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「二日酔いと真実」について

その日はとても穏やかで
久々にバイトがなく
妹は部活へ
母は友人とランチへ
わたしはソファへ

自分で作った納豆パスタが絶品すぎて
開店できるわと想いました

「すばらしき世界」を観ました
(超個人的)役所広司ウィークの締めくくりで
うわぁ、最高だぁ
ってなって
そのままソファでナップ

遠くから音が聞こえる
聞き覚えあるなぁ
でもなんだろう
警報音?
胸がドキドキする
アルコール飲んだっけ?

飛び起きる
会社から着信
なぜ!?

遠藤さん(仮)
「お疲れ様です。今日出席で間違い無いですよね?」
わたし
「?出席っていうのは……」
遠藤さん
「今日懇親会ですが……」
わたし
「懇親会……」

時計を見ると
長い針が12
短い針が4を指していました
ということは16:00
今日は1/30
???

わたし
「懇親会って明日ですよね?」
遠藤さん
「今日ですね(笑)」
わたし
「今日?今日ですか!?」
遠藤さん
「今日ですね(笑笑)」
わたし
「本当に申し訳ないですが、明日と勘違いしていました!ご連絡までいただいて本当に申し訳ないです!!」
遠藤さん
「そうだったんですね(笑)。かしこまりました。もし今日お時間あるようでしたら、遅れてでも構いませんのでお越しください。慌てなくて大丈夫ですからね(笑)」

時計を見る
長い針が12から18°傾いていました

わたし
「はい!すぐ向かいます!
ご連絡くださり本当にありがとうございます!それでは後ほど。はい。失礼致します!」

……

いやぁまじかぁ
やらかしちゃったぁ
でも過ぎたこと気にしてもなぁ
今は入社する前だったことに感謝しよう
うん

ソファから立ち上がり
一階へ向かう
日が当たらないので床が氷の世界
寝巻きから着替え
化粧をするため洗面所へ
遅れているのでそこそこ急ぐ
そんな頭の中でも
井上陽水の「Make-up Shadow」が流れる
ちなみにヨルシカcover
この曲カバーできるの本当に天才だと思う
サビから半音下がる感じが良い意味で非常に歌いにくい
まぁ
アイシャドウ青じゃないけど

コートを着て
鞄に
鍵や
Suicaや
ハンカチや
リップや
鏡を
それぞれ決まった場所に入れる
文庫本を一冊手に持って外へ出ました

電車に乗り
乗り換えのためホームを移動する
乗り換えた先の電車が遅延していたので
本を開いた

時間に追われて行動したくないので
この状況が若干不快
自分が先回りして行動するのは好きなのに
とか想いながら読む「壁」
S・カルマ氏の心は空っぽでも
わたしは胸いっぱいでした

会社に到着
部屋に入りながら人事の方に謝罪
テーブルにはインターンで見慣れた顔と見慣れない顔
見慣れた顔の男に
「名前あるのに来ないからどうしたのかと思った」
と言われる
いっそわたしも名前を失くせば良かったよとツッコミたい気持ちを抑え
「寝坊しちゃった(笑)」と答えました

会は滞りなく進行し
一個上と二個上の先輩を交えた宴会は
緩やかにアルコールを孕んでいきました
同期の中には溺れている人もいて
大変やなぁと思いました
幸いわたしは
人がいる場では酔えないので
350mL缶を三本開け
寿司を頬張っておりました

会が終わり
まだ飲み足りない同期4人で上野へ
わたしの第二の故郷は平日にも関わらず賑やかでした
飲みながら就活の話や今日会った同期の話がテーブルを回した
わたしも話を聞きながら
笑ったり
相槌を打ったり
時には突っ込んだりして
なかなか粋な時間を過ごせました
その間にビールジョッキ一杯
ハイボールメガジョッキ二杯か三杯を開け
箸が転がるだけで笑っていました

