澤 有一良

いろいろ本を出す書籍編集者。きずな出版というところで働いてます。

澤 有一良

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マガジン

  • こんなことをかんがえている

    編集者として仕事をしたり、人と会ったりしたなかで気づいたりボンヤリと思ったことを書いていきます。週に一度は更新予定

  • こんなものをよんでいる

    読んだ本の感想のようなものを書いたりする。役に立ったり立たなかったりする。

最近の記事

『ストレスゼロの生き方』が8万部を超えました

東京都ではこの土日、不要不急の外出を控えるようお触れが出ていて、そんなときに恐縮なのですが、昨年11月に刊行された担当編集本『ストレスゼロの生き方』(Testosterone著)の帯をまた変えましたのでそのご報告です。   前回変更したのは「5万部突破」のとき。 そして今回は「8万部突破」です。   私にとってひとつの大きな目標である「10万部突破」まであともう少し(本当は30歳までに10万部超える本を作るという野望を密かに抱いていたのですが、これには間に合いませんでした)

    • 本づくりにおける「のどごし」についての考察

      先日、久しぶりに大学時代の友人とランチをしました。 彼はまったく出版とは関係ない仕事をしているヤツですが、いい年齢の大人なので、自然と「自分が今やっている仕事の話」をしたりするわけです。 そういう、自分の仕事とまったく利害関係のない、気兼ねなく話せる相手に、最近自分がやった仕事とか、いま自分がやろうとしていることを説明するのは、とてもよいですね。 いま自分がやっていること、考えていることを客観視して、言語化すると、頭の中が整理されてくる感じがします。 ここ半年くらいそ

      • 私たちには「痛み」と「恐怖」が足りない

        日本で一番有名なラテン語は「memento mori(メメント・モリ)」なんじゃないだろうか。 これは古代ローマにおいて、戦争に勝って行われた凱旋パレードで 「今日は勝ったからいいけど、明日は負けて死ぬかもしれないから、自分がいつか死ぬことを忘れんなよ」 という戒めの言葉として使われていたとかいわれている。 この言葉がたまに出てくるのが自己啓発書で、 「明日死んじゃうかもしれないんだから、やりたいことはいますぐやろうよ」 というような文脈で使われる。 ただ、ガチで戦争に

        • 円満な退職のコツ(きこ書房退職しました)

          8月31日をもって、きこ書房を退職しました(※)。 (※)きこ書房という会社は存在しないので、げんみつには「株式会社エス・エス・アイを退職しました」というほうがただしい 入社したのは、わすれもしない2015年1月の4日か5日。 たしか2014年の12月31日まで前々職の編集プロダクションではたらき、正月やすみをはさんで仕事はじめの日にいきなりやってきたので、「ヘンなやつ」だとおもわれていたようです。 きこ書房での代表作3つしかしいま思いかえすと、本当にいろいろといい経

        『ストレスゼロの生き方』が8万部を超えました

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        • こんなことをかんがえている
          18本
        • こんなものをよんでいる
          1本

        記事

          10万字の原稿を書くたった一つの冴えたやり方

          8月4日の土曜日、さわ氏はこちらのイベントに参加した。 さわ氏は編集者である。慎みを知っている。 だからして、昨年もこちらのイベントへの登壇依頼を賜ったとき、「そもそも大した実績もないペーペーの自分が登壇しても参加費に見合った話なんかできんのではないか」と熟慮を重ねた末に辞退したのだが、今年も同じオファーを受けた際、恥知らずにも二つ返事でOKを出したのには相応の理由がある。 ノリだ。さわ氏は「なんかまあいいか」と思っちゃったのである。 さわ氏もいよいよ30歳という人生

          有料
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          10万字の原稿を書くたった一つの冴えたやり方

          オリィさんの公開取材レポート

          7月27日にイベントを実施しました。 ちゃんと人をあつめられるか不安だったけど、結果的に定員50名は満席、追加募集した10席も完売し、たくさんのひとに来ていただけた。 イベントをやることになった経緯とかはこちらの記事に書いたので割愛するけれど、まあイベントはさいこうだった。 オリィさんはOriHimeのほかに「歩きスマホ支援ツール」として考えた特製の片目ミラーゴーグルをもってきてくれて、それを参加者のみなさんにまわして体験してもらった。 オリィさんの場合、はなしの内容

          オリィさんの公開取材レポート

          Kindleでカテゴリー1位をとるのに何冊売れればいいのか

          きのうリリースした電子書籍が、Amaozn Kindleの【セールス・営業】【投資】カテゴリーにおいて1位になった。 著者の伊東さんと知りあったのは2年ちかく前で、会社に原稿がおくられてきたのをたまたま読んだのがきっかけ。 ぶっちゃけ、文章はそんなにうまくないなあとおもった(ごめんなさい)。いわゆる「長いわりになにがいいたいのかよくわからん文章」だ。 ただ、わたしが惹かれたのは伊東さんのプロフィール。 「野村證券の元トップセールスマン」 これはつよい。これだけでとりあえ

          Kindleでカテゴリー1位をとるのに何冊売れればいいのか

          取材をイベント化するということ

          いま、吉藤オリィさんというロボットコミュニケーターのかたの本を出すべく、取材を進めている。 オリィさんは30歳の新進気鋭の発明家で、身体に障害があるかたなどをサポートするため、改造車椅子や分身ロボット「OriHime」などを世に送りだしている。 ※写真はオリィ研究所から拝借 もともとオリィさんはコミュ障で引きこもりを経験していたが、いまは自分の会社を立ち上げた実業家でもあり、首相官邸にまねかれたり、最近は天皇陛下ともおはなしされた超注目株だ。 取材イベントのきっかけ何

