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統失家族サバイバーから見た「京アニ放火事件」

 筆者は母親と兄が統合失調症の家庭で育ちました。なので青葉被告に対して思うことはさまざまありますが、今モヤモヤすることは彼の供述は死刑を逃れるための演技であるという意見がネットに溢れていることです。

 統失者の基本的なロジックは「よくわからない大きな闇の組織」によって「よくわからない謎の技術」により自分自身に危害を加えられるというもの。それが古くはキツネや悪魔による呪いや魔法だったものが現代では企業や宗教組織による謎技術に変換されています。

 彼らはこの「よくわからない巨悪」について具体的に説明することは出来ません。組織名まで掘り下げてもその先の人物の詳細を聞くと途端に有耶無耶にします。青葉被告も「京アニの闇の人物」について説明出来ていません。


夢の世界を歩く者たち

 筆者の見解として青葉被告に責任能力はないと思う。例えば夢の中で怪物に襲われて反撃しただけなのに何故か自分が死刑かどうかの大騒ぎになっている、という感覚だろう。

 とはいえ社会的影響力を考えて死刑にするのかもしれないし、仮に心身衰弱無罪になったとしても病院の中で不自由な身体のまま生涯を終えると思う。青葉被告の中では「闇の人物」が裁かれず、自分だけが陰謀によって消されるような無念の気持ちで生き続ける。

 どの道刑によって更生することもなく今の自分の立場も理解できない。司法にとって負の遺産となるような判例になる可能性もある。ただの感情論だけで死刑にすべきでないし、彼の死によって遺族の気持ちが晴れるだろうか。


母親に加害された立場として

 過去の記事に動画を上げているが、陽性状態となった母親に何度も自宅を襲撃されている。既に自死した兄が遺したブログの中には筆者への加害を示唆する内容が含まれていた(それをしたくないため自死)。

 だから統失患者に対して強い恐怖を感じるし、妄想だとしてもあまりにも身勝手過ぎて許せないことは数え切れない。

 正直言って、いつ陽性状態に切り替わって加害モードになるかわからないような人物が野放しになっていることも怖い。昨年末起こった飯能市一家殺害事件の犯人は現在も鑑定留置中とのことだが、個人的には彼も統合失調症ではないかと思う。

 人生で全く関わり合いがなくても突然遭遇する可能性もある。よほど重罪犯でなければ治療の継続もされず、一旦統合失調症と診断されても根気強い医療と福祉の努力がなければ青葉のような結末もあり得る。


事件をエンタメとして消費する人々

 ネットの意見のほとんどは彼は罪を免れるために演技しているというものばかり。逆に考えて妄想によって合理化されているから怖いという感情にならないのだろうか。

 世論は実に単純だ。宅間守のように暴言を繰り返した挙げ句最後まで足掻く犯罪者の姿を見たかったり、障害者や女性、外国人などが減刑された際に今後少数派を叩く材料欲しさにむしろ心身衰弱無罪を期待しているまである。遺族の感情や刑の役割など一ミリも考えていない。誰かが死刑になりそうなスリルに興奮しているだけ。


 そういう人たちも筆者の母と三日間同じ部屋で集団ストーカーの話を24時間聴かせたら少しは演技じゃないことに気付くだろうか…

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