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NVCとVulnerbility(もろさ)

NVC(非暴力コミュニケーション)は日本でも注目され、企業の中でもトレーニングを行うところもあるという。
私のNVCとの出会いは、ウクライナ・ロシア間で戦争が起こり、日本に緊急帰国した1年前。本好きな父の書籍に「わかり合えないを超える」というワードを見つけてからだった。

実際の戦禍の現場に踏み入れたこともない私は戦争被害者でもなんでもないと思っていた。でも周囲にいたロシアの人たちの悲痛な叫びを聞きながら、自分はのうのうと帰る場所があるということ。その他自分の活動の中で起きた些細なことなど、実は心の底から色んなことで傷ついていたのだと思う。

手に取ったその書籍を読み進めていくうちに自分の何かが癒やされていく感覚があった。8000年前以上から私たちは「良い母親であれ」「組織に忠誠であれ」と言った倫理観を教育の力も借りながら刷り込まれてきたらしい。自責傾向の強い私は全ての事象は私が起こしている結果だと思ってきた。セルフ・コンパッションが大事だと頭でわかっていてもなかなかできない状況だった。

NVCはマーシャル・ローゼンバーグによって創始され、「観察・感情・ニーズ・リクエスト」というシンプルな構成で「わかり合えないを超えていく」技術だ。

まず状況・事実を確認する。戦争が起きている。目の前で兄弟喧嘩している。クライアントが自分が思っていたよりも低評価でアンケートをつけていた。
そこにはどんな感情が起きているか。悲しい。ゾワゾワする。無力感を感じる。自分への失望感など。
そしてニーズ。心の平和。安寧。安心。貢献感。心のつながり。
最後にリクエスト。私の願いを聞き入れて欲しい。双方が納得する着地点を一緒に探したい。より良い関係に向けて協働したい。

誰でもできるシンプルな印象があるが、実践となるとあれこれハードルがあり、知れば知るほどその深淵を知ることになる。

3分でわかるNVCの動画としてコチラをお勧めしたい。公認トレーナーの今井麻希子さんもプログラムの中で紹介されていた。

コチラのYoram氏が代表を務める「Connecting2Life」がアムステルダムが拠点だということを先日知り、Basicコースを受講している。オランダでは教育現場にも導入されている事例が多い。私が受講しているクラスでも教育関係者の人が多い印象だった。

セミナー講師って、どんなイメージ?

受講してみて、一番衝撃だったのはリードをしてくれる講師の方のテンションだった。
私の勝手なセミナー講師(しかも外国人)のイメージはこんな感じ。

「ハーイ!元気?!私生きてるー!」  ※イメージです

でも実際はこんな感じ。

「ど、どうも、何か聞きたいことある…?」※あくまでイメージです

Vulnerability(もろさ)という言葉がある。
NVCでは、自分の中の弱さも含めて自分である、Authenticity(ありのまま)を大事にする考え方がある中で、まさに講師の存在はもろさそのものを体現していた。

我々日本人にも謙虚さを重んじる文化からすると、彼女の在り方は好意的に映ることもあるだろう。でも、一方でゴレンジャーも仮面ライダーも、燃える塾講師も、「カリスマ性」や「強さ」を求める文化側面もあって、私のファーストインプレッションは「ありえない!!!」だった。

でもそれが、世界シャイ度ランキング(?)中No.1の国の中でもシャイ度No.1の私が、静かに流れる空気の中で、口火を切ってしまう事態となった。

殊にオンラインミーティングでは、「発言する」ということが場への最大の貢献になる。彼女が脆さを体現してくれることによって、みんなが支える空気感になる。その後もレコーディング忘れてたらみんな教えてね、という発言があり実際受講者がリマインドしていた。

ただそこにいる、その場にいるだけでよしとし、存在を受け入れる、という関係は現実世界では起こりにくい。だからサードプレイスという存在が大事だということで先日出した書籍がある。

ただ私の中で感じていた憤りは何なのか。
私は「自分らしくありのままである」ことが大切だ、と思っていても、特定の特にビジネスの場では「ありのままなんてありえない!」と思っているからだ。

貢献できないものは排除、集団に価値がないものは排除。
従来の進化論の考え方であればそうやって私たちは生き残ってきたと思われていたが、最近の研究では全ての生物が網の目のように関わりあう中で、絶えざる環境変化に適応しながら共生することが命をつなぐヒントではないかということが見えてきた。

強者の理論をアンラーニングしていくことは、弱者の傷の舐め合いでもなく、私たちみんながウェルビーイングに生きていく術であることを心から信じていくこと。

最近自分のとの対話で、「自分はアリのようにすぐに潰される存在だ。」と呟いたら、「アリの力を知らないんだね」と帰ってきた。
おおぅ。

ありのままで〜生きていくのよ。


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