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コロナ禍4年間に温もりを感じながら瞬間を切り取った風景写真展「nukumori」

佐藤尚写真展「nukumori」は、決めたテーマに基づいて写してきたものではなく、これまで撮影してきたものからテーマをつむぎ出しての発表です。
撮影や発表には様々なアプローチがあると思うのですが、2022年末の、あるフォトコンテストの表彰式で、写真家の今森光彦さんの言葉に触れて、「撮影したものを脱ぎ捨てるように発表する」という一つの発表スタイルがあることを知り感銘を受けました。そこで、コロナ禍の中での撮影に終止符を打とうと考え、まず、会場を決めて申し込んでから写真展に向けて前に進むことにしました。それと、今年は還暦。区切りの時にことを成し遂げられたらいいなと思ったのでした。写真展最終日が61歳の誕生日なのです。

写真家の小澤太一さんは「あてのないたび」で全国47都道府県を巡った写真を発表し、萩原れいこさんは「地獄」で心象風景を発表しました。2022年でした。お2人とも、コロナ禍の中での制約に直面しながら作品を制作していたように感じました。私が写真展をやりたいと思ったのはそのお2人の影響も受けてのこともあります。私らしく今しかできない発表はなんだろう。
こだわりある「47都道府県」への取り組みか(46都道府県撮影したし)、それともコロナ禍で培った「スナップネイチャー」か(撮影技術向上で表現が増えたし)、どちらを選んで発表するか迷いました。
で・・・、写真展テーマを決定するまで時間があると思って考えていたら、あっという間に月日が過ぎ、タイトルが決まるまで3か月もかかりました。周りに相談するようにしていたのですが、決まるまでは、仲間たちと一緒に写真展を作り上げる感じがしててその時は楽しかったです。

コロナ禍中には、近所で散歩をしながら写真を撮り、法を守りながら旅をして写真を撮っていました。散歩で出会う方とペコリお辞儀の挨拶はお互いが励まし合っているように感じられたし、旅先で出会う土地の人たちは以前から変わらず優しかったし、胸がドキュンとする瞬間をたくさん感じ取っていました。撮影場所は人ごみを避けることもあり、季節はピークからずらすこともしたりして、思いがけず出会う風景に喜びを感じていました。
私が旅をする目的は、温かい「人たちや風景」との出会いから生まれる心の温もりが好きだからです。

2023年の春にコロナ規制完全解除がされましたが、私は、撮影でまだ、コロナ前のようには人や風景に近づけていない感じがします。焦って近づこうともしていません。時々、ぐっと近づけた感じがする時は心がすごく喜んでいるのがわかります。ゆっくりでいい。47都道府県の笑顔を集める「47サトタビ」の撮影旅は、次の段階に進んでからやっていこうと思っています。

コロナ禍の期間、カメラを持ちながら近所の散歩し写真の楽しさを再認識しました。再び旅に出ることができるようになり、美しい風景や優しい人たちとの再会や新たな出会いに心が喜びました。

今回の写真展では、日本全国各地で撮影を続けてきた、その約4年間に温もりを感じながら瞬間を切り取った風景写真 約30点を展示せていただきます。

規制は辛かったもん。他人を責める声は嫌だったもん。温かい「人たちや風景」との出会いはどんなにうれしかったか。写真を通じて心に積まれたたくさんの感謝の気持ちを写真展に込めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。


▼佐藤尚写真展「nukumori」

期間 2024年1月16日(火)~21日(日)
時間 10-19時、最終日は17時まで
料金 無料
会場 ナインギャラリー
WEB https://ninegallery.com/

※初日、会場閉店後、写真展会場にて佐藤尚によるギャラリートークを開催します。事前申し込み500円
https://peatix.com/event/3789874/view

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