見出し画像

私の音楽作品

音楽大学で作曲を専門に勉強していましたので、オーケストラや室内楽などの作品の他、シンセサイザーを使用した楽曲や歌などの作品も作っています。
大学を卒業するとなかなか生音で演奏していただける機会が少ないのですが、昨今のDTM音源は驚くべき進化を遂げていて、BBC交響楽団の各楽器の音をそのままサンプリングしたものやフィジカルモデリング音源など登場し、私が大学生だった頃とはソフト・ハード共に雲泥の差があります。こうしたテクノロージーと、生音と使い分けながら制作を続けています。

使用機材はiMacでLogic Pro Xを使用しており、デフォルトの内蔵音源の他、主に以下のような音源を使用しています。

  • KORG Collection 4

  • EASTWEST:Symphonic Orchestra

  • Spitfire Audio:BBC Symphony Orchestra/Solo Cello/LABS

  • Native Instruments:Hammersmith Free

  • Boz Digital Labs:New York L 1926 Lite

  • Ample Sound:Ample Guitar M III

  • CASIO:GP-300

昔に作曲したものはソフトウェア音源というものが無かった時代ですので、Mac ClassicやG3でOPCODE社のVisionというシーケンサーを使って、M1、T3 EX、X5 DR、U-220、TG77などのハードウェア音源を鳴らしていました。残念ながら今は会社ごと無くなってしまいましたが、2MBのRAMで動いていたVisionは、今でも使い勝手の良いソフトだったと思っています。


《器楽作品》

プレトーク+語りと吹奏楽のための「播州織幻想〜或るのこぎり屋根工場の記憶」(2021)

西脇市吹奏楽団40周年記念委嘱作品として作曲させていただいた作品で、朗読の原稿も担当させていただきました。
私が住んでいる西脇・多可は、播州織の産地として栄えた地域です。吹奏楽と語りにより、播州織の特徴である機織りの音などを音楽で表現し、様々な人生を見守り続けてきた「のこぎり屋根」と呼ばれる織物工場の視点から、当時の女子工員や経営者などの心情をナレーションを交えた楽曲になっています。

2021年11月28日・オリナスホール(西脇市)にて
■作曲・台本:小椋 聡
■語り:衣川 心音
■指揮:衣川 正昭
■演奏:西脇市吹奏楽団


連禱 Litanie(1991)

カトリックの祈りのスタイルのひとつで、神父と祈祷者との祈りの応答の様をリタニといいます。この曲では、同じテーマが1曲を通して何度も形を変えて現れ、その音楽構造を祈りの形になぞらえて「連禱」というタイトルにしました。
パイプオルガンという楽器は、数千本のパイプを風の力によって音を鳴らす楽器です。そのパイプの組み合わせにより、様々な音色を作り出すことができます。オルガニストにとって、作曲家の要求する音を作り出すことも腕の見せ所のひとつで、大学時代に知り合ったオルガニストの妻が演奏してくれています。
同じテーマを繰り返す音楽表現のひとつとして、ジャン・アランやマルセル・デュプレなどのオルガニストが同名の作品を作曲しています。

■パイプオルガン:小椋(西馬) 朋子
 相愛大学:カール・シュッケ社製のパイプオルガン使用


詩曲 〜Poeme pour harpe seul(1994)

ハープは私が大好きな楽器のひとつですが、楽器の構造上演奏不可能な音階や和音があります。一方、足元にあるペダルによって各弦の音程を変えながら演奏をするのですが、隣り合った弦で同じ音を作ることなどができ、独特の響きを作り出すことができます。
この曲は最初「月と雫」というタイトルをつけていました。月夜に、青白く光る湖の水面に雫が落ち、静かに波紋が広がる様を描きました。それは自分の心の中を覗き込むことでもあります。静かに目を閉じて、自分の心の中に広がる喜びや悲しみ、嫉妬、恐れなどの感情がひき起こす波紋を聞いてみて下さい。

■ハープ:佐々木 冬彦


組曲「訪れるものは」(1990)

 学生の頃に書いたギターソロの組曲です。大谷定広氏は学生時代の同期ですが、現在スペインで活躍しているギタリストです。学生の頃から非常に繊細で美しい音色を出す演奏をしていました。
この曲は4つに分かれており、それぞれに心の中の変化を描いています。何という理由もなく、これから自分の身に起こる哀しい出来事を予感するときがあります。「ああ、やっぱり…」と思いながら諦めていくことは、自分自身の心の傷を少しでも少なくするための自己防衛本能かもしれません。愛する人を失うことや、恋人と別れることなど、自分の力ではどうすることもできない運命に対して、どのように折り合いをつけていけばいいのでしょうか。

