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富樫倫太郎著『北条氏康』【なんちゃって感想文📕】

(1300文字)

富樫倫太郎さんの『北条氏康 二世継承編』を読んだので、好きなところだけ語ります。

ストーリー

タイトルの通り、戦国時代の武将・北条氏康を主人公とした時代小説です。
具体的には、氏康の幼少期から始まり、初陣である小沢原の戦いまでが描かれています!

主人公は北条氏康ですが、二世継承編という題の通り、父・氏綱から氏康に家督が渡るまでの物語なので、氏綱も主人公だと言えるかもしれません。

何も調べずに図書館で借りてしまいましたが、シリーズものだったようで、『北条早雲』を先に読むと話が繋がって分かりやすいようです。
しかしこの話からでも十分楽しめました。

また、戦国時代初期の雰囲気を味わいたい!
という気持ちだけで読んだので、北条家については全く知識がなく、知っているのは北条早雲と北条氏政くらいです。

よかったところ

北条家が舞台ということで、忍者として知られている風魔小太郎が出てきます。

この小太郎、作中では北条家の軍配者であり、足利学校の出身という設定なんですね。

足利学校といえば武田信玄が新しく軍師を採用する際に、

「条件の1つは、足利学校出身であること」

と、現代で言う学歴フィルターをかけるくらい当時は最先端を行く優秀な学校。

小太郎は卒業後に北条家に仕えるので、学校のシーンはないものの、足利学校で繋がった人物が多数出てきます。

というか関東地方の軍配者はだいたい足利学校の卒業生ですね。

ですので小太郎は、相手の軍配者を頭に入れておき、

「あの人ならこういう策に乗るだろうな」
「あの先輩がこんな無謀な策を実行するはずがない。となると、別の人物が敵の首領に何か吹き込んでいるのか?」

と、敵方の考え方まで推測するのです。

同じく足利学校で学んだ山本勘助が、作中でこのようなことを言っています。

どこの国にも軍配者がいて、大抵は足利学校か京の五山で学んだ者たちだ。その連中が律儀に手紙を送ってくるわけだ。国同士が戦をしても、その戦を指図する軍配者同士が知り合いだったり、先輩後輩の間柄だったりということも珍しくない。こっそり打ち合わせをして、適当なところで戦を終わらせたりもするらしい。どちらかの国が負ければ、その国の軍配者は禄を失ってしまうからな。決着が付かないように、適当にやり合うのがどちらにとっても都合がいいわけだ。

『北条氏康 二世継承編』p126


史実かどうかは別として、北条氏綱・氏康たちとは違った攻防戦を、軍配者たちがそれぞれで繰り広げているところが面白かったです。

主人公は氏康なので小太郎たちのシーンが細かく書かれているわけではありませんが、たまに入る軍配者たちの状況を俯瞰した会話が、たとえ同じ戦でも、読者に新しいものの見方を教えてくれるようでした。

あとがき

カフェでブックカバーなどをせずにこの本を読んでいたせいか、お会計の時に店員さんから「最初に真の戦国大名になった人物は、自分は北条氏康だと思います」と、一言でしたが突然熱い気持ちを打ち明けられ、氏康の人気を実感しました。(本当にびっくりした・・・)

氏綱などはまだまだ守護大名だ、ということを伝えたかったのでしょうか?

また紹介したい本があれば、気楽に書いてみたいと思います📕


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