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縄文時代の再生主義         出羽三山「生まれ変わりの旅」

縄文時代は、約17,000年続いたとされる。この持続性にこそ、SDGsのヒントがあることは、以前にも述べた。

縄文時代は、再生主義である。そして、再生の象徴が、月や蛇であった。月の満ち欠けや蛇の脱皮に、再生の神秘を感じたのです。

この縄文文化は、現在でも引き継がれている。出羽三山の「生まれ変わりの旅」には、世界中から修験者が訪れています。その名の通り、再生主義そのものの旅である。

三山のうち最も高い山は、「月山」といい再生の象徴である「月」の名がついていることは興味深い。また、月山の山頂には社があり、月読命(ツキヨミノミコト)という月の神が祀られている。

「生まれ変わりの旅」の道中で食す精進料理にも、縄文時代の料理と思われる逸品も残っている。この旅は、山と向き合うために、多くの日数をかけて、三山の頂きを目指す事で、生まれ変われるという修験者の旅である。

修験者たちは、「山伏」の格好をして、旅をする。すなわち、山をリスペクトして山に伏す行為である。もともと、「山立」がこの修行が行っており、修験者であった。「山立」とは、山で狩りを行う者たちで、いわゆる狩人の事だ。蛇足にはなるが、この「山立」という言葉が流れて、北海道で「またぎ」になったとされている。

山の恵みを得ていた「山立」が、この旅で山に伏す行為で、山をリスペクトしていた。この修行のおかげで、山の乱獲が起こらず、持続的な環境が山に保たれていたのです。これこそが、SDGsそのものです。

出羽三山のひとつ羽黒山では、大晦日に松例祭という祭りが行われる。松例祭では、二つの大きなたいまつが用意され、その燃え方の美しさを競い合う。ひとつは、「山」のたいまつ、もうひとつは、「海」のたいまつとされる。「山」のたいまつが勝利した場合、翌年は豊作が期待される。「海」のたいまつが勝利した場合、翌年は、豊漁が期待された。これも、また、SDGsそのものです。一年毎に、山や海どちらかを休める事で、乱獲を防ぎ、山や海の恵みの持続性を保っていたのです。

縄文時代は、対称性を重んじる事で、持続性を保ってきました。表と裏、両方の世界観をリスペクトすることが、持続性に大きく関与していることは、参考にすべきです。そして、合理的な説明でなく、抽象的な表現で、対称性を重んじてきた神秘もまた、これからの私たちの未来にとって、大きなヒントになることでしょう。

出羽三山「生まれ変わりの旅」                  https://youtu.be/IxF6sG2Wxok

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