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土地に対する色眼鏡とラーメン屋の若大将/20221025

▼Abstract
ラーメン屋の若大将に憧れて地方での事業プレイヤーを志し、地方ベンチャーで揉まれて育ちながら、土地に対する色眼鏡がなくなった。

大井町駅のマクドナルドでコーヒーを飲んでいる。最近は仕事で出張が増えて、東京に来ることが多い。ふたりの娘たちを見てくれる妻と義母に感謝しかない。

今まであまり出張が多い仕事をして来なかったので、福岡を出ることは稀だ。

新卒の頃は、出張ともあれば、遠足前とまで言えば格好がわるいが、でもまぁ、それに近い気分の高揚はあって、出張の日を楽しみにもしたものだった。

学生の頃はもっとそうだった。品川駅近くの民家にAirbnbで泊まったりするだけで、なぜか楽しかった。

ただ今は、そういう高揚が戻ってこない。「慣れただけでしょう?」と言われればそれももっともではあるが、いかんせん、僕は慣れるほどに出張族でもないのだ。

東京には未だに慣れないし、出張にも未だ慣れていない。それでも朝のソーセージマフィンを頬張りながら何の感慨深さもないのは、たぶん、「土地に対する色眼鏡」というものが、おそらくもう崩壊したからだ。

土地に対する色眼鏡

学生の頃は、少なからず東京に対する憧れがあった。かっこいい、最先端の場所、みたいなイメージをもつほどには、鹿児島で剣道しながら育った薩摩っ子には東京は眩しく見えた。

ただ、新卒で宮崎の会社に就職した。理由は、地方のイケてるベンチャー企業を探していて、まさにその会社がピッタリだったからだ。東京の大手ブランドのECサイト制作やマーケティングのクライアントワークを肌で感じながら、「ITなら場所って関係ないんだ」を本気で実感できた。

実際に尊敬する経営者や営業マンやエンジニアにたくさん出会えた。地方の企業ならどこでもそうはならないと思う。宮崎という地方にいながら優秀なメンバーと働けるという面白さがあった。

もちろん東京の社員もいるので関わりもある。だけど、どう考えても、東京の人のほうが宮崎の人よりも優秀、とは思えなかった。土地の相関性を全く感じないのだ。

東京だから、地方だから、という一種の色眼鏡は、そんな環境のなかでなくなっていった。

どこにいようが、すごいやつはすごい。ヘボいやつはヘボい。どこにいってもピンキリである。要するにそういうことだ。

まあ、もちろん、母数とか傾向とかは土地の相関性は全然あると思うし、僕のいた会社が特殊ってのも大きいので、なんやかんや東京のほうが優秀な人が多いっていう反論は、そのまんま合意です。

ここで言いたいのは、そういう事実のみをすんなり受け入れるだけで、それ以上になにか色眼鏡をかけることがなくなった、という意味。要するに、土地に対する色眼鏡がなくなったのだ。


ラーメン屋の若大将

そのまえに一度話を戻すが、そもそもどうして地方のイケてるベンチャーを探していたのかという点。僕の原点にもなってくるのだけど、学生時代、大学近くの商店街の地域活性化に飛び込んで好き勝手やらせていただいたときに(今となっては恥ずかしいことばかりで申し訳ない)、商店街のみなさんが商工会議所に集まって委員会が開かれ、僕も恐れ多くもいっちょ前に参加していた。

僕が「おにぎり屋」とかいうわけのわからない企画書を意気揚々と提案してアハハな空気になったあと(当の本人は満足顔である)、とある元宿泊施設だった建物が今使われてなくって、リニューアルしてなにか使えないか?という話になった。

いろんな話が出るんだけども、まあみんな、好き勝手にあーだこーだ言うはいいのだが、話はなんにもまとまらない。そして当時の僕は、なぜ話がまとまらないのか、皆目検討もついていない。

そこで、手を上げたのが彼だった。商店街でどんどん人気を博している気鋭のラーメン屋の若大将だ。

「僕がやります」

その一言から具体的な話がとんとんと進みだした。知人の整骨院や美容室を呼んでみようとか、いろんなアイデアもしっかり収拾されていく。

「自分がやる覚悟」。これに尽きると知った。

おにぎり屋さんとかアホみたいな提案をしてた僕は、じゃあオマエが店舗出すんですかという話で、そんな覚悟はサラサラない。僕はコンサル気取りのアホンダラだなと恥ずかしくなった。

その瞬間から、僕は一生プレイヤーでありたいと強く思うようになった。あーだこーだ外野から言う人ではなくって、問題のど真ん中、震源地に立って戦う人でありたいと。

その後、その新しい施設案がどうなったのかは知らない。立ち上がったという話は聞かなかったから何かを理由に流れたのかもしれない。でも僕にとってそれは重要な経験だった。だからこそ、地方で事業をすすめるプレイヤーとして働きたい、と強く思うようになった。東京じゃなくて宮崎を選んだのは、きっと僕の脳裏にその若大将の影があったからだと思う。


まとめ

ラーメン屋の若大将に憧れて地方での事業プレイヤーを志し、地方ベンチャーで揉まれて育ちながら、土地に対する色眼鏡がなくなった。

とりとめもない、そんな話でした。わりといろんな色眼鏡が崩壊してきたなぁと最近思うので、また今度はちがう色眼鏡の話もしてみようと思う。







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