未来猫

プロローグ

ある日、彼女はいなくなった。

嫌がる私に構わず、尾をなでてきた彼女はいなくなってしまった。あなたは猫らしくないのね、と笑う彼女はいなくなってしまった。最後の魔女にして、私の最初の恋の相手であった彼女はいなくなってしまった。

彼女と共に過ごした家も庭も、彼女を覚えていない住人の住む街も、どこを探しても彼女はいないということに気付いたとき、鉛のような安堵感を覚えた。そして、とても寂しかった。
だから、私は彼女を探しに出かけることにしたのだ。


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