■ギター:大谷 定広


交響詩「ヴィア・ドロロサ」(1993)

聖地エルサレムには、キリストが十字架を背負ってゴルゴタの丘まで歩いたと言われる「ヴィア・ドロロサ(悲しみの道)」があります。周知の通り、イエスはイスラエルの民を政治的に先導したということで裁判にかけられ、知事ピラトにより十字架上で処刑されました。
この作品は大学の卒業作品にあたります。当初は十字架の道行ということで、ヴィア・ドロロサの12の場面を組曲にして描こうと考えていましたが、時間の関係で1曲だけになってしまいました。
人間の罪を背負い、唾を吐きかけられ、罵声を浴びながら群集の中を歩くイエスの様を思い浮かべながら聞いてみて下さい。

■指揮:酒井 睦夫
■演奏:相愛オーケーストラ


Métaphore 〜2本のフルート、クラリネット、チェレスタとハープのための(1994)

メタファーとは、直訳すると隠喩という意味です。この場合は「何かを思い起こさせる」「暗示させる」という意味で使用しています。私の師である松村禎三氏は「作曲をするということは、自分の心の奥に手を突っ込み、そこから音をすくい取ってくる作業だ」ということを言われていました。
この作品の楽器編成は、自分の音を表現する上で核となるものです。持続する音のからみ合いと、静寂を切り裂くように響く和音の対比を感じ取って下さい。

■シンセサイザー:小椋 聡


オーケストラのための「De Profundis ~深き淵より~」(1996)

デ・プロフンディスとは、詩編第130篇の中の言葉で「主よ、わたしは深い淵からあなたに呼ばれる」という言葉からきています。
人間の心の中には、自分ですら気付かない深い闇があり、またその心の動きを自分では抑制することができない悲しい性を生まれ持っています。自分の心の中に、他者に対する怒りや妬みなどの感情を見い出したとき、その感情をコントロールすることができない自分に気付き、さらに苦しむことになります。私はクリスチャンではありませんが、人間が持って生まれた苦悩の呪縛から解放されようと、神を求めるのは自然なことであると思っています。
この作品は、今だオーケストラで演奏される機会を得ていませんので、ここではシンセサイザーでの演奏を収録しています。本来は、総勢100名ほどの大オーケストラ編成の作品です。


2つのサルモディ Deux Psalmodies pour Piano(2003)

サルモディとは、詩篇詠唱を意味しています。朗々と歌われるテーマの合間を、心の光と闇が揺れ動く様を描いた曲です。
パイプオルガンは記載してある楽譜の譜面通りに音が持続しますが、ピアノにはダンパーという機能がありますので、楽譜上では書いていない音の響きをどこまで持続させるように表記するのか…ということを考え始めると、なかなか答えが見つかりません。もっともポピュラーな楽器ですが、私にとってはもっとも書くのが困難な楽器です。

  • I. Prelude

  • II. Fugato

■ピアノ:村崎 愛


ピアノ連弾のための「蠢くものたち」(2022)

同名のシンセサイザーのために作った曲を、ピアノ連弾版にアレンジし直したものです。
シンセサイザー版「蠢くものたち」はこちら。



《舞台音楽》

現代舞踊作品「鴨山 KAMOYAMA 人麿伝説」(1996)

四方館という現代舞踊団とのコラボレーション作品です。歌人・柿本人麿が晩年島流しにあい、その流刑地から妻に宛てて書いた歌がモティーフになっていますが、その謎めいた生涯を8人の踊り手と、ソプラノ歌手1人で表現した舞台作品です。
音楽の構成は、基本的にオーケストラの編成で作曲していますが、本番はシンセサイザーでの演奏となりました。ビブラフォン、グロッケンシュピール、チェレスタ、ハープ、ピアノなどの打楽器、打弦楽器の音を随所に組み合わせて、揺れ動く光や空気、また人麿の心の内を表現してみました。

