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私と、若者と、【Youth+協働者インタビュー企画②にじいろほっかいどう りょーすけさん】前編

Youth+(札幌市若者支援施設)の活動に協力してくださっているオトナの方へのインタビュー企画第2弾。今回は、Youth+センターで開催されている『にじーず』の協働者にじいろほっかいどうのりょーすけさん(国見亮佑)にお話を伺いました。


若者の悩みは分からない!!!

―ユースプラスと関わるようになったきっかけを教えてください!

私たち『にじいろほっかいどう』は、LGBTの方が交流する場を提供する事業に取り組んでいます。活動する中で、中学生~大学生くらいの若い人同士で集まってお話ができるようなイベントがやりたいなって思いがあったんですね。大人がいると、若い人たちが委縮しちゃうので。それでいくつかイベントはやっていたのですが、なかなか集まりが悪くて。あと、私自身「若い人の気持ちがなかなか分からないわね??」と、色々行き詰ってたわけなんです。
東京で『にじーず(~23歳位のLGBTの人たちの交流イベント)』をやっている遠藤まめたさんという方がいらっしゃって。まめたさんとは友達なので「にじーずのやり方、教えてくれない?」って聞いてみたんです。そうしたらまめたさんも、地方都市でも若者向けの交流イベントを拡げていきたいという思いがあったそうなんですよね。
そして、話を聞いている中で、若いLGBTの人は、LGBTのことだけに悩んでいるのではなく、学業や人間関係、家族にも悩んでいることを知ったんですよね。
私はゲイ(男性同性愛者)の当事者で、LGBTのことはわかる。ただ、若者の悩みがわかるか、というと難しい。なので「そういう支援ができる人が必要だ」となって、若者支援をしているところと組もうという話になったんですよね。それで、ネットで「若者支援」で検索したら『Youth+センター』が出てきたんですよ!


センター③

『いつからやりますか?』

―そこで『Youth+』が登場したんですね!

そうなんです!ネットによると、そこはテレビ塔の横にあって、若者の居場所になってて、色々なイベントもやってるみたい、と。
それで、札幌でイベントをやる日に、アポなしで『Youth+センター』に行ったんですよ。

―あら!アポなしで!

アポなしで(笑)
Youth+センターに行って、ウロウロしてたわけですよ。
実際に若い子達がいる。卓球している人もいる。昼前に行ったんですけれど、パンとかが置いてあって自由に食べられるし、持参したカップ麺食べてる人もいるし。

それで、思い切って、当時の副館長さんに声かけたんですよね。
初対面だったんですけど「自分はゲイの当事者で、こういう活動をやっている者で」「実はこういうイベントを考えていて」と話をしたら、二つ返事で『やりましょう!』『いつからやりますか?』て言ってくれたんです、副館長!
それで「えーー!!」となって。こちらがびっくりですよね!
フラッと見に行っただけなのにそんなことになって「わ、わ、分かりました!と、とりあえず、じゃ、東京のにじーずの方に聞いてみます」て言って、帰ってきた後にまめたさんに「な、なんか、向こう、やる気だけどどうしよう…」って(笑)
そこから、若者の気持ちがわかる10代~20代くらいの当事者の人たちに「にじーずを札幌でやろうと思ってるんだけど、来てくれない?」て声をかけて。それで、始めたのが、2019年の3月です。

―そういう流れだったのですね!

ふたつ返事で!副館長さんがあそこにいらっしゃってよかったですよ、ホント!副館長さんと話をしていなかったら、こんなにトントンと話は進まなかったと思う。

―確かに、行動が早いのが当時の副館長なので…

Youth+の中でもそこは共通認識なのね(笑)

―当時、Youth+もLGBTの悩みも絡んだ相談が増えてきて「LGBTに関する知識も必要なのかもしれないね」というタイミングだったので、てっきりこちらからお願いしたのかと思っていました。

その話もされたんです!「実はYouth+でもLGBTの課題っていうのはすごく認識していて」というお話で。
こちらは若者支援の人を探していて、Youth+はLGBTの人たちのことが分かる人を求めてて。それで一緒にやろうってことになったんだと思います。


スティッキーズ

どんな自分でも大丈夫、と安心できる場所を作る

―一緒に活動していく中で、変化ってありましたか?

若者の問題は若者支援の専門家に、という話をまめたさんから聞いていて「ああ、そうだな」と思ったんです。それと同時に、LGBTのこともピアカウンセリングが基本で「当事者じゃなきゃわからないだろう」という思いがあったんですね。私自身は若者ではないですけど、ゲイの当事者として長いこと生きてきて、当事者としていろんな話ができるという立場です。若者特有の課題が出てきた時にはYouth+を頼りましょう、みたいな思いだったんです。最初は。

でも、途中から変わっていくんですよね。
最初Youth+の方は、LGBTの人たちにどう対応したらいいのか…というところがあったんだと思うんです。
でもね、だんだんと「あ、支援する側が“当事者”と“当事者じゃない”と分けていることの意味があんまりないな」ってなってきたんですよね。

―意味がないなっていうのは?

にじーずの参加者は、LGBTというのは一側面としてあるけれども、〈若者〉なんですよね。それこそ、今のにじーずの参加者も、Youth+に来て勉強してたりダンスしてたりする人たちも〈若者〉であるという点はなんら変わらない訳なんですよ。
だから「ここは、どういう人でもいていいんだよ」という場所を提供することが第一なんだろうなと思ったんですね。ここではセクシャリティの相談ができるけど、そういう悩みを言わなくても「ここはセクシャルマイノリティである自分がいても大丈夫」と安心できる場所を作るのが大切だって。そういう場を作るにあたって、〈当事者スタッフ〉と〈Youth+スタッフ〉という分け方は無意味になってきたなっていう印象ですね。
あとはLGBTのことについて、分かろう・知ろうという気持ちが、Youth+スタッフの方々はすごく強かったですね。
毎回終わったら、私たちは「参加者がこういうことを言っていた」とか「参加者がこういう想いでいる」という振り返りをしています。どのスタッフも、より良い場となるようにお互いが全体を見て、意見を出し合う、そういう仲間・チームになっていってるんですよね。そこはすごく感謝しています。

全国でにじーずは開催してますけど、当事者と若者支援の団体が、一緒にLGBTの居場所を運営しているってことはなかなか無いんですね。そういう意味でも先駆的な活動になっているのではないかと思いますね。

―確かに、ここまで大々的にLGBT支援と若者支援がタッグを組んでいるところは、聞いたことがなかったですね。

私も全国の組織を大体知っているつもりですけど、こんな風に組んでいるところはあんまりないな、と。それがわかったのが去年の活動報告会だったんですよね。

後編は8月半ばを予定!こうご期待

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