オックスフォード留学を振り返る~カレッジ編~

荒木啓史

前回の記事では、オックスフォード留学に関するファンディングについて書きましたが、そこでご紹介した奨学金の一つが「埼玉発世界行き」です。これは、埼玉に縁のある人が海外留学等をする際に金銭的なサポートをしてくれるだけでなく、留学後も就職支援等をしてくれるありがたい制度ですが、同奨学金を受給するためには一つの条件がありました。それは、留学期間中「埼玉親善大使(Saitama Goodwill Ambassador)」として、海外において埼玉の魅力を広めるとともに、埼玉のグローバル化にも貢献する、というものです。

「〇〇親善大使」と聞くと、有名な俳優やタレントなどがなるイメージがありますが、実際にイギリスでも「自分は親善大使だ」と自己紹介すると最敬礼をしてもらえることもありましたが・・・この「埼玉親善大使」はそのような大げさなものではなく、学生が自分の手の届く範囲で活動することが期待されているものです。ただ、せっかく奨学金を頂いて親善大使を拝命するからには、何かしら貢献したいと思い、いくつかオックスフォードで取り組んだ活動の一つが、「年始にお雑煮と一緒に埼玉県産の日本酒とお菓子をオックスフォードの友人にふるまう」というものでした。その時の様子が以下の写真で、お雑煮も日本酒も好きな人と苦手な人に大きく分かれましたが(笑)、お菓子(ゼリー)は概ね好評でした。

これを見ていただくと、様々な国籍の人が集い、グローバルな環境下で非常に楽しい時間を過ごしたことが伝わるかと思いますが、実は私自身、留学開始当初からこのように他の学生との時間を楽しめたわけではありませんでした。むしろ、どちらかというと自分一人の時間をできるだけ確保しようとしていたような気がします。しかし、オックスフォードが誇るカレッジ(College)システムを最大限活用することで、徐々に他の学生らとの交流を楽しみ、先述のような企画を自らするようになり、結果的にかけがえのない思い出とネットワークを得ることができました。

ハウスメイトと

そこで今回は、私がオックスフォード到着直後に泥棒と間違われた話や、最初は尻込みしていたコミュニティへ徐々に参画し、気づけば学生組織の中核メンバーの一人として様々なイベントを企画運営した話など、オックスフォードが誇るカレッジ生活をご紹介していきます。(なお、よくオックスフォードのライバル的存在として知られるケンブリッジ大学にも同様のカレッジシステムがありますが、

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