  • Prologue 流刑地の海

  • Scene1 人麿自傷歌

  • Scene2 荒ぶる魂

  • Scene3 依羅娘女歌二首

  • I. Tres lent

  • II. L'istesso tempo

  • Scene4 面影の雲

  • Scene5 丹比真人返歌

  • Epilogue 鎮魂譜

■構成/演出/振付:林田 鉄
■音楽(シンセサイザー):小椋 聡 ■歌:大森 千代美
■舞踏:林田 鉄/小嶺 由貴/沢谷 直子/末永 純子/阪田 安積/中西 千佳子/松川 純子/田村 香代子
■照明:新田 三郎
■美術:古賀 琢司
■音響:秘魔神
■衣装:藤本 千恵里


こどもミュージカル「まんげつのよるまでまちなさい」(1993)

ハニーダンスクラブと四方館の共同プロデュースで、マーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本をベースにした子供ミュージカルを制作しました。子供たちのダンスを、プロのダンサーや音楽家、朗読家がサポートし、クォリティの高い舞台作品となりました。
歌の部分は別の作曲家が作曲し、私は踊りの場面で使う音楽を担当しました。このCDでは、完全にシンセサイザーの電子音色のみで構成されていますが、本番の歌の部分では、ソプラノとソロ・バイオリンを加えた編成で上演しました。

  • プロローグ

  • 森の精霊たちの踊り

  • 母のうた(夜と月の歌)

  • 母のうた(夜の色)

  • 内なる時と外なる時

  • 満月のよるの祭り

  • エピローグ

■シンセサイザー:小椋 聡


朗読「星空のシロ」(2001)

井上夕香さん著、葉祥明さんイラストによる実在の犬をテーマにした絵本「星空のシロ」に音楽を付け、ピッコロシアターでの作曲家たちによる作品発表会で上演させていただきました。

■ソプラノ:奥村千晶
■ピアノ:村崎 愛
■朗読:小椋 朋子


チャーリーのチェックリスト(2003)

ロリー・S・ラーマン原作、アリソン・バートレット絵の「チャーリーのチェックリスト」をオリジナルのスライドにし、楽団を引き連れて保育園や幼稚園などで上映会を実施していました。

■脚本:小椋 朋子
■音楽:小椋 聡
■ナレーション:上畑 淳子
■チャーリー:西馬 佑哉
■チェスター:平井 晶子
■スキャット&歌:徳田 建
■ピアノ:栄村 佳奈
■チェンバロ:小椋 朋子
■ピアニカ、ギター & プログラミング:小椋 聡


舞台「壇ノ浦の戦い〜源頼朝に受け継がれた清盛の思い」(2012)

2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」の放送を機に、兵庫津を訪れる観光客へのお接待のため、能福寺、真光寺、薬仙寺、和田神社の境内で週末に清盛茶屋を設置。一般から選ばれた「清盛茶屋お接隊」が、おもてなしと共にオリジナルのパフォーマンスを繰り広げました。
自身のピアノ曲「2つのサルモディ」をコラージュし、パーカッションや電子音などを追加したものを使用しています。

■ピアノ:村崎 愛
■シンセサイザー:小椋 聡
■パフォーマンス:清盛茶屋お接隊


《シンセサイザー作品》

Lent Profondément(1995)


THE PALEOZOIC(1991)


FUNK MONK(2022)


Blue Chronos(2022)


Bamboo Rain Drop(2021)


蠢くものたち(2022)


Microorganism(2022)


Asisn Techno Sect(2021)


《歌の作品》

以下の歌の作品のほとんどは、私が高校生の頃に作った曲を後にアレンジし直して録音したものです。生歌以外に、ボーカロイドを使用しているものもあります。

千鳥になろう 〜智恵子の残像〜(1987)


Please Join Hand with You(1994)


美しい海 〜多恵ちゃんに〜(1988)


雨音を聞いている(1987)


星座 —Astral Serenade—(1987)


異国の海へ(1988)


モノクロームの静けさ(1988)


かすみ草(1987)


知らないうちに大切な何かを見失っていた頃(1985)


ねがいごと(1988)


さよならの時間まで(1986)


雨の夜の子守唄(1987)


街角の仔猫たち(1988)


海(1988)


緑のレクイエム(1985)


鳥になりたい(1988)


あの頃に帰りたい(1986)


アトリエ(1986)


あたしが言ってみたい言葉(1985)


カナリア(1987)


たんぽぽの歌が聞きたい(1985)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?