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著作権センターに問い合わせた話

もう20年近く前の話なんですけどね、著作権センター(公益社団法人著作権情報センターに電話で問い合わせたことがあるんです。

当時私は旅行がメイン、その他美術など自分の好きなものなどをゆるく語るホームページをやっていたんです。90年代のネット黎明期臭満載、いかにも素人の手作りなものでしたが楽しんで作っていました。

そのホームページに「アイロンビーズで旅日記」というコーナーがあったのです。アイロンビーズって何?って思う方もいるでしょうから簡単に説明しますと、円筒形のプラスチックのビーズを専用のボードに載せ、絵や模様などが出来るように並べて、出来上がったらアイロンを掛けて……っていう玩具です。見た方が早いでしょうからお見せしますと、こんな感じです。

タージマハル

で、そのコーナーは架空の話やギャグも交えつつ、世界中を旅するというものでした。アイロンビーズの作品を掲載してね。絵本みたいな感じでしたよ。

その私のホームページは私のリアル知人がほとんどだったと思います、閲覧してたのは。某有名ガイドブックの掲示板でしか紹介もしなかったし、検索で引っかかることもほぼなかった。なんせ、旅行メインのホームページではあったものの、役に立つ情報なんて書いてない代物でしたから。なのでその掲示板でよくやり取りしていた人たちや、実際にオフ会で会ったことのある人たちばかりが見てくれていたわけだけど、ある日、会ったことはなかったけれども頻繁に掲示板上でやり取りをし、メールアドレスも交換してた人からメールが来ましてね。私より20歳くらい上のおじさんで、まぁ偏屈な人ってことは掲示板で他の人とのやり取りを見ていても知っていたわけだけど……

「ホームページ拝見。ご存知かと思いますがクリムト。著作権侵害じゃないでしょうか?削除した方がよろしいかと思います。他の人の目に触れる前に忠告しておきます」
上から目線なのもなんかイヤ~な感じだけど、あのね、著作権侵害してないわけよ、私。クリムトってのはオーストリアを代表する画家なんですがね、その代表作<接吻>をアイロンビーズで作って例のコーナーに載せたの。
「ご指摘ありがとうございます。ですがクリムトは著作権が切れており…云々」と返信したら
「戦後加算ってご存じでしょう?日本は枢軸国側で~」って。
あのぅ、それもちゃんと含みおきよ?ていうか奴、私が美術畑の人間、しかも専門は世紀末の芸術って知ってるはず。私が戦後加算やらなんやらを知らんわけないってことくらい分からんのか。面倒くさい奴だなぁと返信を保留し、結果は分かり切っているけど著作権センターに電話したんですわ。

「私は現在、個人のホームページを管理していて、そこに二次創作の作品、具体的に言いますと、著作権が切れている画家の作品を加工して掲載していて……問題はありますでしょうか?」ってね。アイロンビーズで~とか話すと
「アイロンビーズ?何ですかそれ?」って訊かれそうだったので「加工」という言葉を使ったのだけれど。結果は勿論「問題なし」。
で、そのおっさんに
「センターに電話したところ、問題ないとの回答を得ました」とメールしたらなんて言ったと思います?
「じゃぁ、今度はあなたのそのビーズの作品をパクられないようにお気を付けくださいね」だって!
「間違えてすみません」「失礼しました」の一言もなしだぜ?
ちなみにそのおっさんも美術畑の人なんだよね。絵画の愛好家且つ、自分でも制作をして商売をしているような。もうね、これこそ数日前に記事にした「〇〇ハラスメント」でしょ。何ハラスメントって名付けようかね?

「オマージュとパクり」の違いは議論する価値がある話だと思う。けど本件は明らかに著作権侵害はしていない。法的に問題は全くない。当然だが「クリムト<接吻>をもとにNoe制作」ともアイロンビーズの作品に併記したしね。著作権侵害についてはめちゃ色々語りたいことがあるけど長くなるので続きは今度にするとして、一言だけ今言うとしたら「好きなアーティストの不利益、迷惑になるようなことは自分はしたくない」。これに尽きます。

まぁ、今回の最後にアイロンビーズの作品でも見てやって下さい。あちこちで掲載したからもう見たよ!って方々もいると思うけど。
あ、当然写真は自分が撮ったものか、自由に使ってよいと知人に承諾を得たものばかりです。

香港の夜の街。ウィーンへ卒業旅行に一緒に行ったYongちゃん提供。
イエメン、サナアのスーク。左が元写真。
ポルトガル旅行で知り合いになった「異国の旅人」さん提供。
もう彼のホームページはなくなっていて、連絡も取れない…….。
Noe<28歳の自画像>
よくこんなもの作ったなぁ!我ながら。


これがズバリ問題の、クリムト<接吻>、
卒業旅行の時に墓参りして(ちなみに2度目)、お供えしてきました。