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再び、美容院!

必ず、必ず、美容院というのは、戦さなのだ。

まず、美容院の前の予定を終えると家でシャワーを浴びねばイケナイ。

この時点で一歩、負けている。

シャワーしたのち、髪を乾かしながら、
「どうせこのあと(流し)をされるのに、」
なんて考えるので、また一歩、負ける。

着替えると、オシャレしすぎても、ラフすぎてもイケナイ、ちょうどいい美容院用の格好を選ばされているので、到底勝ちに程遠い。

もっと言えば、予約である。

相手の時間に合わせねばイケナイ姿勢が、
もはや敗勢ではないか。

そうして、勝つ要素など無く、美容院へ赴き、
手荷物を剥がされ、予想通りやはりまた、洗い立ての髪をワシワシと洗われてしまうのである。

この時点での、勝率は限りなく0に近いと言える。

何か会心の一撃があるとするなら、
「今日、前髪どうしますかー?」と言われるようなタイミングで、
「ここ美味しいですよ、ほら、あの百貨店を西に行ったところにある焼き鳥で。」
なんて、びっくりさせることだろうか。

会計の後に、「良い情報をありがとうございました。」なんて言わせたら、逆転勝ちである。

さて、シャワーし、ドライヤーで乾かされ、
相手の調子で進むこの戦さであるが、
難局は今からである。

やはりと言った具合で、「今日どうしますかー?」である、この言葉で調子をうかがわれ、早速相手のペース。

「後ろはこんな風に、横は耳を出して、前髪はこの辺まで」なんて言っても、「じゃー少しずつやっていきますねー。」とまるで効いていない。

油断していると、「厚さはどうしますかー?」とパンチが飛んできて、しどろもどろに、
「んーとじゃー」なんて言おうものなら、
早くも背中に汗などかいて、それに気づいた相手もすかさず、足元のファンを回すので、
いやはや参ってしまう。

無事切り終わる頃には、どっと疲れて、
再びの流しの後の、肩もみがヤケに気持ちよく、これは完敗だ。

なんて3700円を支払う時、
「そう言えば、この前教えてもらったお好み焼きやさん、ヤバイですね。」なんて、相手が言ってくれるので、
「おっ、行ってきたんですね。」と反撃のチャンス。

出口の引き戸を、「いつもありがとうございます。」なんて言いながら引くの待って、
「あぁ、今日はまぁ、引き分けかな。」と
心に思って、美容院をあとにする。

また2ヶ月後の戦さに備えて、良いお店の調査に行かねばイケナイ。

「カット代の3700円があれば、一回、調査に行けるのに。」

なんて思ってしまうの所も、すでに何かに、負けている気がしないでもない。

#エッセイ #随筆 #美容院 #オトナ

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