大学院留学(博士)のあれこれ

こんにちは、理事の山田です。前回畠山が大学院留学(修士)のあれこれを書いてくれたので、私は博士課程の大学院留学の準備・初期段階のtipsについて、私の経験をもとに思いつくままに書いていきたいと思います。

先に結論を申しておくと、大学院留学準備・初期段階の鉄則は「可能な限り一時情報をつかめ」です。大学や指導教官が情報共有の場を作ってくれる親切な場合もありますが、僕のように自分からアウトリーチしていかないと情報が得られないケースもあるので積極的に情報を取りに行きましょう。

それではどんな一時情報を取って行けばいいのか具体的に見ていきたいと思います。

1.指導教官の面倒見

メールや外部の人の評判では指導教官がどの程度研究指導にコミットしてくれるか分からない部分があります。研究や学会でネームバリューがある先生が博論指導に積極的であるとは限りません(逆に積極的でないケースの方が多い気が…)。日本の学部のときの先生がとても学生指導に積極的だったので、海外でもそんな感じなのかなと思ってイギリスの修士に進学しましたが、対面で会ってくれたのはなんと一回でした。意気消沈して修論執筆が苦しくならないためにも、指導教官を決める前に指導教官の面倒見を知っておいた方がよいです。具体的には1.定期ミーティングの頻度、2.先生の繁忙期の有無、3.共同研究の機会の有無、4.博論の進め方、5.先生の指導方針を確認しておきましょう。僕のケースだと、1.なし(必要に応じて)、2.学会前、期間中、3.なし(僕のアイデアがあればやろうか)、4.do it yourself!、5.do it yourself!! だったのですが、事前に知っておけば気をもむこともなかったかなと思います。(笑)

2.ファンドの有無

アメリカの学費・生活費が異常に高いので大学がファンドを出してくれるかは経済・精神的にヘルシーな博士生活を送るために重要です。私は2年目以降はファンド大丈夫だよという言葉を信じ、理事の畠山が博士を取ったミシガン州立大の5年間のフルファンドを断ってピッツバーグ大学に来ました。もちろん自分のやりたい研究がやりやすい先生や環境がピッツバーグにはあったので、進路選択は後悔していません。外部の奨学金獲得が実績になったり、学内のファンドを探す中で色んな先生と知り合い共同研究をさせていただく機会を得られたので結果オーライではあるのですが、毎年のように資金獲得のためにあくせくしないといけませんでした。もちろんファンドは社会・学内環境に影響を受けるので、不確定要素はあるのは承知です。ただし指導教官の面倒見もそうですが、あると思っていたのになかったという、期待を裏切られるのが精神的に一番きついので、事前にファンドが得られる可能性を知っておきたいものです。具体的には、先生や学部が持っている研究資金の出所・期間、その資金で現在雇っている学生の数、雇用の要件(例:2年目以降の学生、TAとして働く)、カバー範囲(例:生活費オンリー、生活費+学費)などを聞いておきたいです。

3.コースワーク

大学や学部によっては履修する科目が学部によって決められていてコースワークを決めなくてもよい場合もありますが、そうではない場合は、どんなコースを履修できるのか、履修する必要があるのかを知っておいた方がよいです。ピッツバーグ大の場合教育学部の学生は学部外から6科目履修するのが必須です。さすがは総合大学のピッツバーグ大学。政治学、経済学、言語学、生物統計学分野に上級の研究方法論の授業や教育政策研究に関連するコースがあります。さらに知らなかったのはお隣のカーネギーメロン大と単位互換制度があり、ピッツバーグ大の学生は1学期に1科目カーネギーメロン大の授業を履修できるということ(逆もしかり)。博士課程のガイドブックなどに細かい履修のルールは記載されていますが、おすすめのコースを早めに知っておくと計画的に履修計画を組めると思います。

まとめ:誰に聞けばいいの?

指導教官の面倒見、ファンドの有無、コースワークの情報をつかむ必要性について書いてきましたが、誰に聞けば良いのでしょうか。プライオリティとしてはまず、指導教官。僕は進学前はメールでのやり取りしかしなかったのですが、できることならキャンパスビジットなどで直接会う、できない場合はZoomで面談の機会を設けてもらいましょう。指導教官に聞けない・聞きづらい場合、次に候補に挙がるのが、指導教官が指導している現役生です。似た研究関心を共有している現役生であれば、指導教官との共同研究やコースワークについても聞けるので、なおよいでしょう。最後に学部の現役生や指導教官が指導した卒業生です。指導教官の教え子ではないと、指導教官の面倒見やファンドの有無といった内情まで分からないかもしれませんが、コースワークや学部内の雰囲気を教えてくれます。卒業生も当時の指導教官の面倒見については教えてくれると思いますが、指導教官の最新のファンドや繁忙状況は知らないかもしれません。英国マスター進学準備時の心構えの記事でも書きましたが、いつの時代の話なのか注意して聞く必要がありそうです。
いずれにせよ、大学や指導教官が教えてくれるだろうと受け身でいるのではなく、自らプロアクティブに動いて情報を掴んで行ってください!

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