高級車に乗って生活をするようになると言います。

しかし、資産と言うのは「収入ー支出」が蓄積されていくものであることから、どれだけ一流になって金を稼いでも浪費が激しいと一向に豊かになれないという、当たり前の様な事実に苦しむことになってしまいます。

これらを考えたうえで自分が「一流のものを身に付ける」必要があるのかと言うと、やっぱりこれからもしばらく、庶民的で身の丈に合うものを選んでいこうかな、と思ってしまうのです。

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