脱獄犯

躊躇ったジェイルバード
それでも前だけ見つめて
逃げるには十分な青い羽根

破った檻の崇高さも
後ろ指さされる悲しさも
指を鳴らせば爆発しそうな
この喜びに比べたら

彼は本日、青を捨てる

生まれ持った色を
悲しみで濃くするなら
いっそ捨てて仕舞えよと
投げやりな言葉に解かれたまじない

そう、もう、笑うより道は無い

無題

どんなあなたも補完したくて
あの冬あたしは形を無くした

奪われたのはあなたじゃなくて
あたしの胸に咲いたもの

また誰のものでもなくなって
あなたはそのことに耐えられない

弱い人
こっちへおいで

あたしの味を試してみれば
あなたは大人になれるかも

甘い人
こっちへおいで

跪いて見つめれば
あたしは形を変えるかも

私の夜では
眠り姫は目覚めないし
白鳥の湖は枯れてしまう
王子様は逃げ出して
物語は殺伐

Thank god it's fantasy.

朝が来れば
忘れたことも忘れて
またはじめればいいの
どんなに悲しくても

この世界は私のもの

無題

昔あなたのために描いた
まさかお忘れじゃないでしょう
引っ掛けた親指が凍りついた
もしもその目が私を捉えても

忘れたわけじゃない
慰め合った日々と罪と
振り返れば変わらずに雨の降る
繰り返した戯言と罪と
失くした微笑みと罪と

縋ってもいつかは
誰もが大人になる
いつかはここも忘れられて朽ちる
タイムカプセルでも埋めて
死ぬまで忘れてしまえばいい

どうしよう
宙ぶらりんのあたし
とりあえず爪を
桜色にはしたけど

どうしよう
あたしの世界の果てのあなた
煙草のけむりも
届かない

I'm ready to be yours, why not

無題

本当の最後はいつになったら来るの
非道いあたしだから言える
折れたページを見詰めもせずに

新しいことを知るのに
何も捨てないなんて許されそうもないでしょ
本当はもうあきらめてる
あなたのこと

口は出さないで
また訪れる春に
そろそろあなたを許したくて
もう子供じゃないから
今ならあなたを叱りつけることもできるだろう