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本当に大切なこと

サティの親友のミーコは
生まれつき身体が弱く
ひどい喘息で入退院を繰り返し
出会った小学5年生の時も
学校に半分位しか来てなかった。
たまに学校に現れては
大人びた理路整然とした口振りで
教師や頭のいい優等生達を
圧倒的言語で言い負かしていた。
彼女の両親は日本舞踊の家元で
彼女はとても裕福な暮らしをしていた。
著名な落語家や
映画やテレビなどで活躍する俳優達も
ミーコの家によく訪れていた。
小さい頃から大人の中で
チヤホヤされてきたせいで
大人を負かす生意気な口と
多忙な親元での寂しさから
自立心を自然と身につけたのだろう。

どこか似た者同士のサティとミーコは
引き寄せられるように仲良くなった。

そしていつしか共に大人になり
今でも月に2、3回は会う。
それぞれ日頃感じる様々な事を
持ち寄り大いに語り合う。


サティは性善説で
ミーコは性悪説
サティは母性愛で
ミーコは父性愛
語り合う度そう感じる。


宗教の話をすると
必ず意見が対立する。
サティは神や仏を求め
ミーコは神や仏などいないと言う。

『ミーコは何度も死にかけて
生死の淵をさまよう
様々な不思議体験をしているのに
どうして神も仏もいないだなんて
思うんだろう。。』
そう言うと
ミーコはふと思い付いたかのように
面白い話をしてくれた。


集中治療室で半年間
昏睡状態の時
死んだ両親と再会した。
二人は並んでミーコを見つめ
無言のテレパシーで
まだこちらに来てはダメだと
伝えてきた。
そしてその後奇跡の生還を果たし
ベッドで目が覚めた時
『息をしているだけで有り難い』
『音を聴けるだけで有り難い』
『ここに生きているだけで有り難い』
『何もかもが有り難い』
心からそう感じたらしいのだ。


でも不思議とその素晴らしい気持ちは
日が経つにつれて薄れ消えてゆき
あれほど感じた有り難さを
喉元過ぎればすっかり忘れてしまう。

そして今やあれこれ不平不満を宣う
自分のこの有り様。
人間っちゃろくなもんじゃない。
締めてかからなくちゃ
何をしでかすか分からない。
自分さえ良ければの一辺倒。
欲望にまみれたエゴの塊。
自分を見てたらよく分かる。
そのろくでなし加減がよく分かる。
ミーコはレモンティーをストローで啜りながら
ため息まじりにそう言った。


本当に大切なこと

それを人は時々垣間見る。


ああ有り難い
ありがとう。
全て与えられ
全て整っている。
ああ有り難い
感謝します。
生かして頂いて
ありがとうございます。


そんな気持ちはどこへやら?

あの感動はどこへやら?


人はたいがいほとんどの日々を
その有り難さを忘れて生きている。


その深さに度合いはあるだろうが
日常のふとした瞬間にも
その気づきは転がっている。

言葉に出来ない感動
心から自然と
感謝の気持ちが湧いてくる瞬間。


その気持ちを忘れずに
留めて置くことは
できないのだろうか。。


きっと人は生まれて来る時
生まれるだけで有り難い
そう思っていたのかもしれない。

オギャーと泣くだけで
息が吸えただけで
周りの人々に守られ
生かされているだけで
ああ有り難い有り難い
ありがとうありがとう
そう思っていたのかもしれない。
だから赤ちゃんはあんなにも
光輝いているのかも。。

今が在ることの不思議さ

大切なことはみんな同じ

ミーコとサティもきっと同じ


諸行無常の響きある
そんな人生の旅の中で
初心忘れるべからず
人は本当に大切なことを
時折思い出す。


ミーコは父性で性悪説
サティは母性で性善説


生き方考え方価値観や人生観は
それぞれ微妙に違うけど
いつも本当に大切なことを
お互い探し求めてる。
時に何気ない対話の中で
ふとそれが見えて来る。
一人で思いあぐねているうちは
辿り着けなかった
忘れていた
素敵な気持ち。


いつもそうやって語り合える
それぞれの見解を語り合える
そんな友と語り合う時間が
サティはとても大好きなんだ。







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最後まで読んでくれてありがとう(*^^*)♪

またサティに会いに来てねー(^з^)~.:*:・'°☆



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