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【9月3日から】渋谷区立松濤美術館のやばい展覧会『装いの力―異性装の日本史』


こんにちは、宮寺理美です。
先日、すっっっごく気になる展覧会の情報を目にして、
居てもたってもいられずに取材を申し込んだら、
なんと快くご許可をいただきました
という事で今回は、
私が大注目している、秋の展覧会をご紹介させていただきます。


①篠山紀信 《森村泰昌 『デジャ=ヴュ』の眼》 1990年 作家蔵

篠山紀信 《森村泰昌 『デジャ=ヴュ』の眼》 1990年 作家蔵

今回、渋谷区立松濤美術館で開催される展覧会
装いの力―異性装の日本史
では、異性装の歴史を追いながら、その核心に迫ります。
渋谷区立松濤美術館のHPでは、異性装をこのように紹介なさっています。

男性か女性か—人間を2つの性別によって区分する考え方は、私たちの中に深く根付いています。しかしながら、人々はこの性の境界を、身にまとう衣服によって越える試みをしばしば行って きました。
社会的・文化的な性別を区分するための記号である衣服をもって、生物学的に与えられた性とは異なる性となるのです。
もちろん、異性装を実践した人物の性自認や性的指向は非常に多様なものであり、それらが異性装とともに必ずしも変化するということはありません。

男らしさ、女らしさとは何なのか。
日本における異性装の系譜の一端を辿ることで、それらがどのように表現されてきたのかということを探り、「異性装」という営みの「これまで」と「これから」について考えます。
                 (渋谷区立松濤美術館HPより一部抜粋)


展覧会は8章で展開されていきます。

1章 日本のいにしえの異性装
2章 戦う女性-女武者
3章 美しい男性-若衆
4章 江戸の異性装-歌舞伎
5章 江戸の異性装 物語の登場人物・祭礼
6章 近代における異性装
7章 現代における異性装
8章 現代から未来へと続く異性装


まるで物語のような構成…!
8章では、ドラァグクイーンをフューチャーしたダンスパーティ
“DIAMONDS ARE FOREVER”メンバーによる、
本展のためのインスタレーションも展開するのだとか。
とても楽しみです!


② 三代・山川永徳斎 《日本武尊》昭和時代初期(20世紀)個人蔵

三代・山川永徳斎 《日本武尊》昭和時代初期(20世紀)個人蔵

⑦《阿国歌舞伎草紙》(部分)桃山時代(17世紀初期)重要美術品 大和文華館 【前期展示】

《阿国歌舞伎草紙》(部分)
桃山時代(17世紀初期)重要美術品 大和文華館 【前期展示】


ヤマトタケル、出雲阿国…
日本古来の物語や芸能の世界では、異性装は当たり前のように登場しますが、
今まで目にしていたものの中には、「異性装」という着眼点で紹介されたものは無かったように思います。
本展覧会では、女装の稚児など、実社会における異性装も紹介されます。


⑧落合芳幾(画)《東京日々新聞 969号 》 明治8(1875)年 3月 東京都江戸東京博物館 【前期展示】

落合芳幾(画)《東京日々新聞 969号 》 明治8(1875)年 3月
東京都江戸東京博物館 【前期展示】



明治時代の「近代化」は、実社会に色々な変化をもらたしました。
服飾文化でよく紹介されるのは、明治元年~4年くらいに施行された裸体禁止令ですが、
異性装も法令で禁止され、1880年に法令がなくなった後もその影響は消えなかったそうです。
しかし、そんな中でも異性装の芸能などは人気を集めていたようです。


⑩濱谷 浩《東京浅草 国際劇場 男装の麗人ターキー リハーサルの夜》1938年 東京都写真美術館

濱谷 浩《東京浅草 国際劇場 男装の麗人ターキー リハーサルの夜》
1938年 東京都写真美術館


「ターキー」の愛称で親しまれた水の江瀧子は、1928年に東京松竹楽劇部(松竹歌劇団)に入団し、日本の女性歌劇初の「男装の麗人」として活躍しました。
その人気は本当に凄まじかったようで、当時の女性誌にもよく登場します。



⑪森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》 1996年 作家蔵(豊田市美術館寄託)

森村泰昌《光るセルフポートレイト(女優)/白いマリリン》1996年
作家蔵(豊田市美術館寄託)

⑫シモーヌ深雪&D.K.ウラヂ《DIAMONDS ARE FOREVER ROYALWIG》 2018年 DIAMONDS ARE FOREVER

シモーヌ深雪&D.K.ウラヂ《DIAMONDS ARE FOREVER ROYAL WIG》2018年
DIAMONDS ARE FOREVER



8章では、異性装を通して、ジェンダーやセクシュアリティに関する諸問題を、現代の美術表現の視点から考察していきます。

近年では、人間に固定の性別はなく、従って「男性/女性」という二者択一の規定を取り払い、多様な性のあり方について理解し、認め合うという動きがでてきたものの、実際には性別における二項対立の構図はいまだに様々な場面で目にするものでしょう。
男らしさ、女らしさとは何なのか。日本における異性装の系譜の一端を辿ることで、それらがどのように表現されてきたのかということを探り、「異性装」という営みの「これまで」と「これから」について考えます。
                 (渋谷区立松濤美術館HPより一部抜粋)


私は、HPのこの文章を読んだとき、
2020年に書いたこちらの記事のことを思い出しました。


着物の表現のコードの中に「男らしさ」「女らしさ」が組み込まれているのを感じることが多かったので、
異性装という今回テーマや、タイトルを見た時からとても気になっていましたが、
展示のご案内を読ませていただき、ますます期待が高まりました。



開催地は渋谷区立松濤美術館です。


白井 晟一(しらい せいいち)氏設計の美術館で、
入り口はまるで秘密の隠れ家のようなのに、
入館すると大きな吹き抜けと神秘的なブリッジがあります。
採光も美しく、大好きな美術館のひとつです。



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装いの力─異性装の日本史
2022年9月3日(土)~2022年10月30日(日)
※会期中、一部展示替えがあります
●前期:9月3日(土)~10月2日(日)
●後期:10月4日(火)~10月30日(日)

【会 場】渋谷区立松濤美術館
【住 所】東京都渋谷区松濤2-14-14
【開館時間】10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※いずれも入館は閉館30分前まで
【休館日】月曜日(9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)
     9月20日(火)、10月11日(火)
【観覧料】一般 1,000円(800円)、大学生 800円(640円)
     高校生・60歳以上 500円(400円)、小中学生 100円(80円)
※その他割引はHPでご確認ください。
※土・日曜日・祝休日、会期最終週は日時指定予約制です。
美術館HPより日時指定予約をお願いいいたします。

展示の詳細はこちら、アクセスはこちらをご覧ください。