「殺人の薬」(ショートショート)
「よし、もうすぐ完成だ」S氏はそう意気込んだ。ここはとある国家機密レベルの薬の研究所いや、世界機密というのがただしいだろうか。そこでS氏はとある薬の研究をしていた。
事の始まりは6年前、地球では前々から懸念されていた人口爆発が起き、人口は300億人にまで到達した。人々の暮らしは人口が増えた分、食料や水に困るようになっていき、やがてそれらをめぐっての争いもたびたび発生するようになっていた。
そんな中、突如地球で謎の病気が流行し、各国の政府は外出禁止やS氏の薬による治療を試みたがその全てがことごとく失敗。患者の数は日を追うごとに増え続け、およそ50億人もの人々が命を落とした。S氏はこの結果に肩を落とした。
今日ついにS氏の薬は完成し、彼は全世界に向けてその薬を発表した。
それから1年後、薬は見事流通した。
世界の人口は瞬く間に減少していき、やがて76億人となった。
それからしばらくの間は食料をめぐっての争いもなく、「平和」が訪れた。
S氏は言った「よし」
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