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なぜ遅刻する夢をよく見るのか

僕がよく見る夢に「仕事に遅刻をする」というものがあります。

シチュエーションは様々なのですが、移動時間などを計算してみても、どうにも間に合わなさそうな時間の設定になっており、間に合わせようと急いでみても、何か忘れ物をしてしまったり、身体が思うように動かなかったりして、職場まで全然到着できない状態が延々と続いていくのです。

そうこうして苦しんでいる間に普段は優しい上司や同僚から信頼を失ってしまう情景が浮かんできて、焦って前に進もうとしてもそれでも職場にはたどり着くことができないのです。

最近は出張に行くことも増えたので、出張先と現在の職場で予定をダブルブッキングさせてしまうなど、遅刻する夢のバリエーションも現実に合わせて増えてきてしまいました。

普段からそこまで職場の人に信頼されたいと思っているわけではないと思っているので、こういった夢を見るということは潜在的な出世願望などがあるのかもしれないと、自分でも不思議に思っていたところです。

しかし、最近になってようやくこの夢の原因がわかってきました。これはおそらく僕が過去に無職だった期間を経験しているからなんだと思います。

無職だった期間は23歳~24歳の頃で、胃がんの手術を受けた後に抗がん剤治療をしていた時でした。ステータスとしては「闘病中」なのですが、実家で療養しているだけで生産性のある活動は一切していなかったのです。

受給することができた傷病手当金によって収入はありながら、実家に住まわせてもらっていたので「仕事をしない」生活を謳歌していたとも言えます。

社会人になって忙殺されている時など、この様な生活を羨ましく感じることもありますが、当時の自分の気持ちを思い返してみると、この状態には二度と戻りたくないと強く思います。

主治医をはじめとした病院に勤めている医療従事者のみなさんの仕事によって命を救われ、国民の納税によって賄われた社会保障費から捻出された傷病手当金でその後の療養生活を過ごしています。そして両親が稼いだお金で維持された実家で暮らし、友人たちは新社会人として活躍を始めているところです。

こういった状況下で療養だけをしていると、後ろめたい気持ちが芽生え、社会は自分を生かしてくれたが自分は人の役に立っていない、と自分を責めることになってしまっていたのです。

その後、体調が上向いてから再就職に向けて頑張ったこともあり、今では忙しく暮らせていますが、やはりあの時の気持ちには戻りたくないと思っています。

だからきっと、僕の深層心理には社会から信頼を失ってしまうことへの不安が潜在しているのだと思います。それが「遅刻をしてしまう夢」として現れて、未だに僕を唸らせているのです。

仕事がしんどくて嫌になることもありますが「遅刻をしてしまう夢」から目覚める度に「仕事があって良かった」とホッとした気持ちになることができます。思わぬかたちで仕事の意義を再確認できているのです。

この悪夢のおかげで、まだまだこれからも仕事を頑張れるかもしれません。あまり見たくない夢ではありますが。

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