お開きになり
電車で同期と別れたとき
急にアルコールがわたしを襲いました
首が座っていない赤ちゃんの気分を久々に体験し
広告があちこち飛び回っていました
白熱灯がギラギラで
アナウンスが不協和音を奏でる
人の匂いと音に吐き気が混ざり
最高にキマってました
それでも
行かなくちゃ君に会いに行かなくちゃ並みに家に帰らないといけないと思いました

すると隣の男が
「大丈夫ですか?気持ち悪いですか?」
と話しかけてきました
わたしは失礼ながら
なんだコイツと思いましたが
「ちょっと気分悪いですけど、あと15分もしたら着くので」
と答えました
男は
「でもだいぶ顔色悪いですよ?良かったら次の高輪ゲートウェイで降りて、一回吐いちゃいましょう」
と言い
わたしは肩を持たれて電車を降りました

結局駅のトイレで思うように吐けず
ある程度落ち着いてからトイレを出ました
男は
「今タクシー呼んだので、乗って帰ってください。多分また電車乗ったら気持ち悪くなりますよね。」
なんて優しいんだと思いましたが、自分にはそんなお金ないので丁重にお断りしました
まだ終電も残っていたし
すると男は
「電車で吐いちゃう方がまずいですよ。最寄り駅はどこですか?」
蒲田であると答えると
「僕も一緒ですよ!僕も疲れちゃったので一緒にタクシーで帰りましょう。相乗りだったら安いし」
とタイミングよく現れたタクシーに乗り込みました

夜景がぐるぐる回る蝿のようで
水中にいるように声がくぐもって聞こえました
男はもうすぐですからねと繰り返し声をかけてくれたように感じましたが
正直あまり覚えていません
タクシー独特の香りや
目の前を高速で過ぎ去る街灯が曲がって見えて
メリゴーランドみたい
口の中でが胃液やアルコールでごった返してスクランブル交差点
そういえばいつかみた「ナイアド」はよかった
泳ぎ始めて24時間ほど経つと
タージマハルに案内されるらしい
コーヒー・モカ・マタリかよ

気づくとお会計が済み
結局タクシー代を1円も払わず蒲田の夜空を歩いていました
男とは途中で別れ
橋の真ん中まで来ました
フラつく足になんとか力を込めていたので
一回休憩しようと橋に寄っ掛かると
急に気持ちよくなって
川に向かって吐きました
いつも通学で渡っている橋で
謎の生態系を確立していたので
これを機に新しい進化を遂げてほしいと思っていると
わたしの無様な姿を見かねて
女が大丈夫ですかと水を手渡してくれました
大丈夫ですと答えて歩き出すと
女が家まで肩を支えてくれました

ここまでで2人の蒲田人に助けてもらいました
蒲田はいいところですね

家に着くと
とにかく化粧を落とす使命感に駆られ
風呂に直行しました
化粧を落としながらゆらゆら
体を洗いながらゆらゆら
ずっとひとしきり揺れて湯船に浸かると
何回かトリップできました
2匹の豹とコーヒー
氷の世界と夢の中へ

頑張って寝巻きに着替え
湯たんぽを入れようと思いましたが
火事になったら困るし
アルコールで体が温かく
熱があるようだったので諦めました
布団に入いると
呼吸をするように眠りにつきました

朝3時
なぜか目が覚めて寝つけません
体が乗っ取られたようでしたが
自分の意思で体が動かせたので乗っ取られているようではありませんでした
試しにあーって言ったら
3畳に寂しく響き
キーンと鳴って静かになりました
まだ酔ってるわと思い
目を閉じました

夢では井上陽水と井上陽水に似た大学の教授が肩を組んでラクダに乗ろうとしてる夢を見ました

朝8時
どんなに呑んでもこの時間には起きてしまうわたしの体は
異常なのか正常なのか疑問に思いました
起き上がるとなんとなく胃がムカムカしました
これがあの有名な二日酔いかと思い
人生初二日酔いを体験しました

長々と書きましたが
飲み過ぎたよって話です

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