          取材をイベント化するということ

          歯磨きしているときにわたしがふと笑ってしまう理由

          小さいころ、私がいちばん「すごい」とおもっていた人は母親だった。理由はたんじゅんで、母はかなりの読書家で知識量もあったからだ。 しかし大学生になって親元をはなれ、いろいろな本を読んだり人と会ったりインターネットをやったりするようになると、実家にかえって母親と話をしたときに「このひとの知識はちょっとかたよってるな」と感じるようになってきた。自分の知識量が母親のそれに匹敵してきたことで、母にいだいていた幻想が解消されたんだとおもう。 大人は意外とテキトウだったもうひとつ、わた

          歯磨きしているときにわたしがふと笑ってしまう理由

          世界はゆがんでいる

          ※長いよ 6月17日のにちようび。朝5:30におきたわたしは、3時間後には名古屋駅にいた。このイベントに参加するためだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)というのは、脳の電気信号を筋肉につたえる運動ニューロンがうまくはたらかなくなる難病だ。意識はハッキリしたまま、どんどん体がうごかなくなってしまう。いまのところ、原因や治療法はみつかっておらず、日本には1万人弱の患者さんがいるとされる。 で、このイベントでは、ALSの理解をふかめるために、愛・地球博の会場跡地でさまざまなもよ

          世界はゆがんでいる

          京王ライナーと優越感ビジネス

          トップ画像などは京王電鉄のWebサイトから拝借。 京王電鉄は2018 年2月から「京王ライナー」という、切符とはべつに、座席指定券を買わないとのれない全席指定特急列車を運行している。ちなみに、京王線は新宿駅と八王子をむすんでいるので「京王線」という。 ここ6年くらい、居住地はコロコロ変えながらも京王線ユーザーでありつづけたわたしは、つい先日、はじめて京王ライナーを利用した。で、わかったのは、「京王ライナー、そんなに早くねえな」ということだった。 そう、京王ライナーは運賃

          京王ライナーと優越感ビジネス

          DAFはドラマになった

          6月2日の土曜日、王子で開催されたDAF12にいってきた。これは「ドランク・アカデミー・フェス」という、ビジネス書やセミナー講師などの講演をお酒をのみながらきけるトークイベントで、今回が12回目の開催。わたしは過去に3~4回くらい出席しているけど、今回はひさしぶりだった。 DAFはいわゆる講演会とトークショーとはいろいろ異なるてんがある。 (1)十数人(多いと20人以上)が登壇し、6時間くらいぶっ続けで行う (2)トーク時間は10分固定で、各登壇者は仮装したりネタを仕込ん

          DAFはドラマになった

          犬の死とラーメン

          今回は完全にプライベートのはなし。 5月30日の水曜日、きゅうきょ新潟の実家にかえった。わたしが中学生のころから飼っていた犬が死んだからだ。 享年16歳2ヶ月で、中型犬だったので、人間でいえば90歳弱か。死因はハッキリしないが、1ヶ月くらいまえからてんかん(発作的なけいれん)を起こしていたときいたので、わたしも家族も「そろそろだな」とはおもっていた。 わたしは看取ってもいないし、しめっぽい話はにがてなので、ここからはわたしがはじめて体験した「ペット葬儀」レポートにする。

          犬の死とラーメン

          冷静と情熱のあいがけ

          5月21日の月曜日、こちらのイベントに行ってきた。 第2回目のゲストはあの箕輪厚介氏。 直接話を聞くのは2度目だけど、最後に箕輪さんの熱量が感じられて楽しいイベントだった。圧倒的な行動量と未知の領域へ挑みたがるフロンティアスピリッツ、っして自分の仕事に対するプライド。そこらへんは、まあほかの人も書いているし、譲っておく。 異常な人たちの集まりそれよりも個人的に刺さった……というか印象的だったのは、イベント開始直後の「ここにいるのはみんな異常な人たちだから」という言葉。主

          冷静と情熱のあいがけ

          「すぐ読み終えられる本」の可否

          ぶっちゃけ、私は「簡単に読み終えられちゃう本」にあまり価値をかんじていなくて、よくAmazonにある「目新しいことはかいてなかった」というレビューに同意しちゃうタイプだったけど、編集者としてはたらくうちにその意識がすこしずつ変わったし、ここ数日でさらに「すでに知ってる情報を取得しなおすことにも、あたらしい情報をとりいれるのとおなじかそれ以上の価値があるんじゃないか」と考えるようになった。 たとえば自己啓発界隈では、毎月のようにいろいろな出版社から本を出しているかたがいる。当

          「すぐ読み終えられる本」の可否

          現代における本というメディアの役割

          さる4月25日、うれしたのしい給料日のよる。わたしは渋谷にあるオサレ書店BOOK LAB TOKYOにいた。このイベントに参加するためだ。 BOOK LAB TOKYOさんにはいぜんも来たことがある。わたしの脳には「のぼりはエスカレーターがあるけど、くだりは階段しかない」という情報がインプットされていた。相違なかった。 イベント内容は上記リンクをみてもらえばわかるが、くわえるなら、トークの大ぶぶんを占めたのは「コミュニティ」についてだったという点だ。 しかし、それがぜん

          現代における本というメディアの役割