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#5 マラソンと男の約束

みなさんは何かスポーツをなさっていますか?僕はマラソンをしています。純粋に体力作りや健康のために走る人もいれば、日頃の成果を出そうと大会に出る人もいますね。僕は走ることそのものよりも、マラソン大会であちらこちらへ「遠征」するのがマラソンの楽しみです。ゴール後にご当地グルメ、ご当地ビールを楽しむのが醍醐味ですね。今日はそんなマラソンを「男の約束」と解きます。その心は?


マラソンを始めたのは2017年、茨城県つくば市で開かれる「つくばマラソン」に出よう思ったのが最初でした。いきなりフルマラソンは無理なので、10km の部に出ることにして、通勤途中にあるジムで練習を始めました。どうにか 5km を 25分で走れるようになり、10km を1時間以内で走る目処がついたので、意気揚々とエントリーしました。当日は 50分5秒でゴール、応援に来てくれた妻と2人でつくば市内の居酒屋で打ち上げをしました。

居酒屋ではカウンターに座っていたのですが、隣の親子もマラソンを走ったようで、「今日のレースは……」と会話が聞こえてきます。帰り際に思い切って声をかけました。

 僕:「今日のマラソンに出られたんですか?」
相手:「出ました。そちらもですか?お互い話聞こえてましたね(笑)」
    〜しばし歓談〜
相手:「来年も出ましょう。来年は息子も出ます」
 僕:「いいですね、じゃあ来年は僕もフルマラソン走ります」
相手:「ゴールしたらこの店で再会しましょう。この店5時からだから、
   来年のつくばマラソンの日に、この店で5時に」
 僕:「楽しみにしています。ササキと申します」
相手:「Sと申します。ではまた来年!」

交わした会話はこれだけで、連絡先を交換することもなく別れました。日程も未定で、約束は「来年のつくばマラソンの日に、この店で午後5時に」だけでした。


時は流れて翌年、ハーフマラソンと 30km レースも完走して、初フルマラソンとして2018年のつくばマラソンを迎えました。しかし、いわゆる「30km の壁」に阻まれ、最後の3分の1はほとんど歩いてしまいました。それでも左膝が痛くて動かなくなる中、「Sさんとの約束を果たさないと」と最後は走ってゴール。5時間43分というさんざんな記録でした。

さて、約束の居酒屋に5時過ぎに入りました。あれから1年、Sさんは約束を覚えているだろうか?それに店内のどこにいるか分からない……店員さんに聞きます。

   僕:「すみません、待ち合わせなのですが、Sさんって来てますか?」
  店員:「はいはい、いらしてますよ。こちらです」
   〜Sさんは電話中のようだったので、息子さんに声をかける〜
   僕:「Sさん、ササキです。お久しぶりです」
息子さん:「あっササキさん。お父さん、ササキさん来たよ!」
 Sさん:「ササキさんに会えてよかった。嬉しいわあ〜男の約束を果たさんと
      いかんと思って、フル完走しました。ササキさんも走った?」
   僕:「初フルマラソン完走しました!」(かなり歩いたが)

Sさんとはこうして無事再会を果たし、4人席に移動して、あらためて全員の自己紹介をしました。Sさんは小学校の校長先生をなさっていて、僕も昔教員だったので、いろいろと話が合いました。「縁がつながったのだから、これからのために」と話して連絡先を交換し、それ以降ずっと、お互いが出たマラソンの結果を報告し合いながら交流を続けています。

Sさんから学んだ大切なこと、小学校の校長先生をなさっていることからいつも心がけていらっしゃることなのでしょうが、それは「気持ちをはっきり言葉にすること」でした。言葉にしなくても伝わることもありますが、言葉にしないと伝わらないことの方がずっと多いと思います。

「ササキさんに会えてよかった。嬉しいわあ〜」と満面の笑顔で大きな声で言ってくれたからこそ、今でもあの時の喜びが戻ってきます。僕も、誰かに会って嬉しい時は「会えて嬉しい!」と遠慮なくはっきり伝えようと思います。

今日もお読みくださって、ありがとうございました☕️
(2023年7月3日)


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