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苦手な食べ物にまつわるいい話

わたしの行きつけの
美容室の美容師さん(男性)は
料理が好きな方で、
髪を切ってもらっている間、
よく料理の話で盛り上がる。

レシピや美味しいお店の情報など
話題は尽きないのだが、
ある日、話の流れから
「子どもの頃お母さんが作ってくれた料理」
について聞くことがあった。

その美容師さんのお母様は
とてもマメな方で、
なんでも料理する人だったらしい。
家でカップ麺を食べるのもアウトなくらい、
徹底的に手作りにこだわっていたそうだ。

今50代くらいの美容師さんのお母様だから、
まだそんなに女性が外で働くことは
一般的ではなくて、
専業主婦として家のことをきっちりこなすのを
求められていた時代だったのかもしれない。

そんなお母様だから、
お料理も美味しいものばかりだったけど、
その美容師さんには、
一つだけ苦手なものがあった。


それは、おはぎ。


よりにもよって
お母さんの得意料理であるおはぎが
美容師さんはとても苦手だったのだ。

でも、あんまりにも気合を入れて
作っているものだから、
どうしても嫌いとは言い出せず、
大人になった今でも
我慢して食べているそうだ。


なんて優しいんだろう!と思った。
男の人ってたまにそういう
優しさを発揮する。

そういえば私の旦那も
結婚して一年目、お弁当を作り始めて
二ヶ月ほど経った頃だろうか、
おずおずと申し訳なさそうに、
「実はピーマン苦手だから入れないで欲しい」
と言ってきたことがあった。

(わたしはそれまで、お弁当に
ピーマンをバンバン入れていた。笑)

結婚するまで3年も付き合ったし、
嫌いなものは把握してるつもりだったけど
意外とそういうことって
我慢して言わないものなんだね。


作る側からしたら、
「なんだ早く言ってくれたらいいのに!」って
思うけど、こちらが料理に気合を入れれば入れるほど、言いづらくなるのかもしれない。


手の込んだ料理を作るのはいいけど
あまり力を入れ過ぎるのも、
食べる側からすれば
プレッシャーになるんだ
なぁと、
これは一つの教訓になった。

でも、それはそれとして、
お母さんをがっかりさせたくなくて、
毎年、おはぎを我慢して食べてあげる息子って、
なんか優しくて、いい情景だなぁと、
ほのぼのした気持ちにもなるのだった。



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